◆ ハインリッヒの法則とは
ハインリッヒの法則というものをご存知でしょうか。この法則は、労働災害における経験則の1つであり、
1つの重大事故の背景には、29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するという法則です。
ハインリッヒの法則は、とても実践的な法則と言えます。この法則から導き出せる教訓として、重大な
事故というものは、軽微な事故を防いでいれば発生しないものであり、軽微な事故はヒヤリとするような
事故を防いでいれば発生しないものであるということ。この法則は色々なものに適用することができます。
以下では、ネットワークエンジニアという職業に対して、ハインリヒの法則を当てはめて解説していますが
このハインリッヒの法則はどのような職業、仕事にも生かすことのできる本当に実践的な法則と言えます。
ハインリッヒの法則がネットワークエンジニアの作業ミス防止のバイブルであると、当方は確信しています。
このハインリッヒの法則は社会生活において適用する際には非常に効果的な法則ですが、一方で日常生活に
までハインリッヒ法則を適用しようものなら「細かすぎる人」「慎重すぎる人」「予防線張りすぎの人」等
時に人としての魅力にマイナス要素になる側面もあるので、あくまでも仕事の際に適用するのがお勧めです。
◆ 若かりしころの失敗
当方は若かりしころ、大きな作業ミスを連発してしまったことがあり、ネットワークインフラ停止に伴う
大きな経済的損失を発生させたことがあり、さすがにその時は「自分はネットワークエンジニアに向いて
いない、ネットワークエンジニアとしてやっていく自信がない、なぜミスを連発してしまったのだろう・・」
と、途方にくれていました。そんな当時、ボーっとTVを見ていると、ハインリッヒの法則が紹介されていて
この法則を知ったとき「これだっ!」と思いました。あの時の「ビビビッ!」という感覚は忘れられません。
◆ なぜネットワーク障害を引き起こしてしまったのか
その当時、何が原因で重大な事故 (= ネットワーク障害) を引き起こしてしまったのかを考えてみました。
軽微な事故とヒヤリとする事故は、要約すると以下の項目となります。ハインリッヒの法則の比率自体は
あくまでも参考値として考えればよく、なぜ重大な事故が発生して、その裏に何があるのかを認識すること
が大切であると考えています。このように客観的に事実を項目分けしてみると、ネットワークシステム作業
に対してどれほど甘い認識であったのかということ、そして意外に顧客側にも非があったことも分かります。
そして、これらは全てがつながっていることがよく分かります。例えば「作業後の業務確認が不十分」
というのは、顧客側で行う範囲なのですが、なぜ不十分であったのかといえば、ベンダー側で想定外の
ネットワーク機器の設定変更が発生したり、顧客側で作業直前にパラメータ変更や設計変更を行ったり
したため、作業時間が想定スケジュールよりも大幅にずれ込んでしまった結果によるものです。
そして、これらは底辺にある4つの項目とリンクしています。底辺の4つの問題が発生していない場合、
その上の3つの問題は発生しておらず、そして、ネットワーク障害も発生してなかったかもしれません。
◆ ネットワークエンジニアとしてハインリッヒの法則を生かそう!
ポイントとしては、とにかく底辺の問題 (ヒヤリとする事故) を防いでいくことが大切です。例えば
複数案件を担当していて人手が足りないなら、課長に調整してもらい体制を整えてもらったり、顧客
との打ち合わせが十分にできていないなら、作業延期をお願いしてでも打合せして認識を合わせたり、
予定期限までに顧客から設計上必要となる資料が得られない場合は、作業延期をお願いしたりなどと、
アラートを発したり、予防線を張ったりして、底辺の問題を解決していくことが重要になってきます。
私はこのハインリッヒの法則を知ってからは、この法則を肝に銘じてプロジェクトをとり進めており、
設計・構築・作業の大きなミスは本当になくなりました。偉大な法則です。ぜひとも役立てて下さい!
ハインリッヒの法則を意識して仕事をするようになってからは、「細かいなあ」とかややネガティブな
ことを言われたり、「予防線はるのだけはうまいなあ」とか、シニカルなことを言われたりすることが、
少し多くなりましたが、ネットワークエンジニアという仕事は機械に設定する数字が1つでも間違って
いれば大きな問題が発生してしまうので、そのように思われても、職業上は必要な特性であることから
ハインリッヒの法則を生かした仕事の仕方は、ネットワークエンジニアとして大切だと確信しています。
※ ネットワークエンジニアという職業には、情報収集に対する貪欲さとこのハインリッヒの法則を意識したアクションが重要!
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