◆ フレッツ光のMTUサイズ
PPPoEが実装されるLANでは、MTU上限が理論上1492byteであることは「MTU」で解説しました。
しかしフレッツ光を使用する場合、MTUサイズは 1454byte と指定されています。最初からMTU
1454byte、MSS1414byteとルータに定義してしまうと、3way-handshakeで、MSS1414byteで
通知され通信が行われるため、MTU1492、MSS1452byteより確実にデータ伝送は遅くなります。
それではなぜフレッツ光(PPPoEの接続方式)では、MTU1454byte が指定値となるのでしょうか。
◆ L2TPの採用
フレッツ光などのPPPoE接続はNTT収容ビルにある機器までであり、その機器から事業者網にある
機器(BAS)との間とではL2TP接続が行われます。その結果、MTUサイズが1454byteとなります。
MTU値はエンドツーエンドの通信の際に、通過する通信リンクで最も低い値を適用するのが推奨です。
PPPoE接続によるインターネット接続を行う場合では、Flet's網で実装するL2TPのBASへのリンクが
一番小さい( 1454byte )ことから、このMTUサイズをインターフェースへ適用する必要があります。
L2TPが実装されているFlet's網におけるMTU値 |
Ethernet
frame |
- |
Ethernet header
/ FCS |
- |
IP header |
- |
UDP Header |
- |
L2TP header |
- |
PPP header |
= |
MTU |
1518 |
18 |
20 |
8 |
16 |
2 |
1454 |
◆ Path MTU DiscoveryによるFeedbackは?
例えばフレッツ光のPPPoE接続において、適切でないMTU値(1492)をルータに設定したとします。
次にデータが送信される際に「DFビット=1」で送信された場合、L2TP接続が行われるリンクでは、
フラグメントを行わないとパケット転送できないのですが、DF=1のため、分割されず破棄されます。
結果、送信元に対して、ICMP(Type3 Destination Unreachable/Code4 Fragmentation Needed)
が送信されます。このICMPを受け取ることができれば、送信元は適正なMTU値に修正してから再度
データ転送を行えるのですが、このICMPはネットワーク上のどこかの機器で破棄されてしまいます。
従って、MTU1454/MSS1414として定義していなければ参照できないWebページなどが発生します。
◆ PPPoE接続:カプセル化の流れ
2023年1月末に提供終了となったADSLでもPPPoE接続を使用していました。下図はADSLのPPPoE接続
の通信のカプセル化の流れです。PPPoEのカプセル化/カプセル解除されるタイミングはフレッツ光でも
フレッツADSLでも同じ考え方となります。
BAS(Broadband Access Server)とは、ルータの機能を持つアクセスサーバのことです。ユーザからの
接続認証やプロバイダ識別子に従ってプロバイダの切り替えや帯域管理などを行います。
DSLAM(DSL Access Multiplexer)とは、複数のADSL回線を束ねているLayer2の集線装置のことです。
束ねたADSL回線をルータと接続させバックボーンへの橋渡しを行います。
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