◆ EtherChannelとは
EtherChannelとは複数の物理リンクを束ねて1つの論理リンクとして扱える技術のことです。一般的には
リンクアグリゲーションと呼ばれる技術のことですが、Ciscoではそれを EtherChannel と呼んでいます。
EtherChannel の実装で、下図の組合せの機器構成で物理リンクを束ねて利用可能な帯域幅を増やせます。
1Gbpsの物理リンクを2本束ねると2Gbps、10Gbpsの物理リンクを2本束ねると20Gbpsの通信帯域幅へ。
また、スパニングツリーでも1本のリンクと見なすことから、STP設計やループなどを意識する必要がなく
物理リンクのうち1本に障害が発生しても残りの物理リンクで通信が継続できて、耐障害性も強化されます。
構成例では物理リンクを2本を束ねていますが、機種によって物理リンクを4本や8本を束ねることも可能。
また、FastEthernet、GigabitEthernet、10GigabitEthernet の物理メディアでこの技術を実装できます。
◆ L2 EtherChannel と L3 EtherChannel
CatalystスイッチのEtherChannelには L2 EtherChannel と L3 EtherChannel の2つがあります。一般的に
よく使用されているのはL2 EtherChannelです。L2 EtherChannel と L3 EtherChannel の違いは以下の通り。
なお、L3 EtherChannelではルーティングプロトコルはEtherChannelを1つのリンクとして認識してくれる
ことから、EtherChannelのリンク障害が発生した場合でもルーティングプロトコルの再収束は行われません。
EtherChannel |
スイッチポート設定 |
説明 |
L2 EtherChannel |
switchport |
複数のL2スイッチポートを論理的に束ねる |
L3 EtherChannel |
no switchport |
複数のL3ルーテッドポートを論理的に束ねる |
◆ Port-Channelとは
Port-Channelとは、Catalystのコンフィグで使用する用語であり、物理ポートを束ねた論理ポートのこと。
Catalystスイッチの物理ポートをバンドルしてPort-Channelが生成された後に、コンフィグの設定変更を
したい場合はその物理ポートではなく論理ポート(Port-Channel)に対しコンフィグの設定変更をします。
1つの論理ポートにバンドルする物理ポートのコンフィグは、基本的に全く同じ設定にする必要があります。
◆ EtherChannel の形成方法
CatalystスイッチでEtherChannelを形成する方法は、スタティックとダイナミックの2種類があります。
EtherChannelを形成方法 |
説明 |
スタティック |
物理ポートでネゴシエーションせずに強制的にEtherChannelを形成する手法 |
ダイナミック |
物理ポートでPAgPやLACPプロトコルによりネゴシエーションしてEtherChannelを形成する手法 |
PAgPやLACPプロトコルを使用することで、EtherChannelの自動生成と維持を実現することができます。
PAgPとLACPに互換性がないため「自身の物理ポート」と「対向の物理ポート」とで同じプロトコルを
使用する必要があります。また、PAgPはシスコ独自のプロトコルであるため、Cisco機器の間でのみ使用
して、LACPは他ベンダーの機器との接続や、Cisco機器とサーバ間との接続で主に使用されるプロトコル。
ダイナミックで使用するプロトコル |
束ねられる最大ポート数 |
説明 |
PAgP |
8 |
シスコ独自のプロトコル |
LACP |
16 |
IEEE802.3adで標準化されたプロトコル |
※ LACPで束ねられる最大ポート数は「16」としていますが、同時に使用できるのは最大8ポートであり残りはスタンバイポート。
◆ PAgPの2種類のモード
PAgPには以下の2種類のモードがあります。どちらのモードでも対向ポートとのネゴシエーションの際に、
物理ポートの「speed/duplex、VLAN番号、トランクステータス」などの条件に基づいてEtherChannelの
形成が可能かどうかを判断します。デフォルトのモードは「auto」ですが、Catalyst間のEtherChannelで
使用する際にシスコが推奨しているモードは「desirable」です。
PAgPのモード |
説明 |
auto |
消極的なネゴシエーション。物理ポートは受信するPAgPパケットに応答するが、ネゴは開始しない。 |
desirable |
積極的なネゴシエーション。物理ポートはPAgPパケットを送信することでネゴシエーションを開始する。 |
EtherChannelを形成するためには以下どちらかのパターンである必要があり、両方とも「auto」は不可。
・ 両方のポートで「desirable」モード
・ 自身のポートを「desirable」モード、対向のポートを「auto」モード
◆ LACPの2種類のモード
LACPには以下の2種類のモードがあります。どちらのモードでも対向ポートとのネゴシエーションの際に、
物理ポートの「speed/duplex、VLAN番号、トランクステータス」などの条件に基づいてEtherChannelの
形成が可能かどうかを判断します。デフォルトのモードは「passive」です。考え方は PAgP とおなじです。
LACPのモード |
説明 |
passive |
消極的なネゴシエーション。物理ポートは受信するLACPパケットに応答するが、ネゴは開始しない。 |
active |
積極的なネゴシエーション。物理ポートActiveパケットを送信することでネゴシエーションを開始する。 |
EtherChannelを形成するためには以下どちらかのパターンである必要があり、両方とも「passive」は不可。
・ 両方のポートで「active」モード
・ 自身のポートを「active」モード、対向のポートを「passive」モード
◆ LACPにおけるアクティブポートとスタンバイポートの決定( 9ポート以上で形成する場合)
LACPで「16」の物理ポートを束ねる場合、システムプライオリティ値が最も小さいスイッチが、ポートに
アクティブ・スタンバイの役割を割り当て、8個のアクティブポートと8個のスタンバイポートを決定します。
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