◆ ディスタンスベクタ型ルーティングプロトコル - RIP
ここからはディスタンスベクタ型のルーティングプロトコルであるRIPについて解説。RIPの特徴は
以下の通りです。RIPにはRIPv1とRIPv2の2つがありますが以下の特徴はこれらに共通する内容です。
項目 |
RIP(RIPv1 / RIPv2)の特徴 |
ルーティングプロトコルのタイプ |
ディスタンスベクタ型。距離(distancce)と方向(vector)を基準に最適ルートを決定。 |
メトリック |
ホップ数(経由するルータの数)。最大ホップ数は15。16ホップの経路は到達不能なルート。 |
ルーティングプロトコルのタイマー |
Update(30秒) Invalid(180秒) Hold down(180秒) Flush(240秒) |
ルーティングのアップデート方法 |
定期的(30秒)にテーブル全体を隣接ルータに通知。障害発生時はトリガードアップデート。 |
ロードバランシング |
同じメトリック値の最適経路が複数ある場合、最大16までの経路を保持するこができる。 |
クラスフル or クラスレス |
RIPv1はクラスフルルーティング、RIPv2はクラスレスルーティングを行う。 |
RIPv1とRIPv2の違いは以下の通りです。大きな違いはクラスフルなのかクラスレスなのかという点です。
項目 |
RIPv1 |
RIPv2 |
アップデートの通知方法 |
ブロードキャスト ( 255.255.255.255 ) |
マルチキャスト ( 224.0.0.9 ) |
クラスフル or クラスレス |
クラスフル |
クラスレス |
経路集約 |
自動経路集約のみ |
自動経路集約、手動経路集約のとちらでも可能 |
VLSMのサポート |
サポートなし |
サポートあり |
認証 |
サポートなし |
サポートあり |
◆ RIP - RIPの起動設定
RIPを起動させるためには、グローバルコンフィグレーションモードで以下のコマンドを入力します。
Cisco(config) # router rip
Cisco(config-router) #
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RIPを有効にしたいインターフェースをIPアドレスで指定します。IPアドレスで指定する際には、そのI/Fの
IPアドレスをクラスフルアドレスとして指定します。例えば、RIPを有効にしたいI/FのIPが192.168.1.254の
場合は [ 192.168.1.0 ] として指定、[ 172.16.10.254 ] の場合は「172.16.0.0」 としてクラスフルに指定。
構文は [ network クラスフルアドレス ]。以下はR1の [ F0/0 ] と [ F0/1 ] のI/Fを有効にするため設定です。
Cisco(config-router) # network 192.168.0.0
Cisco(config-router) # network 192.168.1.0
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基本的な設定はこの2つだけです。これだけでCiscoルータでRIPv1が起動しダイナミックルートがルータ間で
でやりとりされます。R3ではnetworkコマンドで定義したのは1行だけですが、R3のF0/0の[ 172.16.1.3 ]と
F0/1の[ 172.16.2.3 ]のクラスフルアドレスは同じ [ 172.16.0.0 ] なので、この1行で両方を指定しています。
◆ RIP - RIP version 2 の設定
CiscoルータでRIPを起動するとデフォルトのバージョンは1です。RIPをバージョン2として動作させるには
router ripコマンドを入力しルータコンフィグレーションモードに移行してから以下のコマンドを入力します。
Cisco(config-router) # version 2 |
◆ RIP - I/FごとのRIPバージョンの設定
RIPのバージョンは隣接ルータと一致させる必要があります。自身がRIPv1で動作しているなら隣接ルータも
RIPv1で動作させる必要があります。なお、Ciscoルータではインターフェース毎に動作させるRIPバージョン
を変更することができます。例えば、あるネットワークで多くのルータがRIPv2として動作しているとします。
しかし下図のようにR1のルータだけRIPv1として動作しているとします。その場合は以下コマンドを設定する
ことで、R2はR1と接続するインターフェースだけをRIPv1として動作させられます。RIPv1として動作、とは
Ciscoルータがそのインターフェース上でRIPv1のパケットを送信、RIPv1のパケットを受信するという事です。
Cisco(config) # interface FastEthernet 0/1
Cisco(config-if) # ip rip send version 1
Cisco(config-if) # ip rip receive version 1
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コマンド構文 : (config-if) # ip rip send version [ 1 | 2 | 1 2 ] ← 特定のI/Fで送信するRIPバージョンの設定
コマンド構文 : (config-if) # ip rip receive version [ 1 | 2 | 1 2 ] ← 特定のI/Fで受信するRIPバージョン設定
以上から、例えば特定のインターフェースにてRIPv2のパケットを送受信したい場合、ip rip send version 2と
ip rip receive version 2を設定すればいいことが分かります。また、特定のインターフェースでRIPv1とRIPv2
の両方のパケットを送受信したい場合は、ip rip send version 1 2、ip rip receive version 1 2 と設定します。
ところで、CiscoルータのデフォルトはRIPバージョン1と申し上げましたが正確にはRIPv1とRIPv2のパケット
の両方受信 (ip rip receive version 1 2) しますが、RIPv1だけのパケットを送信 (ip rip send version
1) する
のがデフォルト状態。ゆえにrouter ripでversion 1コマンドを設定するとデフォルトと異なる動作になります。
※ RIPのバージョンをRIPv2からデフォルトの状態に戻すためには、[ version 1 ] と入力するのではなく [ no version 2 ] と入力。
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