◆ NATとは
NAT(Network Address Translation)はIPアドレスを変換する技術です。一般的には、プライベート
IPアドレスをグローバルIPアドレスに変換する技術とされています。インターネットでは、グローバル
IPアドレスを使用して構築したネットワークですが、企業ネットワークでは、プライベートIPアドレス
を使用して構築されたネットワークなので、企業LANネットワークのクライアントPCがインターネット
接続する場合、プライベートIPアドレスをグローバルIPアドレスに変換(NAT)をする必要があります。
◆ NATの特徴
NATでは一般的にIPパケットのヘッダ内にある送信元IPアドレスを変換します。企業ネットワークでは
送信元IPアドレスがプライベートIPアドレスなので、NATによってグローバルIPアドレスに変換します。
NATでは、企業内LANのクライアントPCに割り当てられたIPアドレスを変換してインターネット通信が
行われることから、セキュリティが向上する利点がある一方、アプリケーションによりNAT変換による
通信では正常に動作しない問題点もあります。※ L3ではなくL7のデータ部にもIP情報がある場合です。
NATでは内部(企業内LAN)ネットワークから外部(インターネット)ネットワークへ、パケットが送信
される時は、IPパケットのヘッダ内にある送信元IPアドレスが変換されるが、下図のように外部から内部
へパケット(サーバからの返信パケット)が送信される時は宛先IPアドレスが変換されることになります。
◆ CiscoにおけるNAT用語
シスコではNATの用語を以下のように定義しています。以下の用語がCiscoルータなどのNAT変換を
行う機器において実際のステータス情報として出力されるので、正しく理解しておく必要があります。
NAT用語 |
Ciscoでの出力表示 |
内容 |
内部ローカルアドレス |
Inside local
|
内部ネットワークのホストに割り当てられるIPアドレス
(一般的には、企業LANで割り当てられるプライベートIPアドレス)
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内部グローバルアドレス |
Inside global
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外部ネットワークから見た、内部ネットワークのホストのIPアドレス。
(一般的には、ISPから割り当てられるグローバルIPアドレス)
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外部ローカルアドレス |
Outside local |
内部ネットワークから見た、外部ネットワークのホストのIPアドレス。
(一般的には、グローバルIPアドレス) |
外部グローバルアドレス |
Outside global |
外部ネットワークのホストに割り当てられるIPアドレス。
(一般的には、グローバルIPアドレス) |
一般的には、内部ネットワークとは企業LANネットワーク側で、外部ネットワークとはインターネット側と
なりますが、実際にはCiscoルータで ip nat inside と設定したネットワークが内部ネットワークとなり、
ip nat outsideと設定したネットワークが外部ネットワークとなります。この説明内容に例外はありません。
※ ローカルアドレスとはネットワーク内部で表現されるアドレス、グローバルアドレスとはネットワーク外部で表現されるアドレス。
NATには色々なアドレス変換方法がありますが、NATやNAPTでは送信元アドレスの変換をさせるケースが
多いです。その場合は、下図のとおり意識すべきは「内部ローカルアドレス」、「内部グローバルアドレス」
「外部グローバルアドレス」の3つ。送信元アドレス変換では「外部ローカルアドレス」と「外部グローバル
アドレス」の変換が行われないので、Cisco機器のステータスでもこれらには同じIPアドレスが表示されます。
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