◆ IPアドレスが重複(duplicate)する原因と解決方法
同じネットワークセグメント上に同じIPアドレスを持つデバイスがあれば、IPアドレスの重複(競合)が
発生して重複するIPアドレスを持つデバイスは正常に通信できないようになります。以下では、具体的に
どのような時にIPアドレスの重複が発生するのか、またはどのような時に「IPアドレスの重複メッセージ」
が発生するのかを紹介していきます。※ ネットワークエンジニア(インフラエンジニア)向けの解説です。
◆ IPアドレスが重複(duplicate)する原因 その1
ネットワークシステムがDHCPによるIPアドレスの自動割り当ての場合は、IPアドレスの重複が発生する
ことは先ずありませんが、手動で設定したIPアドレスを設定して接続する場合は注意が必要です。正しく
IPアドレスを設定せずに、すでに使用されているIPアドレスをデバイスに設定してLAN接続した場合には、
IPアドレスの重複(競合)が発生します。この問題を回避するためには、同じセグメントのデバイスから
使用する予定のIPアドレスを宛先としたPINGを実行し、ICMPの応答がないことを事前に確認しましょう。
◆ IPアドレスが重複(duplicate)する原因 その2
実際にIPアドレスが重複した問題が発生していない状況でも、Cisco製品のL2スイッチ(Catalyst)では
IPアドレスの重複メッセージが発生する場合があります。
Oct 15 11:12:31: %STANDBY-3-DUPADDR: Duplicate address 10.1.1.1 on Vlan10,
sourced by 0000.0c07.ac19
Duplicate address(重複アドレス)と表示されていることから、IPアドレスの重複が発生しているのかと
考えてしまいますが、このエラーメッセージはSTPに問題がありL2ループが発生している時に発生します。
STPの問題以外にも「EtherChannelのコンフィグ設定」または「HSRPのコンフィグ設定」に問題がある
ケースもあるので、ネットワーク機器側で正しく設定されているか、L2ループが発生していないかを確認。
◆ IPアドレスが重複(duplicate)する原因 その3
ネットワークセグメント上にはPC、プリンター、各種サーバ、L2/L3機器、ファイアウォールなど色々な
デバイスにIPアドレスが割り当てられていますが、ロードバランサ―が存在するセグメントにデバイスを
接続する時は要注意です。ロードバランサ―にはロードバランサ―自身のインターフェースに割り当てる
IPアドレス以外にバーチャルサーバにもIPアドレスが割り当てられています。バーチャルサーバの存在を
忘れることなく、事前に使用されていないIPアドレスであることをPINGで確認することがとても大切です。
◆ IPアドレスが重複(duplicate)する原因 その4
実際にIPアドレスが重複していないにも関わらず発生する現象(WindowsでARPの実装が変更されたこと
に起因する現象)ですが、Cisco側で(Cisco Bug: CSCto02712)として報告されています。解決方法は
以下の2つが紹介されています。回避策1(Workaround 1)は、シスコ機器側の設定となります。
Workaround 1 : Configure no ip proxy arp on client-facing interface.
Workaround 2 : Disable "duplicate address detection" on the
end device.
◆ IPアドレスが重複(duplicate)する原因 その5
Catalyst側の「 IP Device Tracking機能 」の問題によって、重複メッセージが発生することがあります。
Windows Serverで重複するIPアドレスが設定されていないにも関わらず、重複メッセージを受信する場合
あるいはIPアドレスが「169.254」に勝手に変わったりする場合、本内容に該当している可能性が高いです。
IOS 15.2(1)E 以降で「IP Device Tracking」のデフォルトの動作が変更されているので注意しましょう。
本事象は以下の3つのコマンドをチューニングすることが回避方法として紹介されています。マニュアルを
参照して、ネットワーク環境に適した適切なコンフィグ設定を行いましょう。
1. ip device tracking probe delay <1-120>
2. ip device tracking probe use-svi
3. ip device tracking maximum 0
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