◆ IPv6アドレス - RAによるステートレス自動設定
ステートレス自動設定では「プレフィックス」が自動的に設定され、「インターフェースID」はEUI-64で
生成させます。このステートレス自動設定はオートコンフィグレーションとも呼ばれています。この方法は
IPv6対応のルータとIPv6対応の端末とが、RSとRAというメッセージをやり取りすることで実現しています。
2種類のメッセージ |
宛先アドレス |
内容 |
RS(Router Solicitation) |
FF02::2 |
ルータ要請。IPv6対応ホストが、IPv6対応ルータに送信するメッセージ。
IPv6のプレフィックス、デフォルトゲートウェイ等を要求するメッセージ。 |
RA(Router Advertisement) |
FF02::1 |
ルータアドバタイズメント。RSを受信したときに応答するメッセージ。
ホストに割り当てるプレフィックス、デフォルトゲートウェイの情報を含む。 |
@A IPv6対応のホストはインターフェースでIPv6が有効であれば、リンクアップした時点でリンクローカル
アドレスは自動的に設定されます。次にそのリンクローカルアドレスを送信元アドレスとして同一セグメントの
ルータにRS(ルータ要請)メッセージを送信し、グローバルユニキャストのプレフィックスを得ようとします。
B ホストからRSメッセージを受信したルータはRA (ルータアドバタイズメント) を送信します。この情報に
IPv6ホストに割り当てるプレフィックス、デフォルトゲートウェイ、有効期限などの情報が含まれています。
C RAを受信したホストは受信したプレフィックスと自身のMACアドレスを利用してEUI-64により生成した
インターフェースIDを組み合わせることで、グローバルユニキャストアドレスを生成し自動設定が完了します。
Ciscoルータでは ipv6 unicast-routing とグローバルで定義することによって、イーサネットの I/F 上では
デフォルトでRAメッセージが送信されることになります。その他のインターフェースタイプの場合、I/F上で
手動で no ipv6 nd ra suppress とコマンド設定することにより、RAメッセージを送信することができます。
また、RAメッセージは ipv6 nd ra suppress によりインターフェースごとに個別でディセーブルにできます。
◆ Cisco IOS - 定期的に送信されるRAを停止するコマンド
Cisco(config-if) # ipv6 nd ra suppress |
◆ Cisco IOS - 定期的に送信されるRAの停止、RSに応答するRAについても停止するコマンド
Cisco(config-if) # ipv6 nd ra suppress all |
◆ IPv6アドレス - ステートフル自動設定
ステートフル自動設定では「プレフィックス と インターフェースID」をDHCPv6サーバにより割り当てます。
また、ステートフル自動設定は、DHCPv6サーバからIPv6アドレス情報だけでなく、DNSサーバなども付与
することも可能です。DHCPv6サーバはIPv6アドレスという点は除いて、DHCPv4サーバと同じ動作をします。
ただしDHCPv6サーバ単体だけでは完全に機能しないので、ルータが送信するRA(Router Advertisement)の
MフラグとOフラグという2つのフィールドと連携する必要があります。DHCPv6クライアントのIPv6ホストは
ルータが送信するRAに含まれる2つのフラグを見てから、IPv6アドレスをどこから取得するのかを決定します。
RAのフラグ |
説明 |
Mフラグ |
IPv6アドレスをDHCPv6サーバで取得するか、RAで得たプレフィックスから自身で生成するかを決定。
ONの場合、DHCPv6サーバから取得する。OFFの場合、RAで得たプレフィックスから自身で生成する。
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Oフラグ |
IPv6アドレス以外のパラメータをDHCPv6サーバから取得するか、取得しないかを決定。
ONの場合、DHCPv6サーバから取得する。OFFの場合、DHCPv6サーバから取得しない(手動設定)
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パターン |
Mフラグ |
Oフラグ |
説明 |
1 |
ON
( 1 ) |
ON
( 1 ) |
・ DHCPv6サーバを使用したステートフル自動設定
・ DHCPv6サーバからIPv6アドレス、GW、DNSなどを取得できる
・ DHCPv6サーバでクライアントに割り当てたIPv6アドレスを管理
※ 現時点でDHCPv6でデフォルトゲートウェイ情報を配布できない
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2 |
ON
( 1 ) |
OFF
( 0 ) |
・ IPv6アドレスはDHCPv6サーバから取得して、他のパラメータは手動設定
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3 |
OFF
( 0 ) |
ON
( 1 ) |
・ DHCPv6サーバを使用したステートレス自動設定
・ IPv6アドレスやGWは、RAからの情報に基づいて自身で生成する
・ IPv6アドレス以外のパラメータ(DNS等)はDHCPv6サーバから取得する |
4 |
OFF
( 0 ) |
OFF
( 0 ) |
・ RAのみを利用したステートレス自動設定
・ IPv6アドレスやGWは、RAからの情報に基づいて自身で生成する
・ IPv6アドレス以外のパラメータ(DNS等)は手動で設定する
※ RFC6106に対応していれば、DNSサーバのIPもRAで配布できる!
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Ciscoのインターフェースはデフォルトで、MフラグOフラグともにOFF( 0 )でありパターン4のRAを
送出します。Mフラグ、Oフラグの設定方法は以下のコマンドにより変更できます。
◆ Cisco IOS - M(Managed)フラグのON(1)にするための設定
Cisco(config-if) # ipv6 nd managed-config-flag |
◆ Cisco IOS - O(Other Config)フラグのON(1)にするための設定
Cisco(config-if) # ipv6 nd other-config-flag |
パターン1
現時点ではデフォルトゲートウェイの情報を
規格上では、DHCPv6から配布できないため
あまり使用されていません。
パターン2
とても管理者の手間のかかる方式であるため
このパターンの実装は先ずありません。
パターン3
現在、最も使用されているアドレス配布方式。
パターン4
RFC6106により今後多くのIPv6ネットワークで
採用されていく可能性が高いアドレス配布方式。 |
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◆ DHCPv6-PDによるIPv6アドレス配布
DHCPv6によるアドレス配布には、DHCPv6-PD(prefix delegation)と呼ばれる方式があり、この方式では
ホストまたはルータにプレフィックスのみを払い出します。DHCPv6-PDによるIPv6払い出し例を見てみます。
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