◆ EIGRP - プロセスの起動
ルータでEIGRPを起動させるためには以下の設定をします。EIGRPにAS(Autonomous System)という
用語がありますがBGPで使用されている「AS」という用語と意味が異なるので混同しないようにしましょう。
EIGRPのAS番号には 1 〜 65535 の値が使用できます。管理者は、1 〜 65535 の範囲で使用するAS番号
を決められますが、EIGRPルータとネイバー関係を確立するためには、両者で同じ値にする必要があります。
◆ EIGRPプロセスの起動
(config)# router eigrp autonomous-system
コマンド引数 |
説明 |
autonomous-system |
AS(自律システム)番号を1 〜 65535の範囲で指定。ネイバールータと同じ値にする必要がある。
AS番号 1 のEIGRPプロセスを起動させる設定例を以下に示す。
(config)# router eigrp 1
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EIGRPプロセスを無効化したい場合 no router eigrp autonomous-system コマンドを入力。設定例 (config)#
no router eigrp 1
◆ EIGRP - 有効化するインターフェースの指定
EIGRPを有効化するインターフェースを指定するためにはnetworkコマンドを使用します。なお、有効化する
インターフェースの指定方法は複数ありますが、有効化したいI/Fを指定できていれば良く、設定方法は好みの
問題です。以下コマンドは router eigrp 1 でEIGRPプロセスを起動しEIGRPコンフィグモードで設定します。
◆ EIGRPを有効化するインタフェースの指定
(config-router)# network address wildcard-mask
コマンド引数 |
説明 |
address |
EIGRPを有効化したいI/Fを「ネットワークアドレス」または「インターフェースのIPアドレス」で設定。
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wildcard-mask |
EIGRPを有効化したいI/Fのアドレスを読み取るためのワイルカードマスクの指定。 |
172.16.1.1/24のIPアドレスが割り当てられたインターフェースでEIGRPを有効化したい設定例は以下です。
設定例 1 : (config-router)# network 172.16.1.0 0.0.0.255
設定例 2 : (config-router)# network 172.16.1.1 0.0.0.0
ワイルドカードマスクは、指定したIPアドレスのどの部分を読み取る必要があるのかを指定するための情報。
ワイルドカードマスクは32ビットの数値で4オクテットごとにドット( . )で区切り10進数表記。ルールは2つ。
@ ワイルドカードマスクの「0」は、指定したIPアドレスのビットをチェック (合致確認) することを示す。
A ワイルドカードマスクの「1」は、指定したIPアドレスのビットをチェックしないことを示す。
※ ワイルドカードマスクをはじめから学習したい方は、ACL - ワイルドカードマスクを先ずご参照下さい。
◆ EIGRP - 帯域幅 (bandwidth) の設定 - オプション設定
EIGRPの複合メトリックの1つの帯域幅(bandwidth)は、デフォルトでインターフェースの値の帯域幅が
値として定義されています。100MbpsのI/Fなら、sh interfacesで確認すると BW 100000 Kbit/sec です。
しかし、シリアルインターフェースではデフォルトで1544Kbpsとなっているのですが、例えば128Kbpsの
WANと接続する場合でも、デフォルトでは sh interfaces で確認するとBW 1544 Kbit/secになっています。
複合メトリックの1つである帯域幅(bandwidth)は、そのインターフェースに接続された回線速度ではなく、
あくまでsh interfacesの「BW 〜 Kbit/sec」の値を参照してメトリック計算するので、このようにシリアル
インターフェースの場合は、以下で紹介するbandwidthコマンドで適切な値を設定することが推奨されます。
※ bandwidthコマンドはあくまでもメトリック計算用のコマンドであり、リンクのスピードは変化しません。
◆ メトリック調整のためのbandwidthの設定
(config-if)# bandwidth kbps
コマンド引数 |
説明 |
kbps |
メトリック計算用としてインターフェースの帯域幅の指定。単位は kbps。
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