◆ EIGRP for IPv6 とは
EIGRP for IPv6は、IPv6プレフィックスをルーティングすることを可能にしたルーティングプロトコルであり
IPv4ルートのルーティングを行うEIGRPと同じくDUALを採用しており、EIGRPと同じモデルに従っています。
EIGRP for IPv6を実装する上での特筆すべき制約事項は以下の通りです。
・ EIGRPネイバールータの学習に使用されるhelloメカニズムは、Neighbor Discoveryが使用されます。
・ EIGRP for IPv6で使用されるマルチキャストアドレスは「 FF02::A 」となります。マルチキャスト一覧。
・ EIGRP for IPv6は、それが実行されるインターフェイスに直接設定します。
・ EIGRP for IPv6 プロトコル インスタンスが実行を開始するには、ルータIDが必要です。
・ EIGRP for IPv6 では、 distribute-list prefix-list コマンドを使用してルートをフィルタリングできます。
なお、distribute-listによるルートフィルタリングではroute-mapコマンドの使用はサポートされません。
◆ EIGRP for IPv6 の設定
先ず、CiscoルータでIPv6トラフィックを転送できるようにするために以下のコマンドでIPv6を有効化します。
◆ IPv6の有効化
(config)# ipv6 unicast-routing
次に、以下のコマンドでEIGRP for IPv6プロセスを起動させます。
◆ EIGRP for IPv6プロセスの起動
(config)# ipv6 router eigrp as-number
コマンド引数 |
説明 |
as-number |
AS(自律システム)番号を1 〜 65535の範囲で指定。ネイバールータと同じ値にする必要がある。
(config)# ipv6 router eigrp 1 ← AS番号 1 のEIGRPプロセスを起動させる設定例
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次に、EIGRP for IPv6のルータIDを設定します。
◆ EIGRP for IPv6のルータIDの設定
(config-rtr)# eigrp router-id x.x.x.x
コマンド引数 |
説明 |
x.x.x.x |
32ビットのルータIDの設定。IPv4のIPアドレスがI/Fに割り当てられている場合、そのIPv4アドレスが
ルータIDとなる。IPv4アドレスが設定されていない場合、router-idコマンドで設定する必要がある。
(config)# ipv6 router eigrp 1
(config-rtr)# eigrp router-id 1.1.1.1 ← ルータIDを 1.1.1.1 とする設定例
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最後に、インターフェース上でEIGRP for IPv6を有効化させます。
◆ インターフェース上でのEIGRP for IPv6の有効化
(config-if)# ipv6 eigrp as-number
コマンド引数 |
説明 |
as-number |
グローバルコンフィグで作成したEIGRP for IPv6のAS番号を指定
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EIGRPパケットは送信元アドレスにリンクローカルアドレスを使用します。以下設定例では、ステータスを
確認しやすくするためにリンクローカルアドレスを静的に設定しています。
EIGRP for IPv6 確認コマンド |
説明 |
show ipv6 protocols |
ルータで設定されているルーティングプロトコルの要約情報の表示 |
show ipv6 eigrp neighbors |
EIGRP for IPv6により探知されたネイバールータの表示 |
show ipv6 eigrp topology |
EIGRP for IPv6のトポロジーテーブルの表示 |
show ipv6 route eigrp |
EIGRP for IPv6で学習したルート情報の表示 |
show ipv6 eigrp interfaces |
EIGRP for IPv6が有効化されたインターフェースでのEIGRPのトラフィック情報の表示 |
show ipv6 eigrp traffic |
EIGRP for IPv6の送受信された各種パケット数の表示 |
◆ EIGRP for IPv6 - ルート集約の設定
IPv6では自動集約はなく「auto-summary」や「no auto-summary」コマンドはありません。ルートを
手動集約するためには、以下のコマンドでインターフェース単位で設定する必要があります。
◆ EIGRP for IPv6 - 手動経路集約の設定
(config)# interface interface-id
(config-if)# ipv6 summary-address eigrp as-number prefix/length
コマンド引数 |
説明 |
as-number |
AS(自律システム)番号を 1 〜 65535の範囲で指定。
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prefix |
集約ルートのプレフィックスを指定 |
length |
集約ルートのプレフィックス長を指定 |
◆ 手動経路集約の設定例( 2001:DB8:0:1::/64 に手動集約して Gi0/0 から送出 )
Cisco(config) # interface GigabitEthernet0/0
Cisco(config-if) # ipv6 summary-address eigrp 1 2001:DB8:0:1::/64
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