◆ IPv6 - マルチキャストアドレス
IPv6のマルチキャストアドレスは先頭の8ビットが「1111 1111」から始まります。16進数の表記については
「FF00::/8」となります。次の4ビットはフラグ、次の4ビットはスコープ、最後の112ビットはグループID
です。フラグは、IANAによって永続的に割り当てられるものは 0 、一時的に割り当てられるものは 1 と指定。
フラグ ( 16進数 ) |
スコープ ( 16進数 ) |
0 = 永続的
or
1 = 一時的
|
0 = 予約 |
1 = インターフェースローカル |
2 = リンクローカル |
3 = 予約 |
4 = 管理ローカル |
5 = サイトローカル |
6 = 未指定 |
7 = 未指定 |
8 = 組織ローカル |
9 〜 D = 未指定 |
E = グローバル |
F = 予約 |
なお、CiscoルータでIPv6を設定した場合、自動的に以下の3つのマルチキャストグループに参加します。
IPv6マルチキャストアドレス |
対象 |
フラグ |
スコープ |
FF02::1 |
同じリンク上の全てのノード |
0 = 永続的 |
2 = リンクローカル |
FF02::2 |
同じリンク上の全てのルータ |
0 = 永続的 |
2 = リンクローカル |
FF02::1:FFxx:xxxx |
要請ノードマルチキャストアドレス |
0 = 永続的 |
2 = リンクローカル |
・ IPv6が有効なホストのインターフェースは 「FF02::1」 と 「FF02::1:FFxx:xxxx」 に自動的に参加します。
・ 要請ノード(solicited-node)アドレスの FF02::1:FFxx:xxxx は FF02::1:FF00:0000 〜 FF02::1:FFFF:FFFF
の範囲。
・ 上記3つは予約済みIPv6マルチキャストアドレスとなりますが、上記3つ以外にも以下のような予約済みアドレスがあります。
IPv6マルチキャストアドレス |
対象 |
フラグ |
スコープ |
FF02::5 |
同じリンク上の全てのOSPFルータ |
0 = 永続的 |
2 = リンクローカル |
FF02::6 |
同じリンク上の全てのOSPF指定ルータ |
0 = 永続的 |
2 = リンクローカル |
FF02::9 |
同じリンク上の全てのRIPルータ |
0 = 永続的 |
2 = リンクローカル |
FF02::101 |
同じリンク上の全てのNTPサーバ |
0 = 永続的 |
2 = リンクローカル |
FF05::101 |
サイトローカル上の全てのNTPサーバ |
0 = 永続的 |
5 = サイトローカル |
◆ スコープフィードについて
最後に、スコープフィールドについて理解を深めます。スコープフィールドの4bitの値によりパケットの到達
範囲を容易に制御することができます。例えば全てのノードにパケットを送信するといっても、このスコープ
フィールドを変更すると、グループIDが同じであっても、宛先に以下のような違いが出てきます。
宛先アドレス |
スコープ |
結果 |
FF02::1 |
リンクローカル |
同じリンク上の全てのノードに送信 |
FF05::1 |
サイトローカル |
同じサイト内の全てのノードに送信 |
FF08::1 |
組織ローカル |
同じ拠点内の全てのノードに送信 |
FF0E::1 |
グローバル |
インターネット上の全てのノードに送信 |
◆ IPv6 - マルチキャストアドレスのMACアドレス
IPv6マルチキャストアドレスのMACアドレスは、先頭16ビットが予約されており 33:33 という値になります。
下位32ビットについては、IPv6マルチキャストアドレスの下位32ビットをそのまま使用します。つまり例えば
マルチキャストアドレスが FF02::1:FF22:2222 の場合、そのIPv6マルチキャストのMACアドレスの値は
33:33:FF:22:22:22となります。例えば FF02::1 ならMACアドレスは 33:33:00:00:00:01。
◆ IPv6 - 要請ノードマルチキャストアドレス
IPv6の要請ノードマルチキャストアドレスは、データリンク層のアドレス解決で使用されて、IPv4アドレスの
ARPに相当します。IPv6の要請ノードマルチキャストアドレス [ FF02::1:FFxx:xxxx ] の [ x ] は、自身
のIPv6が有効なI/FのIPv6ユニキャストアドレス、またはエニーキャストアドレスの下位24ビットから自動的に
構成されます。例えばインターフェースに「2037::01:800:200D:8C6C」アドレスが割り振られていた
場合、そのインターフェースの要請ノードマルチキャストアドレスは FF02::1:FF0D:8C6C となります。
IPv4ではMACアドレスの解決にARPを使用しますが、IPv6ではMACアドレスの解決にICMPv6を使用します。
IPv6ノードが宛先のノードのIPv6アドレスが分かるが、MACアドレスが分からない場合は、ICMP Type 135
(Neighbor Solicitation Message)の要請ノードマルチキャストアドレスを宛先として送信します。
例えば宛先IPアドレスが FE80::1a3b:5c7e である場合、IPv6ノードはそのIPv6アドレスから作成した
FF02::1:FF3b:5c7e の要請ノードマルチキャストアドレス宛にICMPを送信し、MACアドレスの解決を
図ろうとします。このように要請ノードマルチキャストアドレスは Neighbor Discovery の際に使用します。
◆ 参考:主な予約済みIPv6マルチキャストアドレス
マルチキャストアドレス |
用途 |
FF02::1 |
全てのノードアドレス( リンクローカル ) |
FF02::2 |
全てのルータ( リンクローカル ) |
FF02::5 |
OSPFv3 ルータ |
FF02::6 |
OSPFv3 DR/BDR |
FF02::9 |
RIPng ルータ |
FF02::A |
EIGRP ルータ |
FF02::D |
全てのPIMルータ |
FF02::1:2 |
全てのDHCPエージェント |
FF05::1:3 |
全てのDHCPサーバ( サイトローカル ) |
FF02::1:FF00:0/104 |
要請ノードマルチキャスト |
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