◆ CiscoルータをDHCPサーバとして動作させる時は?
CiscoルータやL3スイッチは、DHCPサーバとして動作させることができます。そのコンフィグを解説。
大規模ネットワークでは、CiscoルータをDHCPサーバにすることは先ずなく、アプライアンス製品を
使用しますが、小規模ネットワークでは、CiscoルータをDHCPサーバとして動作させることがあります。
◆ DHCPサーバの設定 - 前提
Cisco IOSでは、DHCPサービスはデフォルトで有効化されているので、以下のコンフィグは不要です。
ただし、無効化した場合には以下のコマンドを入力して有効化させる必要があります。
◆ DHCPサービスの有効化
(config)# service dhcp
◆ DHCPサーバの設定 - 除外するIPアドレスの設定
DHCPクライアントには、ルータやスイッチ等のネットワーク機器のIPアドレス、サーバのIPアドレスを配布
しないよう除外IPアドレスを設定します。この設定はグローバルコンフィグレーションモードで設定をします。
◆ 除外するIPアドレスの設定
(config)# ip dhcp excluded-address ip-address | last-ip-address
コマンド引数 |
説明 |
ip-address |
DHCPで配布しないIPアドレス(除外するIPアドレス)の指定。除外するIPアドレスの先頭を定義。
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last-ip-address |
DHCPで配布しないIPアドレス(除外するIPアドレス)の指定。除外するIPアドレスの最後を定義。
設定例 : 192.168.0.250 から 192.168.0.254 までの5つのIPアドレスを配布しない設定
(config)# ip dhcp excluded-address 192.168.0.250 192.168.0.254
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◆ DHCPサーバの設定 - DHCPプールの設定
CiscoルータをDHCPサーバとして動作させるためには、DHCPのプール( PCなどに配布されるIPアドレスを
蓄える場所)の設定を行う必要があります。そのために先ずDHCPプールの名前を設定します。このコマンド
入力後、DHCPコンフィグレーションモード(dhcp-config)が開始され、DHCPプールの各種設定を行います。
◆ @ DHCPプール名の設定
(config)# ip dhcp pool pool-name
コマンド引数 |
説明 |
pool-name |
DHCPプールを識別するための名前。識別しやすい文字列や番号を適当に定義する。
(config)# ip dhcp pool SALES
(dhcp-config)#
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◆ A ネットワークアドレスの設定
(dhcp-config)# network network subnet-mask | prefix-length
コマンド引数 |
説明 |
network |
DHCPクライアントに割り当てるネットワークアドレスを指定する。例えば、192.168.1.0/24 の
ネットワークのIPアドレスをDHCPで割り当てたい場合は、以下のように設定する。
(dhcp-config)# network 192.168.1.0 255.255.255.0
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subnet-mask |
DHCPクライアントに割り当てるネットワークアドレスのサブネットマスクを指定。設定例は上記。
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prefix-length |
ネットワークアドレスはサブネットマスクまたはプレフィックス長でも指定できる。例:192.168.1.0/24
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◆ B デフォルトゲートウェイの設定
(dhcp-config)# default-router ip-address
コマンド引数 |
説明 |
ip-address |
DHCPクライアントに通知するデフォルトゲートウェイを指定する。デフォルトゲートウェイは
最大で8つのIPアドレスを指定できる。複数を指定した場合、複数が通知される。当然ながら
上記のnetworkコマンドで定義したネットワークと同じセグメントのIPアドレスをここで設定する。
(dhcp-config)# default-router 192.168.1.254
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◆ C DNSサーバの設定 - オプション
(dhcp-config)# dns-server ip-address
コマンド引数 |
説明 |
ip-address |
DHCPクライアントに通知するDNSサーバのIPアドレスを指定する。DNSサーバのIPアドレスは
最大で8つのIPアドレスを指定できる。複数を指定した場合、複数が通知される。※オプション設定
(dhcp-config)# dns-server 172.16.1.10 172.16.1.11
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◆ D ドメイン名の設定 - オプション
(dhcp-config)# domain-name name
コマンド引数 |
説明 |
name |
DHCPクライアントに通知するドメイン名を指定する。※オプション設定
(dhcp-config)# domain-name infraexpert.com
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◆ E リース期間の設定 - オプション
(dhcp-config)# lease days hours minutes | infinite
コマンド引数 |
説明 |
days hours minutes |
DHCPクライアントに配布したIPアドレスの有効期限の設定。一般的には日数で指定する。
設定を省略した場合、デフォルトの有効期限である1日が払い出しの有効期間となります。
有効期間が過ぎた場合、クライアントはIPアドレスを再度DHCPサーバから取得しようとする。
設定例 : 有効期間 7日間
(dhcp-config)# lease 7
設定例 : 有効期間 12時間
(dhcp-config)# lease 0 12
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infinite |
DHCPクライアントへのIPアドレスの払い出し期間を無制限にする設定
(dhcp-config)# lease infinite
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◆ オプション設定:DHCPデータベースエージェントの設定
DHCPデータベースエージェントは、DHCPによるIPアドレッシング等のバインディングデータベースを
保存するFTPやTFTPサーバなどのホストのことです。IOSでは、DHCPデータベースエージェントを指定
したり、データベースアップデートとデータベース転送の遅延設定やタイムアウト値を定義できます。
◆ DHCPデータベースエージェントの設定
(config)# ip dhcp database url [ timeout seconds | write-delay seconds ]
Cisco IOSをDHCPサーバとして稼動させていて、DHCPデータベースエージェントとして設定しない場合
次のように設定することが推奨です ⇒(config)# no ip dhcp conflict logging
◆ Ciscoコンフィグ - DHCPサーバの設定例
Cisco IOSでDHCPサーバの設定完了後、以下のコマンドでそのステータスを確認することができます。
IOS確認コマンド |
説明 |
show ip dhcp pool |
コンフィグ設定したDHCPプールに関する情報を表示 |
show ip dhcp conflict |
DHCPサーバにより検出したIPアドレス競合を表示 |
show ip dhcp binding |
DHCPにより配布されたIPアドレスとMACアドレスを対応付けたマッピング情報の表示
このコマンドにより、どのIPアドレスがどのクライアントPCへ配布されたのか分かる。 |
debug ip dhcp server packet |
DHCPサーバからのパケットをリアルタイムに追跡できる(大規模な本番環境では使用NG)
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