◆ Integrated IS-ISとは
IS-IS(Intermediate System to Intermediate System)は、自律システム(AS)内で動作するIGPの
ルーティングプロトコルです。ただし、RIP、EIGRP、OSPFなどのIGPとは異なり、IS-ISは「ISOが策定
したOSIプロトコル」で使用されるルーティングプロトコルとなります。
ルーティングプロトコル |
説明 |
IS-IS |
OSIプロトコルスイートで使用されるルーティングプロトコル
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RIP、EIGRP、OSPF、BGP |
TCP/IPプロトコルスイートで使用されるルーティングプロトコル
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つまりIS-ISではIPルーティングはできませんが、 Integrated IS-ISは、OSIプロトコルとして動作する
ルーティングプロトコルのIS-ISにおいて「IPルーティングを可能にしたルーティングプロトコル」です。
正確に言うと、Integrated IS-ISは、CLNS上でも、IP上でも動作するように改良されたプロトコルです。
◆ IS-ISの特長
Integrated IS-ISは「IS-IS」をベースとしているため、Integrated IS-ISを理解するためにIS-ISの特徴を
理解することが重要です。IS-ISは、OSPFと同様にリンクステート型のルーティングプロトコルであるため、
OSPFとの共通点が多くあります。
◇ OSPFとの共通点
・ 経路計算にSPFアルゴリズムを使用して、リンクステートデータベースを保持する。
・ Helloパケットによりネイバー関係の確立を行う。
・ エリアの概念を持っている。
・ VLSM、認証、エリア間の経路集約をサポートする。
◇ OSPFとの相違点
・ OSPFは「TCP/IPプロトコルスタック」、IS-ISは「OSIプロトコルスタック」を使用する。
・ OSPFでは必ずバックボーンエリアが必要となるが、IS-ISでは必須とはならない。
・ OSPFの指名ルータはDRと呼び、IS-ISの指名ルータはDISと呼ばれる。
・ OSPFではBDRが存在するが、IS-ISではBDRに相当する役割のルータはない。
・ OSPFではIPv4を使用する場合はOSPFv2を使用、IPv6を使用する場合はOSPFv3のプロトコルを
動作させる必要があるが、Integrated IS-ISではIPv4とIPv6を同時に使用できる。
※ Integrated IS-ISは日本ではほぼ使用されていませんが、Integrated IS-ISは海外ISPの一部のシステムで現在も使用されています。
◆ OSIプロトコルスイート
OSI参照モデルとOSIプロトコルスイートのマッピングは下図の通りです。Integrated IS-ISを理解する上で
「IS-IS」「ES-IS」「CLNS/CLNP」の3つのプロトコルが重要になります。
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◆ OSIプロトコルの用語
OSIプロトコルで使用される主な用語は以下の通りです。

ルーティングプロトコル |
説明 |
ドメイン |
共通の管理権限下にあるOSIネットワーク。 AS(自立システム)に相当する。
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エリア |
ドメインを分割した領域。OSPFのエリアに相当する。
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バックボーンリンク |
複数のエリアを相互接続する際に使用するリンク。 |
ES |
End System。ルーティングを実行しないホスト。 |
IS |
Intermediate System。ルーティングを実行するルータ。 |
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