◆ ディスタンスベクタ型ルーティングプロトコルのタイマー
ディスタンスベクタ型のルーティングプロトコル(RIP)には4種類のタイマーがあります。
4種類のタイマー |
説明 |
RIPタイマー |
Update |
定期的なルーティングアップデートの送信間隔。ルーティングアップデートの送信時に
このタイマーは0秒にセットされる。そしてタイマーがまた30秒に達した時、ルーティング
アップデートが再度送信される。Updateタイマーは、この動作を繰り返し行い続ける。
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30秒 |
Invalid |
ルーティングアップデートを最後に受信してから、あるルートが無効であると認識する
までの時間。ルーティングアップデートを受信するたびに、この無効タイマーが0秒に
セットされる。ルーティングアップデートを受信できない時間が180秒に達すると、受信
できなかったあるルートは無効(Invalid)だと認識されて、Hold downタイマーが起動する。 |
180秒 |
Hold down |
ある経路がダウンしたことを示すアップデートを受信した時、その経路情報を誤って
再登録しないように、その経路情報がダウンしたことを全てのルータが認識できるよう
するための待ち時間。無効タイマーが上限(180秒)に達した時か、ルートポイズニング
などの到達不能を示すメトリック値(ホップ数16)の経路情報を受信した時に起動する。
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180秒 |
Flush |
ルーティングアップデートにより受信した経路情報をルーティングテーブルに保持できる
時間。Flushタイマーが上限(240秒)に達した時、受信できなかった経路はルーティング
テーブルから削除される。FlushタイマーはInvalidタイマーと同時に起動して、Invalidの
タイマーと同様にルーティングアップデートを受信するとタイマーは0秒にセットされる。
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240秒 |
下図は、正常に動作している時の状態です。定期的に30秒ごとにルーティングアップデートを隣接ルータに
送信するので、それを受信したルータはその都度、InvalidタイマーとFlushタイマーが 0 秒にセットされます。
そのため、正常時ではInvalidタイマーが上限に達しない(180秒に達しない)のでHold downタイマーが起動
したりすることはありませんし、Flushタイマーが上限に達しない(240秒に達しな)ので経路は削除されません。
一方、下図は何かの理由により180秒の間、R1からR2にルーティングアップデートが送信されなかった結果、
Invalidタイマーが上限(180秒)に達して [ 192.168.1.0/24 ] の経路に対し、Hold downタイマーが180秒間
R2で起動します。※ルートポイズニングを受信した場合は、Invalidタイマーが上限に達しなくてもHold down
タイマーは起動します。Hold downタイマーの起動が終了すると [ 192.168.1.0/24 ] の経路が削除されます。
上図のようにInvalidタイマーが起動してから180秒経過してHold downタイマーが起動した場合、Hold down
タイマーの180秒間が終了する前にFlushタイマーが先に終了することから、このFlushタイマーの終了によって
Hold downタイマーは解除され、ルーティングテーブルからも 192.168.0.0/24 が削除されることになります。
※ Invalidタイマー(180秒)+ Hold downタイマー(180秒)の合計360秒より、Flushタイマーの240秒の方が早く終了するから。
これらの内容はRIPの仕様上の解説です。ネットワーク機器のメーカーは、これらのRIPの仕様にしたがって
ソフトウェア上にRIPをプログラミングしますが、仕様に影響を与えないレベルで最適化して実装させる場合
が多いです。それゆえに、ここで解説した内容と実際のネットワーク機器は異なる動作をすることがあります。
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