◆ OSPFv3 とは
OSPFv3は、OSPFv2をIPv6用に拡張したルーティングプロトコルであり、RFC5340で定義されています。
OSPFv3は、OSPFv2はそれぞれ独立したプロセスで動作しているため、同一のルータで両方を有効にして
動作させることができますが、OSPFプロセスに影響するパラメータはその変更を注意する必要があります。
OSPFv3は、OSPFv2と同様にHelloパケットでネイバー検出、維持を行い、OSPFネイバールータとLSAを
交換することでLSDBを構築してそこからルーティングテーブルが作成されます。その他、DR/BDR選出や
エリアの階層化、ルータIDは32ビット使用する点などは同じでありOSPFv2との違いは以下の点となります。
項目 |
説明 |
@ |
OSPFv3では、以下のLSAを新たに定義している
・ LSA Type8 (Link LSA)
・ LSA Type9 (Intra Area Prefix LSA) |
A |
OSPFv3では、以下のマルチキャストアドレスでOSPFv3パケットを使用している
・ FF02::5 (全てのOSPFv3ルータ宛)
・ FF02::6 (DR/BDR) |
B |
IPv6ヘッダのネクストヘッダは 89 を指定
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C |
隣接関係とネクストホップのアドレスにリンクローカルアドレスを使用
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D |
OSPFv3では、IPsecを使用した認証も可能
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E |
OSPFv3の設定は、ネットワーク単位ではなく、リンク単位(I/F単位)で有効化
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◆ OSPFv3 の設定
先ず、CiscoルータでIPv6トラフィックを転送できるようにするために以下のコマンドでIPv6を有効化します。
◆ IPv6の有効化
(config)# ipv6 unicast-routing
次に、以下のコマンドでOSPFv3プロセスを起動させます。
◆ OSPFv3プロセスの起動
(config)# ipv6 router ospf process-id
コマンド引数 |
説明 |
process-id |
OSPFv3プロセスを識別するために内部で使用する番号 ( 1 〜 65535 )
(config)# ipv6 router ospf 1 ← OSPFv3プロセスIDを 1 とする設定例
|
次に、OSPFv3のルータIDを設定します。
◆ OSPFv3のルータIDの設定
(config-rtr)# router-id x.x.x.x
コマンド引数 |
説明 |
x.x.x.x |
32ビットのルータIDの設定。IPv4のIPアドレスがI/Fに割り当てられている場合、そのIPv4アドレスが
ルータIDとなる。IPv4アドレスが設定されていない場合、router-idコマンドで設定する必要がある。
(config)# ipv6 router ospf 1
(config-rtr)# router-id 1.1.1.1 ← ルータIDを 1.1.1.1 とする設定例
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最後に、インターフェース上でOSPFv3を有効化させます。
◆ インターフェース上でのOSPFv3の有効化
(config-if)# ipv6 ospf process-id area area-id
コマンド引数 |
説明 |
process-id |
グローバルコンフィグで作成したOSPFv3プロセスIDのうち有効化したい番号を指定
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area-id |
インターフェースが所属するOSPFv3エリアの指定
(config)# interface GigabitEthernet0/0
(config-if)# ipv6 ospf 1 area 0 ← G0/0でOSPFv3を有効化してエリア 0 を割り当てる設定例
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◆ OSPFv3 設定例
以下の設定例では、ステータスを確認しやすくするためにリンクローカルアドレスを静的に設定しています。
OSPFv3 確認コマンド |
説明 |
show ipv6 protocols |
ルータで設定されているルーティングプロトコルの要約情報の表示 |
show ipv6 ospf neighbors |
OSPFv3により探知されたネイバールータの表示 |
show ipv6 ospf database |
OSPFv3のリンクデータベースの表示 |
show ipv6 route ospf |
OSPFv3で学習したルート情報の表示 |
show ipv6 ospf interface |
OSPFv3の有効化インターフェース、所属エリア、コスト値、タイマー値、隣接ルータの確認 |
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