◆ PIM-DMの設定
CiscoルータでPIM-DMを動作させるためには、2種類のコマンドを設定をするだけとなります。1つは
グローバルコンフィグでマルチキャストルーティングを有効化させるコマンド設定です。残りの1つは、
マルチキャストパケットを転送させたいインターフェースでPIM-DMを有効化させるコマンド設定です。
◆ マルチキャストルーティングの有効化( Catalystスイッチの場合、機種により ip multicast-routing distributed と設定 )
(config)# ip multicast-routing
◆ マルチキャストパケットを転送させたいインターフェースでPIM-DMを有効化
(config)# interface interface-id
(config-if)# ip pim dense-mode
それでは、下図におけるコンフィグ設定例を紹介します。
R1(config)# ip multicast-routing
R1(config)# interface GigabitEthernet0/1
R1(config-if)# ip address 10.1.1.254 255.255.255.0
R1(config-if)# ip pim dense-mode
R1(config)# interface GigabitEthernet0/0
R1(config-if)# ip address 10.0.0.1 255.255.255.0
R1(config-if)# ip pim dense-mode
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R1(config)# ip multicast-routing
R1(config)# interface GigabitEthernet0/1
R1(config-if)# ip address 10.0.0.2 255.255.255.0
R1(config-if)# ip pim dense-mode
R1(config)# interface GigabitEthernet0/0
R1(config-if)# ip address 172.16.1.254 255.255.255.0
R1(config-if)# ip pim dense-mode
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◆ PIM-DM - オプション設定
以下のコンフィグは全てオプション設定であり、PIM-DMを動作させる上での必須設定ではありません。
◆ PIMクエリーインターバルの設定
PIMクエリーメッセージ(Helloメッセージ)は、デフォルトで30秒ごとに送信されます。PIMクエリーの
送信間隔(秒数)を変更したい場合は以下のコマンドで設定変更します。
(config)# interface interface-id
(config-if)# ip pim query-interval second
◆ PIM DRプライオリティの設定
PIM DRに選出されたルータは「PIM Joinメッセージの送信」と「PIM Registerメッセージの送信」の役割を
マルチアクセスネットワークの代表として担うことになります。デフォルトのDRプライオリティは 1 です。 この値を変更したい場合は以下のコマンドで設定変更することができます。
(config)# interface interface-id (config-if)# ip pim dr-priority number
◆ PIM State Refreshタイマーの設定
CiscoルータではState Refresh機能が有効化されており、60秒ごとに送信されますが、この60秒という時間
は変更することができます。以下の設定例では60秒を30秒に変更しています。設定場所はファーストホップ
ルータのSenderが接続しているインターフェース上で設定します。上図の構成図のR1のGi0/1で設定します。
State Refresh機能を無効化したい場合「ip pim state-refresh origination-interval disable」と設定します。
R1(config)# interface GigabitEthernet0/1
R1(config-if)# ip pim state-refresh origination-interval 30
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◆ PIM-DM - コンフィグ設定上の注意点
@ ip pim dense-modeの設定するインターフェース
マルチキャストパケットを転送する全てのインターフェースが設定対象であり、Senderが接続しているI/F
Receiverが接続しているI/F、SenderからReceiverへのパケットの通り道となる全てのI/Fが設定対象です。
A IGMPの有効化について
Ciscoルータではインターフェース上でPIMを有効化すると、そのインターフェースでは自動的にIGMPv2が
有効化されます。従って、IGMPのみを有効化、無効化するような設定はありません。
B ユニキャストルーティングの設定
マルチキャストパケットを転送させるためには、マルチキャストルーティングだけでなく、ユニキャストの
ルーティングも完全である必要があります。マルチキャストパケットを転送する上でOILのインターフェース
からパケットをフラッディングするためには、RPFチェックが成功している必要があります。RPFチェックは
ユニキャストのルーティングを見て、Senderから最短ルートで転送されたパケットであるか確認しています。
◆ PIM-DM - ステータス確認コマンド
Ciscoコマンド |
説明 |
show ip pim interface |
PIMを有効化したインターフェース、PIMのバージョンと動作モード、PIM DR情報 |
show ip pim neighbor |
PIMネイバーのIPアドレス、インターフェース、PIMネイバー確立後の経過時間、PIM DR情報 |
show ip mroute |
マルチキャストルーティングテーブル( ディストリビューションツリー )の情報 |
show ip mroute summary |
マルチキャストルーティングテーブル( ディストリビューションツリー )のサマリー情報 |
show ip rpf x.x.x.x |
x.x.x.x で指定したIPアドレスに対するRPFインターフェースとRPFネイバーの情報 |
debug ip mpacket |
マルチキャストルータが送受信するマルチキャストパケットをリアルタイムに確認 |
debug ip pim |
PIMメッセージの送受信をリアルに確認 |
debug ip mrouting |
マルチキャストルーティングテーブルの変更をリアルタイムに確認 |
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