◆ BGP - ASの分類
BGPのASは、他のASとの接続形態によりスタブAS、トランジットAS、非トランジットASに分類されます。
ASの種類 |
説明 |
スタブAS |
シングルホームASとも言う。外部の1つのASとだけ接続しているAS。 |
トランジットAS |
複数のASとマルチホーム接続して、外部AS間のトラフィックを通過させるAS。 |
非トランジットAS |
複数のASとマルチホーム接続して、外部AS間のトラフィックは通過させないAS。 |
◆ スタブAS
スタブAS(シングルホームAS)は、外部の1つのASとだけ接続しているASです。また、ASの定義のとおり
1つの独立した管理組織である企業の社内ネットワークを1つのASとして考えた場合は、パターン2のように
インターネットの出口であるISPに対してデフォルトルートを設定するネットワークもスタブASと言えます。
◆ トランジットAS
トランジットASは、複数のASにマルチホーム接続して、外部AS間のトラフィックを通過させるASです。
トランジットASでは、自分のAS内のルート情報もアドバタイズしますが、外部ASから受信したルートも
アドバタイズします。ISPのASは一般的にトランジットASとなります。
◆ 非トランジットAS
非トランジットASは、複数のASにマルチホーム接続し、外部AS間のトラフィックは通過させないASです。
非トランジットASは、マルチホーム非トランジットASとも言います。非トランジットASは、自分のAS内の
ルート情報はアドバタイズしますが、外部ASから受信したルートはアドバタイズしません。ISPでないなら
トランジットさせる意味とメリットがないことから、グローバルASを持っている企業が、BGP接続によって
マルチホーム接続する場合は非トランジットASにします。あくまで自分のASのルートのみをアドバタイズ。
BGPでは、neighbor 〜 filter-list コマンドでフィルタリングを行うことで、非トランジットASとなります。
EIGRPやOSPFでいえば、distribute-listなどでルートフィルタリングを行っているような状態を意味します。
◆ 企業ネットワークのインターネット接続
多くの企業では、BGPを使用せずに契約したISPに対してデフォルトルートを設定してインターネット網に
接続させています。企業規模が大きく、サービス系インフラも有していて、グローバルASを保持している
場合は、BGPでマルチホーム接続してフルルート( インターネット上の全てのルート )を受信する企業も
あります。ただしその場合でも、企業ネットワークの接続なら「非トランジットAS」とする構成が多いです。
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