◆ BGP - IBGPとEBGP
BGPピア(BGPネイバー)にはIBGPピアとEBGPピアの2種類があります。IBGPピアは、同じASにある
BGPルータとの間で確立するBGPピアのことです。EBGPピアは、異なるASにあるBGPルータとの間で
確立するBGPピアのことです。IBGPは「 Internal BGP 」の略、EBGPは「 External BGP 」の略です。
BGPピア |
特徴 |
IBGPピア |
・ IBGPでは、BGPパケットのTTLが「255」であるため、直接接続していないBGPルータ間でも
BGPネイバーを確立することができる。
・ IBGPでアドバタイズされるルートはAD値が「200」となる。
・ BGPスプリットホライズン機能により、IBGPピアから受信したルートは同じAS内のその他の
IBGPピアにアドバタイズされない( フルメッシュ構成、またはルートリフレクタの実装が必要)
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EBGPピア |
・ EBGPでは、BGPパケットのTTLが「1」であるため、ネイバーを確立するためには、ルータ間で
直接接続している必要がある( 直接接続していない場合、ebgp-multihopコマンドでTTLを変更)
・ EBGPでアドバタイズされるルートはAD値が「20」となる。つまり、同一の宛先ネットワークを
EBGPピアとIBGPピアから学習した場合、EBGPで学習したルートがルーティングテーブルにのる。
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R1とR3の間では直接接続のリンクがありませんが、R1→R2→R3経由で、R1⇔R3間は通信できるので
R1とR3はBGPネイバー( IBGPピア )を確立することができます。OSPFやEIGRPにはない考え方です。
◆ BGP - 用語説明
BGPの主な用語は以下の通りです。BGPでは以下の3つのテーブルを保持していることを認識しましょう。
そして、BGPネイバーが確立されているかどうか、BGPテーブルでルート情報を受信できているかどうか、
意図したベストパスがルーティングテーブル上に存在するかどうかを順番に確認していくことが大切です。
・ BGPネイバーの状態(show ip bgp neighbors)
・ BGPネイバーテーブル(show ip bgp summary)
・ BGPテーブル(show ip bgp)
・ ルーティングテーブル(show ip route)
BGPの用語 |
説明 |
BGPスピーカ |
BGPを実行しているルータのこと。 |
BGPピア |
BGPネイバールータのこと。 |
BGPネイバーテーブル |
隣接するBGPルータが記載されているテーブル。BGPでは手動でネイバーを定義する必要がある。
BGPネイバーには、IBGPネイバー(IBGPピア)とEBGPネイバー(EBGPピア)の2種類がある。
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BGPテーブル |
ネイバーが確立された後に交換されるUpdateパケットにあるルート情報がインストールされた
BGPのテーブル。ネイバーから学習した「ルート情報とパスアトリビュート」の情報が含まれる。
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ルーティングテーブル |
BGPテーブルにあるルート情報のなかで、ルート選択の決定プロセスで選択されたルートだけが
ルーティングテーブルにインストールされる( 宛先への経路は1つだけが選択される )
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IBGPピア
(IBGPネイバー) |
IBGPピアは、同じASにあるBGPルータ間で確立するBGPピアのこと。IBGPピアを確立させる
ためには、IGPやスタティックルートなどで、IBGPピア間においてIP到達性がある必要がある。
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EBGPピア
(EBGPネイバー) |
EBGPピアは、異なるASにあるBGPルータ間で確立するBGPピアのこと。EBGPピアを確立させる
ためにはEBGPピア間で直接接続している必要がある。EBGPネイバーに送信されるBGPパケット
のTTLが「1」であることが起因するが、ebgp-multihopコマンドでTTL値を変更することも可能。
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IBGPネイバーを確立させるために、AS内のルータではBGPを有効にさせながら、OSPFやEIGRPなども有効
にしてIGPも動作させる場合が多いです。一方、EBGPネイバールータは自身のASの外側にあるルータである
ことから、EBGP間でIGPを動作させることは先ずなく、BGPのみを有効にして通信させます。EBGPネイバー
を確立する際にloopback I/FでEBGPピアを確立させる場合、loopback I/Fを宛先としたスタティックルート
を定義しますが、そのようなNW構成の場合には ebgp-multihop コマンドでTTL値を「2」などに変更します。
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