◆ CCIEとは
CCIEはCisco Certified Internetwork Expertの略称であり、シスコ技術者認定プログラムの最高位資格です。
CCIEはその試験の特性(英語試験、1日の実機試験、高い難易度)などから世界で通用する試験と言えます。
CCIE保持者のステータスが高い理由の一つとして、案件により、RFP(提案依頼書)に「 CCIE がその設計
及び構築メンバーであること」と明記されていることが挙げられます。CCIE、それは最高のステータスです。
CCIEには種類がありCCIE Routing and Switching、CCIE Security、CCIE Collaboration、CCIE
Wireless
CCIE Service Provider、CCIE DataCenterの6種類があります。その中でエントリー的な位置づけとなるのが
CCIE Routing and Switching であり世界でも日本でも最も取得者数の多いトラックとなります。取得者数が
多くて希少価値は弱くなっていますが、高度な技術力を証明できる資格であることは現在も変わりありません。
◆ 国家資格よりも資格価値の高いCCIE
ネットワークエンジニアの職業の中で評価される国家資格には、ネットワークスペシャリストでありますが
試験範囲が浅く試験難易度が低いという点、膨大な資格取得者数がいるという点で、いわゆる“国家資格”と
いえる価値がないことから、ベンダー資格でありながら国際標準的な位置づけともいえるネットワーク機器
メーカであるCisco Systems認定の最高位資格CCIEがネットワークエンジニアにとって最も価値があります。
一般的に国家資格とベンダー資格では、圧倒的に国家資格の方が資格価値が高いのですが、ネットワーク
エンジニア業界においてはこれが逆転されます。あるいは、CCIEの資格価値が高すぎるのかもしれません。
受験料金が極めて高額で、難易度が高い資格でありますので、社会人になってから取得を目指すのが一般的。
◆ CCIEの年収
CCIEを取得することで一定以上の年収が保証されている訳ではありませんが、CCIEが転職や昇給の交渉
において有効なカードになることから、CCIEを取得していない人よりも、年収が高くなる傾向があります。
ただしCiscoルータとCatalystスイッチで実装するスキル証明としかならないCCIE Routing and Switching
は、現在では以前ほどの高い評価はされていないので、CCIE Routing and Switching を取得したとしても
必ず高収入になる訳ではないので過度に期待しないようにしましょう。一方、企業ネットワークで中核となる
高度な技術力を証明することができるCCIE SecurityとCCIE Collaborationについては効果的な交渉カード。
また、サービスプロバイダ事業部にて最も評価される CCIE Service Provider についても強力な交渉カード。
最も評価される3つのトラック |
評価ポイント |
CCIE Security |
EP事業部、公共事業部などで評価の高いCCIEトラック。CCIE Collaborationと
同様に最高難易度の資格。多くのCiscoゴール認定パートナーで評価されています。
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CCIE Collaboration |
EP事業部、公共事業部の音声部門で最高評価。最高難易度の資格。Cisco製品の
音声技術者は少ないのでレアでありコアである技術者として重宝されるでしょう。
Master SpecializationであるCiscoゴール認定パートナーに転職することが重要。
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CCIE Service Provider |
SP事業部で最高評価。スマホ普及のおかげで花形の事業部となったSP事業部。
最も予算を持っている部署なので最も高い年収を勝ち取りやすい。3キャリアを
顧客とするCiscoゴールド認定パートナーに転職することが最も重要となります。
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「CCIE取得者は年収1000万円を超えるのは本当か?」という話はよく聞きますが、CCIEの取得者で
年収1000万円を超えるネットワークエンジニアもいれば、越えられないネットワークエンジニアもいます。
1つ言えることは、CCIEの取得だけでは高額年収を得られないということ。CCIEはあくまでも踏み台です。
具体的には、CCIE取得に加えて次の点が評価されているのでこれらの要件を満たしていくことが重要です。
@ NWを構成するルータ、スイッチ、無線LAN、FW、IPS、認証サーバ、LB、WAFに精通した技術力
A Cisco製品以外に精通しているメーカー製品(例えばF5、Juniper、Citrix、Vmwareなど)の技術力
B 英語力
C 案件受注能力
D プロジェクトマネージメント能力
E ネットワークエンジニアとして10年以上(目安)の業務経験
F 雇用形態や給与体系を決定する上での高度な交渉術
G 豊富な人脈
H CCIEが最も評価されるシスコ認定ゴールドパートナーに所属していること
I 課長(GL)以上の役職
Hですが、シスコ認定ゴールドパートナーでも受けが良いCCIEは先にあげた3つのトラックでありますから、
高額年収を目指すならCCIE Security、CCIE Collaboration、CCIE Service Providerの取得がポイントです。
Iですが、会社の給与体系の仕組み上、一定の役職がなければCCIEマルチホルダーでも高額年収を得る事は
できません。これは就業規則において給与体系が決定されており、あくまでその範囲内で決定されるからです。
※ 独立した場合は話は別です。独立すればそのエンジニアの色々な能力次第でいくらでも稼ぐ事ができます。
◆ CCIEの正社員、派遣社員
