◆ EIGRPとは
EIGRPとは、シスコ独自のルーティングプロトコルです。ディスタンスベクタ型とリンクステート型の
両方の利点を備えているので拡張ディスタンスベクタ型またはハイブリッド型ルーティングプロトコル
と言われています。DUALアルゴリズムを使用した高速コンバージェンス、VLSMサポート、差分アップ
デート、Helloパケットでのネイバー検出と隣接関係の維持等、リンクステート型の特性を備えています。
Cisco製品だけで構築するネットワークでは、EIGRPが最適なダイナミックルーティングプロトコルです。
◆ EIGRPの特徴
項番 |
EIGRPの特徴 |
説明 |
@ |
Cisco独自のプロトコル |
シスコ独自のプロトコル(※1)のため、他社製のルータが混在する環境では使用できない。 |
A |
ハイブリッド型プロトコル |
ディスタンスベクタ型とリンクステート型の両方の利点を兼ね備えたプロトコル。 |
B |
高速なコンバージェンス |
DUALにより最適ルートとバックアップルートを選択しているので高速収束を実現。 |
C |
複合メトリックを使用 |
メトリック値に「帯域幅、遅延、信頼性、負荷、MTU」による複合メトリックを使用する。 |
D |
VLSMのサポート |
通知するルート情報にサブネットマスクを含められるクラスレスルーティングプロトコル。 |
E |
手動経路集約のサポート |
I/F上で手動経路集約が可能。また、クラスフルの境界での自動経路集約もサポート。 |
F |
プロトコルフリー |
IP、IPX、AppleTalkをサポートし複数のネットワーク層プロトコルを使用した混在環境が可能。 |
G |
差分アップデート |
定期アップデートせずトポロジ変更時に差分のみマルチキャスト(224.0.0.10)でアップデート。 |
※1 現在では、EIGRPはIETFに仕様(RFC7868)を公開しています。
◆ EIGRPの3つのテーブル
EIGRPには、ネイバーテーブル、トポロジテーブル、ルーティングテーブルの3つのテーブルが存在します。
EIGRPのテーブル |
説明 |
ネイバーテーブル |
Helloパケットによりネイバー関係が確立されたEIGRPルータのネイバーリスト。 |
トポロジテーブル |
学習した宛先ネットワークへの全てのルートを保持するデータベース。 |
ルーティングテーブル |
トポロジテーブルから得られた最適ルート。受信したパケット転送の際に使用。 |
先ず、EIGRPルータは隣接ルータとHelloパケットを交換して、ネイバー関係を確立します。Helloパケットは
定期的に送信されてネイバー維持としても使用されます。一定時間受信しないとネイバーダウンと見なします。
次に、自身で保持するルート情報を、Updateパケットによりお互いに通知し合います。このUpdate
パケットで受信したルート情報は、トポロジテーブルに格納され、トポロジテーブルが作成されます。
最後に、EIGRPのDUALアルゴリズムに従って、トポロジテーブルに格納したルート情報のうち最適ルートは
ルーティングテーブルに格納されます。
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