◆ MP-BGP とは
BGP( BGP 4 )ではIPv4の情報しか運ぶことができませんでした。MP-BGP( Multi Protocol BGP )では
IPv4以外のプロトコルにも使用できるように拡張しており、IPv6プロトコルも使用できます。MP-BGPでは
MP_REACH_NLRI属性とMP_UNREACH_NLRI属性を使用することで、IPv6のルート情報を交換しています。
MP_REACH_NLRI属性には「アドレスファミリ」と呼ばれる識別子が含まれており、1つのセッションにて、
複数のアドレスファミリのプレフィックス情報を転送できます。なお、MP-BGPは BGP4+ とも呼ばれます。
◆ MP-BGP - アドレスファミリとは
MP-BGPでは、IPv4やIPv6の複数のプロトコルをサポートすることから、それぞれの経路情報を区別して
管理するためのグループであるアドレスファミリを定義します。アドレスファミリには、以下があります。
@ IPv4 ユニキャスト
A IPv4 マルチキャスト
B IPv4 VRF
C IPv6 ユニキャスト
D IPv6 VRF
◆ MP-BGP - コンフィグの階層構造
MP-BGPでは、アドバタイズされるルート情報がIPv4ルートであっても、IPv6プレフィックスであっても、
BGPネイバーの確立(BGPピアリング)にIPv4またはIPv6アドレスのどちらでも使用できます。たとえば、
BGPネイバーの確立にIPv4アドレスを使用してもIPv6プレフィックスを通知することができます。それが
下図の最初の階層(白色部分)の設定となります。※ ルータIDはIPv4アドレスを使用する必要があります。
◆ MP-BGPの設定
先ず、CiscoルータでIPv6トラフィックを転送できるようにするために以下のコマンドでIPv6を有効化します。
◆ IPv6の有効化
(config)# ipv6 unicast-routing
次に、MP-BGPプロセスを起動します。
◆ MP-BGPプロトコルの有効化
(config)# router bgp as-number
コマンド引数 |
説明 |
as-number |
自身のAS番号を 1 〜 65535 の範囲で指定
|
次に、IPv6環境でのみ使用する場合はIPv4アドレスファミリをディセーブルにします。
◆ IPv4アドレスファミリのディセーブル
(config-router)# no bgp default ipv4-unicast
次に、MP-BGPのルータIDを設定します。
◆ MP-BGPのルータIDの設定
(config-router)# bgp router-id x.x.x.x
コマンド引数 |
説明 |
x.x.x.x |
32ビットのルータIDの設定。IPv4環境、IPv6環境に関係なくIPv4アドレスでルータIDを設定する。
※ デフォルトでは、loopbackインターフェースのIPv4アドレスがルータIDとして使用される。
(config)# router bgp 65001
(config-rtr)# bgp router-id 1.1.1.1 ← ルータIDを 1.1.1.1 とする設定例
|
次に、MP-BGPでルート情報を交換するネイバーを指定します。ネイバーのIPアドレスにIPv4アドレスを指定
した場合はIPv4でBGPピアリングを行い、IPv6アドレスを指定した場合はIPv6でBGPピアリングを行います。
◆ BGPピアの指定
(config-router)# neighbor ipv4-address | ipv6-address remote-as as-number
コマンド引数 |
説明 |
ipv4-address |
IPv4アドレスでBGPピアリングを行いたい場合にIPv4アドレスを指定
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ipv6-address |
IPv6アドレスでBGPピアリングを行いたい場合にIPv6アドレスを指定 |
as-number |
BGPネイバーのAS番号を指定 |
◆ MP-BGPの設定 - アドレスファミリの設定
先ず、アドレスファミリの定義をします。IPv4ルートを通知したい場合はaddress-family ipv4の階層で設定
し、IPv6ルートを通知したい場合はaddress-family ipv6の階層で設定します。以下では「ipv6」を指定した
コンフィグパラメータを記述しています。
◆ address-family ipv6の指定
(config-router)# address-family ipv6 [ vrf name ] [ unicast | multicast | vpnv6 ]
コマンド引数 |
説明 |
unicast |
ipv6ユニキャストルーティングの指定(省略時のデフォルト値)
|
multicast |
ipv6マルチキャストルーティングの指定 |
vpnv6 |
VPNv6(VPN for IPv6)は、IPv6 VPN over MPLS(6VPE)を介してサポート |
次に、ネイバールータとの間でアクティベーションを行います。アクティベーションの設定によって、その
アドレスファミリにおいて、ルート情報を交換できるようになります。
◆ BGPネイバーのアクティベーション
(config-router-af)# neighbor ipv6-address activate
最後に、アドバタイズしたいIPv6ネットワークを指定します。
◆ アドバタイズしたいIPv6のネットワーク指定
(config-router-af)# network ipv6-prefix/length [ route-map map-tag ]
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