◆ ネットワークサービスの起動と停止
Linuxのネットワーク設定の前提として、ネットワークサービスが起動している状態である必要があります。
ネットワークサービスが起動しているかは以下のコマンドで確認できます。デフォルトでは起動しています。
※ 一般的には/etc/init.d/と指定するのではなく service コマンドを使用して起動スクリプトを確認します。
◆ ネットワークサービスのステータス確認 ( service network statusと入力しても同じ )
# /etc/init.d/network status |
ネットワークサービスが起動していない場合、引数にstartを指定してサービスを起動させる必要があります。
◆ ネットワークサービスの起動 ( service network startと入力しても同じ )
# /etc/init.d/network start |
◆ ネットワークサービスの停止 ( service network stopと入力しても同じ )
# /etc/init.d/network stop |
◆ ネットワークサービスの再起動 ( service network restartと入力しても同じ )
# /etc/init.d/network restart |
◆ ネットワーク機能の設定
ネットワーク機能の有効化/無効化、ホスト名、デフォルトゲートウェイの設定は/etc/sysconfig/network
ファイルで行います。この設定ファイルはRedhat系のディストリビューションで提供されているファイル。
以下の設定例ではネットワーク機能(NETWORKING)を yes と記述することで有効化しています。そして、
ホスト名は「intra.infraexpert.com」に、デフォルトゲートウェイを「192.168.10.254」としています。
◆ /etc/sysconfig/networkファイルの記述例
NETWORKING=yes
HOSTNAME=intra.infraexpert.com
GATEWAY=192.168.10.254
|
◆ ネットワークインターフェースの設定
ネットワークインターフェースの設定ファイルは、/etc/sysconfig/network-scriptsディレクトリに存在。
例えば、eth0 に割り当てられたインターフェースの設定は、/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0
のファイルに定義されています。LinuxにIPアドレスを固定で割当たい場合はこのファイルに設定をします。
◆ /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0 ファイルの設定例
DEVICE=eth0
BOOTPROTO=static
IPADDR=192.168.0.1
NETMASK=255.255.255.0
NETWORK=192.168.0.0
BROADCAST=192.168.0.255
ONBOOT=yes
|
項目 |
説明 |
DEVICE |
ネットワークインターフェース名 |
BOOTPROTO |
固定IPアドレスとする場合は「 static 」 |
IPADDR |
IPアドレス |
NETMASK |
サブネットマスク |
NETWORK |
ネットワークアドレス |
BROADCAST |
ブロードキャストアドレス |
ONBOOT |
起動時にアップするかどうか |
◆ ネットワークインターフェースの設定 ( 一時的な設定 )
◇ ifconfigコマンド
ネットワークインターフェースの状態を表示したり一時的な設定をするにはifconfigコマンドを使用します。
◆ 構文 : ifconfig ネットワークインターフェース名 オプション
オプション |
説明 |
IPアドレス |
ネットワークインターフェースへのIPアドレスの割り当て |
netmask サブネットマスク |
サブネットマスクの設定 |
up |
指定したインターフェースの起動(有効化) |
down |
指定したインターフェースの停止(無効化) |
◆ ifconfigコマンド - ネットワークインターフェースの状態を表示
青枠がネットワークインターフェース(eth0)に割当られたIPアドレス情報です。ちなみに、下側にある
lo は loopback アドレスという自分自身を表す特殊なIPアドレス。通常127.0.0.1のIPアドレスとなります。
以下設定例は、ifconfigコマンドでIPアドレスを設定するためのコマンド。ネットワークインターフェース
のeth0にIPアドレス:192.168.0.10、サブネットマスク:255.255.255.0を設定しています。※ この
ifconfigで設定したIPアドレスはシステムやサービスの再起動により設定値が失わます。そのため、例えば
eth0 に永続的に設定値を適用したい場合、/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0に記述を行います。
◆ ifconfigコマンドによるIPアドレスの設定例
# ifconfig eth0 192.168.0.10 netmask 255.255.255.0 |
◇ ifupコマンド、ifdownコマンド
指定したネットワークインターフェースを停止(無効化)するためには、ifdownコマンドを使用します。
指定したネットワークインターフェースを起動(有効化)するためには、ifupコマンドを使用します。この
コマンドは ifconfig コマンドのオプションで down や up のオプションを使用した時と同じ効果があります。
ifupコマンド、ifdownコマンドは、例えば以下の設定の流れのようにIPアドレスの変更時などに使用します。
◆ @ ネットワークインターフェース ( eth0 ) の停止
◆ A ネットワークインターフェース ( eth0 ) のIPアドレスの変更
# vi /etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0 |
◆ B ネットワークインターフェース ( eth0 ) の起動
◆ routeコマンド
routeコマンドによりLinuxマシンにおけるルーティングの設定を行えます。ルーティングとは、TCP/IPの
ネットワークにおいて、通信したい宛先となるホストまでパケットを最適な経路を選択して送信すること。
◆ 構文 : route オプション
オプション |
説明 |
-F |
カーネルのルーティングテーブルを表示 |
-C |
カーネルのルーティングキャッシュを表示 |
◆ 構文 : route コマンドによりルーティングテーブルの表示 ( netstat -r と同じ結果 )
ルーティングテーブルで表示される各項目の意味は以下の通りです。
項目 |
説明 |
Destination |
宛先ネットワーク、または宛先ホスト |
Gateway |
ゲートウェイのIPアドレス |
Genmask |
宛先のサブネットマスク。デフォルトゲートウェイの場合、0.0.0.0 と表示される |
Flags |
経路の状態 ( U:経路が有効、H:宛先はホスト、G:ゲートウェイを使用、!:経路は無効 ) |
Metric |
宛先までのメトリック値(宛先までの距離) |
Ref |
ルートの参照数(不使用) |
Use |
経路の参照回数 |
Iface |
宛先経路を使うネットワークインターフェース |
routeコマンドでは、ルーティングテーブルの表示だけでなくルーティングテーブルに新たなルーティングを
追加することができます。そのためにはroute addコマンドを使用します。route addコマンドは宛先ネット
ワークごとにネクストホップを変えたい場合に使われます。例えば、デフォルトゲートウェイは10.0.0.254
であるが、特定の宛先ネットワーク「172.16.0.0/16」のネクストホップは「10.1.1.254」にしたい場合。
◆ 構文 : route add オプション ターゲット
オプション |
説明 |
-net |
ターゲットをネットワークとみなす |
-host |
ターゲットをホストとみなす |
netmask |
サブネットマスクを指定 |
gw |
ゲートウェイ(ネクストホップ)を指定 |
◆ デフォルトゲートウェイを「10.0.0.254」とする設定
# route add default gw 10.0.0.254 |
◆ 172.16.0.0/16 という特定の宛先ネットワークへのゲートウェイは「10.1.1.254」とする設定
# route add -net 172.16.0.0 netmask 255.255.0.0 gw 10.1.1.254 |
ちなみに、Linuxをルータとして使用する場合、異なるネットワーク間のパケット転送を許可する必要があり
そのためには/proc/sys/net/ipv4/ip_forward が1である必要があります。1に変更する例は以下の通りです。
◆ /proc/sys/net/ipv4/ip_forward のデフォルト値は 0
# more /proc/sys/net/ipv4/ip_forward
0
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◆ /proc/sys/net/ipv4/ip_forward の値を 1 に変更
# echo 1 > /proc/sys/net/ipv4/ip_forward |
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