◆ IPv6移行技術 - トンネリング
トンネリングは、IPv4ネットワークを経由してIPv6の通信を行う通信方式です。IPv4ネットワークを経由
するためにIPv6パケットはIPv4パケットにカプセル化した上で転送されます。トンネリングの手法は大きく
手動トンネリング、自動トンネリングの大きく2種類がありそれぞれトンネリングの詳細は以下の通りです。
手動トンネリング |
説明 |
手動トンネル |
サイト間で使用するpoint-to-pointトンネル。IPv6パケットのみ転送できるトンネル。
◆ トンネルモードの設定 ⇒ tunnel mode ipv6ip |
GREトンネル |
サイト間で使用するpoint-to-pointトンネル。IPv6パケット以外にも多くのパケットを
転送できるトンネル。上記の手動トンネル(ipv6ip)よりもオーバヘッドが多くなることから、
IPv6ネットワークを接続するバックボーンにIPv4インフラがあるなら手動トンネルが推奨。
◆ トンネルモードの設定 ⇒ tunnel mode gre ip |
自動トンネリング |
説明 |
6to4トンネル |
手動トンネルと同様、IPv4ネットワークを経由しIPv6接続する際に使用する自動トンネル。
IPv6パケットをIPv4パケットのペイロードとしてカプセル化(IPv4プロトコル番号41を指定)
6to4では、IPv6アドレスに 「2002::/16」 を使用する。なお、IPv4ネットワークで使用する
アドレスはグローバルアドレスである必要がある。サイト間でのpoint-to-Multipointトンネル。
◆ トンネルモードの設定 ⇒ tunnel mode ipv6ip 6to4 |
ISATAPトンネル |
あるサイト内のIPv4のみのローカルネットワークが、IPv6接続を可能にする自動トンネル。
IPv6ネットワークに接続されていないIPv4ホストに対して、IPv6グローバルユニキャスト
アドレスを自動的に割り当てることでIPv6ネットワークへ接続できるようになる。
◆ トンネルモードの設定 ⇒ tunnel mode ipv6ip isatap
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Teredoトンネル |
ホストがインターネット上にあるTeredo(テレード)サーバと連携し生成される自動トンネル。
IPv6パケットをIPv4のUDPパケットにカプセル化して、複数のIPv4のNATルータを超えて
IPv6の通信ができるように設計。通信の開始にあたり必要なIPv6アドレス、宛先ルータの
指定などはTeredoサーバと連携して行う。なお、Teredoはルータで実装させる技術ではない。
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※ 一般的に使用されることのないIPv4互換による自動トンネリングの設定は tunnel mode ipv6ip auto-tunnel となります。
◆ IPv6 - 手動トンネル
手動トンネルでは、トンネル接続するルータ間でIPv4の送信元アドレスと宛先アドレスを相互に指定して
トンネルを先ず確立させます。なお、IPv4でカプセル化されたIPv6パケットのフォーマットは以下となります。
◆ IPv6 - 自動トンネル ( 6to4トンネル )
6to4トンネルでは、手動トンネル同様にデュアルスタックルータ間でトンネルを生成しますが、宛先アドレス
は静的に指定しません。着信するIPv6パケットの宛先アドレスから、自動的に宛先IPv4アドレスを導きます。
6to4ではIPv6アドレスのプレフィックスに「2002::/16」を使用する必要があります。IPv6ネットワークの
ホストやルータは6to4対応である必要はないが、6to4トンネルを確立するルータは6to4対応の必要があります。
6to4では宛先アドレスに使用されるIPv4アドレスは一意である必要があるため、グローバルIPv4アドレスを使用する必要があります。
◆ IPv6 - 自動トンネル ( ISATAPトンネル )
ISATAP(Intra-Site Automatic Tunnel Addressing Protocol)は、あるIPv4ネットワークのIPv4ホストが
IPv6接続を可能にするトンネルです。ISATAPホストからのプレフィックス要請に対して、ISATAPルータが
IPv6プレフィックスを通知し、ISATAPホストがIPv6アドレスを生成することでIPv6接続ができるようになる。
ISATAPホストがIPv6アドレスを自動生成する際に、ISATAP識別子である(0000:5EFE)を上図のように使用。
そして残りの32ビットは自身のIPv4アドレスを16進数に変換して生成します。これらは全て自動で行われます。
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