◆ IRDPとは
IRDPは、有効なデフォルトルートを通知するメカニズムをルータに提供する「ICMPの拡張機能」です。
IPホストは既存のプライマリールートが利用不能になった時にIRDPを使用して新しいパスを得ることが
できます。IRDPでは、ホストでの手動設定も必要なく、ルーティングプロトコルを認識する必要もない。
※ 現在の企業ネットワークにおいて、このような怪しいプロトコルが使用されることは先ずありません。
IRDPを使用するホストは、I/F上でIRDPが有効になっているルータから、IRDPアドバタイズメントを
リスンします。その通知された情報は予め定義されたホールドタイム値の間だけ有効とみなされます。
ホールドタイム値の期間中に新しいアドバタイズメントを受信できなかった場合、アドバタイズされた
情報は無効と見なされ削除されます。IRDPのアドバタイズメントはデフォルトで450秒〜600秒ごとに
一回送信されます。デフォルトのホールドタイム値は30分。※ IRDPの機能はデフォルトで無効です。
◆ IRDPのコマンド
IRDPはデフォルトでディセーブルであり、IRDPを利用するためには以下のI/F設定を行う必要があります。
Cisco(config-if)# ip irdp [ multicast | holdtime seconds | maxadvertinterval seconds |
minadvertinterval seconds | preference number | address address number ]
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キーワード |
説明 |
multicast |
任意:IRDPアドバタイズメントをマルチキャストで行う場合に使用。
デフォルトではIRDPアドバタイズメントはブロードキャストで転送される。
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holdtime seconds |
任意:アドバタイズメントが有効とみなされるホールドタイム値。デフォルトでは
maxadvertinterval の3倍の値であり maxadvertinterval よりも大きい必要がある。
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maxadvertinterval seconds |
任意:アドバタイズされるまでの最大インターバル値。1秒から1800までの間。
0を指定した場合、求められた時だけアドバタイズします。デフォルト値は600秒。
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minadvertinterval seconds |
任意:アドバタイズされるまでの最小インターバル値。1秒から1800までの間。
デフォルト値は450秒。
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preference number |
任意:プレファレンス値。この値が大きいほどルータの優先度が高くなり
IRDPのプライマリールータとなる。デフォルト値は 0 。
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address address [ number ] |
任意:proxy advertiseへのIPアドレス。そのアドレスに対してプレファレンス値も指定可。
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◆ IRDPの設定例
下図では、IRDPにより2つのルータがIRDP対応ホストに対してデフォルトルートをアドバタイズしています。
ホストは2つのデフォルトルートを保持することになりますが、優先パスはR1から受信したデフォルトルート
になるようpreference値をR1に100と設定しています。R1のルータがダウン後、ホールタイム値が過ぎれば
R2から受信したデフォルトルートを使用しますが、R1がアクティブになるとR1から受信したデフォルトルート
を使用するようになります。アドバタイズメントインターバル値は「3〜6秒」、ホールド値は「18秒」と定義。
R1(config)# interface FastEthernet 0/0
R1(config-if)# ip address 192.168.0.1 255.255.255.0
R1(config-if)# ip irdp
R1(config-if)# ip irdp maxadvertinterval 6
R1(config-if)# ip irdp minadvertinterval 3
R1(config-if)# ip irdp holdtime 18
R1(config-if)# ip irdp preference 100
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R2(config)# interface FastEthernet 0/0
R2(config-if)# ip address 192.168.0.2 255.255.255.0
R2(config-if)# ip irdp
R2(config-if)# ip irdp maxadvertinterval 6
R2(config-if)# ip irdp minadvertinterval 3
R2(config-if)# ip irdp holdtime 18
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実際の検証ではIRDP対応ホストとしてルータを使用(グローバルコンフィグで no ip routing と ip gdp irdp を定義)しました。
R1とR2のIRDPのステータスは show ip irdp で確認、IRDP対応ホスト( ルータ )は show ip route によりステータスを確認。
◆ LANホストからのファーストホップ
ある宛先に至るファーストホップとなるルータ(デフォルトゲートウェイ)をホスト(クライアントPC)が
調べる方法には以下の方法があります。今日の企業LANでは、一般的にVRRPやHSRPなどが使用されます。
※ スタックで冗長化されたL3スイッチがある場合、これらは使用せずにL3スイッチのIPアドレスを指定。
デフォルトゲートウェイをLANホストが調べる方法 |
ダイナミックプロセス |
Proxy ARP / IRDP |
スタティックプロセス |
VRRP / HSRP / GLBP |
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