◆ RIP - 自動経路集約の無効化
RIPv2の場合は、自動経路集約がデフォルトで有効 (auto-summary) です。下図のように不連続な
サブネットがある場合、自動経路集約を無効 (no auto-summary) にする必要があります。そもそも
不連続サブネットの有無に関係なく、クラスレスルーティングプロトコルでは自動経路集約は無効に
するのが常識です。そして、経路集約を行う場合は、手動経路集約で制御するのが一般的な手法です。
Cisco(config-router) # no auto-summary |
◆ RIP - アップデート送信の制御
RIPでは、定期ルーティングアップデートを隣接ルータに送信しますが、隣接ルータがいるいないに関係なく
RIPが有効化されたインターフェースからアップデートが送信されます。例えば、下図のようにR1やR3では
PC側のネットワーク [ 192.168.0.0/24 と 172.16.0.0/16 ] も経路情報として伝えるためnetworkコマンド
で設定する必要がありますが、PC側のネットワークに隣接ルータがいない場合は、ルーティングアップデート
の送信は必要はありません。その場合は、passive-interfaceで特定のI/Fからのアップデートを抑制できます。
Cisco(config-router) # passive-interface FastEthernet0/0 |
passive-intefaceで注意すべき点が2点あります。1つは、passive-interfaceで指定したインターフェースは
ルーティングを無効化される訳ではないので[ 192.168.0.0/24 ] と [ 172.16.2.0/24 ] の間は通信できます。
2つ目は、指定したI/Fからアップデートは送信されなくなるが、受信すること自体は可能であるという点です。
◆ RIP - ロードバランシングの数の変更
RIPではある宛先ルートに対して同じメトリック値のパスがある場合、ロードバランスを行い通信を行えます。
下図では [ 192.168.0.1 ] から [ 192.168.6.1 ] に通信を行う場合、R2経由とR3経由とも同じメトリック値。
その場合はルーティングテーブルに従って、最初のパケットはR2経由、次のパケットはR3経由で転送されて
ロードバランスされます。RIPではデフォルトで4つのパスを同時に使用することができます。下図の場合は
2つのパスを同時に使用していますが、同時に5つ以上のパスを使用したい場合、maximum-paths コマンド
でロードバランスの数を変更できます。以下の設定例では、同時に6つ使用できるように設定変更しています。
Cisco(config-router) # maximum-paths 6 |
下図の場合は、同時に2つのパスを使用しているだけでなので、maximum-pathsコマンドによるRIPの設定変更は必要ありません。
◆ RIP - デフォルトルートの配布
RIPのルーティングアップデートでデフォルトルートを含めたい場合、デフォルトルートのスタティックルート
を設定しているルータでdefault-information originateコマンドを入力します。下図は、R1がインターネット
接続をしているルータであり、このルータでデフォルトルートを設定しています。このR1から隣接ルータへの
アップデートに [ 0.0.0.0/0 ] の経路情報が含まれて、RIPが起動するルータはその経路を受信していきます。
Cisco(config-router) # default-information originate |
R1でのdefault-information originateコマンド設定により、例えばR3のネットワークのクライアントPCから
インターネット通信したい場合、R3のルーティングテーブルではデフォルトルートの経路を受信しているので
[ R* 0.0.0.0/0 [ 120/2 ] via 192.168.1.2 ・・ ] という経路情報に合致してR2へ転送されます。次のR2では
[ R* 0.0.0.0/0 [ 120/1 ] via 172.16.1.3 ・・ ] という経路情報に合致しR1へ転送されます。最後のR1では
手動設定したスタティックルート [ ip route 0.0.0.0 0.0.0.0 100.1.1.2 ] に従いISPルータへ転送されます。
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