◆ BGP - EGPの一種
ルーティングプロトコルは、内部で使用するIGPと、外部で使用するEGPの大きく2つに分類できます。
RIPv2、EIGRP、OSPF、IS-ISは、AS( Autonomous System )内部で経路情報を交換するIGPです。
今回紹介するBGPは、AS間で経路情報を交換するEGPです。AS( 自律システム )とは、ある管理組織
にあるネットワークの集まりであり、例えば、ISPが管理しているネットワークは1つのASとなります。
※ OSPFやEIGRPのASは 同じルーティングプロセスを使用する範囲を指す用語のことであり、BGPのASとは異質のものです。
EGPという名称が同じで紛らわしいですが、EGPには「BGP」と「EGP」の2つの経路制御プロトコルが
あります。現在では「EGP」は使用されておらず、後継のBGP( BGP version 4 )が使用されています。
◆ BGP - AS番号
BGPでは、インターネット上での各ASを識別するために番号を割り当てています。それがAS番号です。
ISP以外にも、大企業、学術研究機関なども1つのASが割り当てられており、AS番号の一覧はこちらで
確認することができます。AS番号はICANNという組織により、RIR(Regional Internet Registry)に
ブロック単位で割り当てしています。日本ではJPINICやAPNICがAS番号の割り当てを管理しています。
AS番号は、以下の通りグローバルAS番号とプライベートAS番号の大きく2つに分類することができます。
AS番号 |
AS番号の範囲 |
用途 |
グローバルAS番号 |
1 〜 64511 |
インターネット全体で一意のAS番号 |
プライベートAS番号 |
64512 〜 65535 |
組織内部で自由に使用できるAS番号 |
◆ BGP - パスベクタ型ルーティングプロトコル
BGPは、パスベクタ型ルーティングプロトコルです。パスベクタ型では、AS内のルート情報に付加された
パスアトリビュートを送信して最適経路を決定します。デフォルトでは、宛先ネットワークまでに経由する
ASが少ない経路をベストパスとして使用します。下図では、AS1からAS2の「2.0.0.0/8」宛のパケットを
送信する時、BGPルータのISP1はASの通り道が少ない経路となるネクストホップとして「1.1.1.2」を選択。
◆ BGP - 特徴
インターネット上のBGPが設定されているルータは、2016年時点で60万ルート以上をルーティングテーブル
に保持していますが、転送プロトコルにTCPを使用して信頼性のあるルーティングアップデートを行います。
BGPでは定期的なルーティングアップデートは行わず、変更発生時にのみ差分アップデートを行っています。
また、BGPではパスアトリビュートという属性をルート情報に付加することによって、経路制御を行えます。
BGPの特徴 |
説明 |
転送プロトコルにTCPを使用 |
TCPポート179を使用し、TCP接続を行い信頼性のあるルーティングアップデートを実行 |
差分アップデート |
定期的なルーティングアップデートを行わず、変更発生時にのみ差分アップデートを実行 |
パスアトリビュート |
パスアトリビュートをルートに付加して、詳細なポリシーを定義したルーティングを実現 |
ループフリー |
AS-PATHリストを使用することで、ループフリーの構成を実現 |
クラスレスルーティングプロトコル |
CIDRによるルート集約、VLSMによるサブネット分割時の可変長マスクを実現 |
◆ BGP - 4バイトAS番号( 4 byte AS number )
4バイトAS番号は、AS番号を従来の2バイトから4バイトに拡張したものです。2バイトのAS番号が枯渇する
とみられており仕様策定されています。4バイトのAS番号は2バイトずつピリオドで区切りそれぞれを10進数
で表すことから、4バイトAS番号は「 0.0 」から「 65535.65535 」という値で表現されます。
以上の通り、BGPは同一の管理ポリシーにより管理されるネットワーク群であり、2バイト(2オクテット)か
4バイト(4オクテット)のAS番号により識別されます。
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