LLDP



 ◆ LLDPとは

 LLDP(Link Layer Discovery Protocol)は、
隣接するマルチベンダー機器に対して、自分の機器情報を
 アドバタイズするために使用するL2プロトコルです。CDPはシスコ機器だけしか隣接機器の情報が得られ
 ませんでしたが、LLDPでは異なるメーカーの隣接機器である場合もその機器のサマリ情報が得られます。

比較項目 LLDP CDP
標準規格 IEEE802.1AB CISCO独自
動作レイヤ データリンク層 データリンク層
アドバタイズ方法 マルチキャスト マルチキャスト
マルチキャストMACアドレス 0180.C200.000E 0100.0CCC.CCCC
Catalystスイッチのデフォルト 無効 有効



   



 LLDPは、隣接機器の検出に際して
TLVと呼ばれるタイプ(Type)長さ(Length)値(Value)の属性を
 を使用してネイバーから情報を認識することができます。LLDPで送信する「必須のTLV」は次の3つです。

 ・ Chassis ID
 ・ Port ID
 ・ Time To Live

 以下の5つのTLVについてはオプション(Optional)となります。

 ・ Port Description
 ・ System Name
 ・ System Description
 ・ System Capabilities
 ・ Management Address

TLV type Value TLV name Usage in LLDPPDU
0 End of LLDPDU Mandatory
1 Chassis ID Mandatory
2 Port ID Mandatory
3 Time To Live Mandatory
4 Port description Optional
5 System name Optional
6 System description Optional
7 System capabilities Optional
8 Management address Optional

 以下のIEEE固有のLLDP TLVも隣接機器への
 通知に使用されて
LLDP-MEDをサポートします。

 ・ ポートVLAN ID TLV
 ⇒ IEEE802.1(VLAN)関連項目
 ・ MAC/PHYコンフィギュレーション/ステータス TLV
 ⇒ IEEE802.3( LAN )関連項目


 LLDP-MED(LLDP for Media Endpoint Devices)はLLDPの拡張版であり、IP電話などのエンドポイント
 デバイスとネットワークデバイスの間で動作します。特にVoIPアプリケーションをサポートし、検出機能、
 ネットワークポリシー、PoE、コンポーネント管理、ロケーション情報のTLVを提供します。デフォルトで、
 すべての LLDP-MED TLV がイネーブルです。
 
※ ちなみに、CDP TLVでは「Native VLAN TLV」をサポートされていますが、LLDP-MED TLVではサポートされていません。



 ◆ LLDP - Catalystのデフォルト設定

機能 デフォルト値
 LLDP グローバルステート ディセーブル
 LLDP ホールドタイム(廃棄までの時間) 120秒
 LLDP タイマー(パケット更新頻度) 30秒
 LLDP 再初期化遅延 2秒
 LLDP tlv-select ディセーブル(すべての TLV との送受信)
 LLDP インターフェイス ステート ディセーブル
 LLDP 受信 ディセーブル
 LLDP 送信 ディセーブル
 LLDP med-tlv-select ディセーブル(すべての LLDP-MED TLV への送信)
LLDP がグローバルにイネーブルにされると LLDP-MED-TLV もイネーブル



 ◆ LLDP - Catalystスイッチの設定

 CDPはデフォルトで有効化されていますが、LLDPはデフォルトで無効なので有効化する必要があります。

 
◆ スイッチ全体でLLDPの有効化
 Catalyst(config) # lldp run


 上記の lldp run コマンドによって全てのインターフェースでLLDPの送受信が有効化されますが、特定の
 インターフェースに対してLLDPの送受信を無効化するためには以下のコマンドで設定変更します。

 ◆ LLDPパケットを送信しないようにインターフェース(G0/5)上で無効化

 Catalyst(config) # interface gigabitethernet0/5
 Catalyst(config-if) #
no lldp transmit



 ◆ LLDPパケットを受信しないようにインターフェース(G0/5)上で無効化

 Catalyst(config) # interface gigabitethernet0/5
 Catalyst(config-if) #
no lldp receive




 ◆ LLDPステータス確認
LLDPコマンド 説明
 show lldp  LLDPがグローバルで有効化しているかの確認、各種タイマー値の確認
 show lldp interface  LLDPが有効化されているインターフェースに関する情報の確認
 show lldp neighbors  LLDPのネイバー情報の確認
 show lldp neighbors detail  LLDPのネイバー情報の詳細な確認
 show lldp traffic  LLDPトラフィックのカウンターの確認
 show lldp errors  LLDPトラフィックのカウンターエラーの確認


 ◆ LLDPクリアコマンド
LLDPコマンド 説明
 clear lldp counters  LLDPのカウンターのクリア
 clear lldp table  LLDPネイバーテーブルの情報削除


 ◆ オプション:LLDPホールドタイムを180秒、LLDPの初期化遅延を3秒、LLDPパケットの更新頻度を60秒に変更する設定


 Catalyst(config) #
lldp holdtime 180
 Catalyst(config) # lldp reinit 3
 Catalyst(config) # lldp timer 60


 ◆ オプション:有効化するTLVを指定する設定(ここでは inventory-management を指定)


 Catalyst(config) #
interface gigabitethernet0/1
 Catalyst(config-if) # lldp med-tlv-select inventory-management




 ◆ LLDPによるVLANの割り当て設定 - トランクポートの場合( IP-PhoneにPCを接続する構成 )

 Cisco IP Phoneの場合は、CDPによってVLAN IDやQoS値をアドバタイズできますが、他メーカーの
 IP Phoneの場合は、それを実現するためにはLLDPを使用する必要があります。前提として、Catalyst
 スイッチだけでなくIP Phone側もLLDPに対応している必要があります。また、理論上可能であっても
 事前検証でしっかりと動作確認したうえで、実現の可否についてユーザーに報告するようにしましょう。
 
※ VLANの割り当ては「LLDP」ではなく「手動」の割り当てをお勧めします。その場合の設定は音声VLANをご参照下さい。

 ◆ Cisco以外のAvayaなどのIP電話にLLDPでVLANを割り当てる設定例( VLAN10 IP-Phone用、VLAN20 PC用 )


 Catalyst(config) #
lldp run

 Catalyst(config) # network-policy profile 1
 Catalyst(config-network-policy) # voice vlan 10

 Catalyst(config) #
interface gigabitethernet0/1
 Catalyst(config-if) # network-policy 1
 
Catalyst(config-if) # lldp med-tlv-select network-policy


 Catalyst#
show run interface gigabitethernet0/1

 interface gigabitethernet0/1
 switchport access vlan 20
 switchport mode access
 network-policy 1
 priority-queue out
 mls qos trust cos
 spanning-tree portfast


 IP電話機の型番により、正常に動作するものと動作しないものがありました。LLDPでVLAN IDを割り当てる場合は事前検証が必須。
 lldp med-tlv-select network-policy の設定は I/F でデフォルトで有効化されているため、コンフィグ上は表示されません。なお、
 IP Phone マニュアルに Cisco IP Phone でないにも関わらず switchport voice vlan を使用する例もありました。The switchport
 
voice vlan 10 command will cause the LLDP-MED to advertise VLAN 10 in its Network Policy TLV to the Avaya IP phone.

 MED Information:

 Capabilities: NP, PD, IN Device type: Endpoint Class III
 Network Policy(Voice): VLAN 10, tagged, Layer-2 priority: 5, DSCP: 46
 
Power requirements - not advertised Location - not advertised



Catalystスイッチ - 技術解説

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