ネットワークエンジニア業界においてベンダー資格のCCIEが国家資格のネットワークスペシャリストより
圧倒的に資格価値のある逆転現象と同様に、ネットワークエンジニア業界では正社員と派遣社員の給与は
派遣社員の方が高額なのが一般的です。ちなみに、ここでいう派遣社員は、特定派遣ではなく一般派遣です。
正社員のように社会的に強い地位、保証がないのが難点ですが、そのようなことを意識せず給料が高ければ
それでいいという人には最適と言えます。ただしリーマンショック以降、企業は人件費削減に躍起になりま
したから以前ほど高額ではありません。とはいえ、サービス残業的な時間の多い正社員に比べて労働時間は
必ず給与になるので、残業の多いネットワークエンジニアの業界ではやはり依然として一般派遣の派遣社員
の方が給料が高いことからも、依然としてCCIEの派遣社員は多くいます。CCIEの正社員として活躍したい
場合は「ネットワークエンジニアの仕事」をご参考頂ければ幸いです。
◆ CCIEの受験資格
CCIEを受験するための前提条件、前提取得資格は特にありません。つまり、CCIE受験前にCCNAやCCNP
などの資格を取得している必要はありません。18歳以上であれば誰でもいきなり受験することができます。
しかし、シスコ試験の受験経験がないのにいきなりCCIEを受験するのは無謀と言えます。どれだけCisco
技術に精通していても、Cisco試験の特有性があるので、CCNP取得後にCCIEを受験することがお勧めです。
CCIEを取得するためには、コンピュータの試験と実機操作によるラボ試験の2つをパスする必要があります。
@ CCIE Written Exam ( 筆記試験 ) A CCIE Lab Exam ( ラボ試験 )
@のコンピュータ試験 ( いわゆる筆記試験 ) は、CCNA試験やCCNP試験と同様にいつでも受験できます。
@の試験はVUEにて受験予約して受験します。合否結果は、その日その場所でパソコン上で判明します。
Aのラボ試験は、@の試験を合格する事により受験できるようになります。日本で受験する場合はシスコ
本社オフィスにて受験します。ラボ試験の予約は、Web上のCCIE Onlineにて予約を行う必要があります。
◆ CCIEの学習方法 - 筆記試験
CCIE筆記試験は、CCNAやCCNPと同様に実機の検証なしでも「 CCIEの参考書 」で一生懸命学習すれば
なんとか合格できますが、かなりの学習が必要となります。以前は類似問題が多く掲載された海外にある
Web問題集を利用することで、かなり余裕で合格できたのですが、CCIE筆記試験 v5.0以降は試験問題の
更新頻度が非常に早くなったことから、海外のWeb問題集だけで合格することは、ほぼ不可能といえます。
2014年までは海外のWeb問題集は効果がありました。しかし、それ以降は効果がなく出題されない過去
問題だらけとなっているのでご注意を。現在の効果的なCCIE筆記試験の学習方法は、オーソドックスと
なりますがCCIE参考書をしっかりと読み理解を深めることです。CCIEホルダーの方もCCIE更新のために
CCIE筆記試験を受ける時には、事前にしっかりと時間をかけて学習をすることをお勧めします。
◆ CCIEの学習方法 - ラボ試験
CCIEラボ試験においてはCCOのアドバイスにある通り、奥深い実機での検証が必須となります。かなりの
コストが必要になってきますが、適切な機材を揃えた自宅ラボでの検証も推奨しています。そして、多くの
CCIE合格者が利用しているワークブック(INE)を使用した学習がとても重要となります。
CCIE試験の特色の一つとして、英語でしか受験できないことが挙げられます。筆記試験もラボ試験の両方に
これは当てはまるのでしっかりと英語を学習しましょう。CCIEの試験に限らず、大規模なネットワークを
設計をする上で英語力は必須です。英語力がないという事は英文書にある最新の技術情報を得られないこと
を意味するのでネットワークエンジニアとして致命的な問題です。CCIEを機に英語力を確立させましょう。
◆ CCIEの受験料、試験会場、試験時間
CCIE試験の種類 |
受験料金 |
試験時間 |
試験会場 |
CCIE筆記試験 |
50,000円前後 |
150分 |
VUE |
CCIEラボ試験 |
200,000円前後 |
8時間 : 8:30〜17:45 |
東京本社 |
2012年04月04日まで : 新宿オフィス : 東京都新宿区西新宿2-1-1 新宿三井ビル8階
2012年04月12日から : 東京本社 : 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー21階
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※ ラボ試験当日は、運転免許証またはパスポートなどの顔写真付きの公的身分証明書を必ず持参して下さい。
※ 2008年06月24日、CCIEの筆記試験のみ受験料金が改定されることになりました。36,960円から44,100円へ改定されました。
※ 2009年11月23日〜2010年12月31日の間、CCIEラボ試験(東京会場)では特別ディスカウントにより受験料が149,825円です。
※ 2012年04月12日、新宿三井ビル8Fから、六本木のミッドタウン・タワー21階に移転することになります。
※ 2014年12月から、筆記試験の受験料金が44,064円、ラボ受験料金が176,256円に変更。
※ 2015年07月から、筆記試験の受験料金が51,840円、ラボ受験料金が207,360円に変更。
CCIEラボ試験にはいくつかのルールがあります。CCIEラボ試験が行われるラボルームにはどのようなメモや
ドキュメントを持って入っても持ち出してもダメです。また、試験中や試験後に試験に関する相談についても
質問対応をしてくれるプロクター等を除いてNGです。これらのルールを破ると試験は不合格となり少なくとも
一年間はラボを受験することは出来ません。※さらなる受験ルールは現地でプロクターが英語で説明をします。
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