◆ VSS(Virtual Switching System)とは
VSSとは、2台のCatalyst6500のスイッチを論理的に1台の仮想的なスイッチにクラスタ化する仮想化技術。
Catalyst2960-X の FlexStack、Catalyst3750-X の StackWise Plusなどと同様に論理的に1台のスイッチに
なるので、コンフィグファイルやIOSイメージは1つとなり構成はシンプルとなり管理性が大幅に向上します。
また、VSSによりシステム帯域幅の拡張、無停止ネットワークの実現が可能となり大きなメリットがあります。
◆ VSSの5つのメリット
VSSのメリット |
説明 |
運用効率の改善 |
物理的に2台のスイッチが論理的に1台のスイッチになることから設定ファイルが1つになる。それにより
設定対象の機器が1台になることから管理が楽になる。また、2台で冗長化する場合、例えばHSRPなら
合計3つのIPアドレスを使用していたがVSSでは冗長化を維持しながらも割り当てるIPアドレスは1つでOK。
|
STP/HSRP不要 |
VSSではMEC(Multichassis EtherChannel)をサポートしています。StackWise Plus同様に異なる筐体
に対して、EtherChannelを提供することができるので、VSSを実装したCatalyst6500への接続に対して、
STPやHSRP/VRRPを使用しなくても、L2の冗長リンクとL3の冗長ゲートウェイを構成することができる。
|
柔軟な物理距離 |
VSSを構成するにあたり、VSSを構成する2台のCatalyst6500は近くに設置されている必要はありません。
VSSを構成する2台のC6500は、選択した10GEの光ファイバーの制限距離以内であれば、C6500同士が
どれほど離れていても問題はない。例えば、X2-10GB-ERを使用する場合は、最大40Kmも離れてもOK。
|
無停止NWの提供 |
VSSでは、シャーシ間のステート情報の同期によって、ステート情報に依存する通信(Forwarding Table
NetFlow、NAT、認証、認可など)が中断することがない。仮想スイッチメンバーに障害が発生した場合、
L2レベル、L3レベルのプロトコルの再コンバージェンスが不要であるため、安定した通信が継続できる。
|
システム帯域幅
1.4Tbps or 4Tbps |
SUP720-10Gのスイッチファブリック容量は720Gbpsあるが、VSSを構成した場合、どちらのシャーシでも
アクティブ状態となることからスイッチファブリックは最大で1.4Tbpsを提供することができるようになる。
※ SUP720-10G-3C/3CXLを使用した場合1.4Tbps、VS-S2T-10Gを使用した場合4Tbpsのファブリック。
|
◆ VSSとVSS1440の違い
VSSを構成できるスーパーバイザエンジンは、当初は「VS-S720-10G-3C」と「VS-S720-10G-3CXL」の
2種類でした。SUP720のシステム帯域幅は720GbpsであることからVSS構成で「720Gbps×2」として使用
できることから、このスーパーバイザの帯域幅を反映してVSS1440と呼ばれました。その後、VSSを使用
できるSUPに「VS-S2T-10G」と「VS-S2T-10G-XL」が追加されると、以下のような呼び方となりました。
VSSの呼び方 |
説明 |
VSS1440 |
VSS構成時に、VS-S720-10G-3C or 3CXLを使用した場合の呼称 |
VSS |
VSS構成時に、VS-S720-10G-3C/3FCLを使用した場合、またはVS-S2T-10G/XLを使用した場合の呼称 |
◆ VSS1440の構成要件
VSS1440を構成するための要件は以下の通り。VSS内でシャーシの型番が異なっていても問題ありませんが
VSS内でのスーパーバイザエンジンの型番は同一である必要があります。VSLでは、最低でも2リンクで構成。
ハードウェア/ソフトウェア |
構成要件 |
ソフトウェア |
Cisco IOS 12.2(33)SXH以降 |
スーパーバイザエンジン |
VS-S720-10GE-3C および VS-S720-10GE-3CXL |
モジュール |
・ CFC(Centralized Forward Card)を備えた6700シリーズのモジュールの全て
・ DFC(Distributed Forwarding Card)3C or DFC3CXLを備えた6700シリーズの全て |
DFC |
WS-F6700-DFC3C および WS-F6700-DFC3C-XL |
VSLポートになれるもの |
・ Virtual Switching Supervisor 720-10GEのアップリンクポート
・ WS-X6708-10G-3C および WS-X6708-10G-3CXL |
VSLの最大距離 |
X2-10GB-CX4(15m)、X2-10GB-LX4(300m)、X2-10GB-SR(26m)
X2-10GB-LR(10km)、X2-10GB-ER(40Km)、X2-10GB-LRM(MMFで220m)
|
シャーシ |
全てのシャーシ。※ 6503(Eシリーズ以外)、6509-NFBはサポートしない |
電源 |
・ 6503-E および 6504-E スイッチ ⇒ サポートされているすべての電源モジュール
・ 6506、6506-E、6509、6509-E、6509-NEB-A、6509-V-E、6513 スイッチ ⇒ 2500W以上 |
サービスモジュール |
Network Analysis Module 1 および 2 |
WANモジュール |
初期リリースではサポートされない。 |
◆ VSSの構成要素
VSSは仮想スイッチメンバーとVSL(Virtual Switch Link)により構成されます。そのVSSと接続する例えば
アクセスレイヤやコアレイヤのL2/L3スイッチはMEC( Multi-Chassis EtherChannel )により接続されます。
※ VSLでは2つの仮想スイッチメンバー間のコントロールプレーン間のトラフィックだけでなく、データトラフィックも転送される。
VSSの構成要素 |
説明 |
仮想スイッチメンバー |
VS-S720-10GE-3C/3CXL、またはVS-S2T-10G/XLを搭載したC6500シリーズのスイッチ |
VSL |
仮想スイッチメンバー間を10GEを使用して接続したリンク。(EtherChannelで最大8リンク可能) |
|