◆ IGMPの設定
Ciscoルータでは、PIM-DMかPIM-SMをインターフェースに設定すると、自動的にIGMPが有効になります。
自動的に有効化するIGMPのバージョンは「2」であり、各種デフォルト値は以下となります。
機能 |
デフォルト値 |
IGMPバージョン |
PIMを有効化した全てのインターフェースで version 2 |
IGMPv2 クエリーの送信間隔 |
60秒 |
IGMPv2 クエリーのタイムアウト値 |
60秒 |
IGMPv2 クエリーに対する最大応答時間 |
10秒 |
PIMを有効化すれば自動的にIGMPが有効になるのでIGMPの必須設定はなく、以降で紹介する設定コマンドは
必要に応じて設定するオプション設定となります。なお、これらの設定はインターフェース上で行います。
◆ IGMPバージョンの設定
(config-if)# ip igmp version [ 1 | 2 | 3 ]
◆ IGMPv2 クエリーの送信間隔( 60秒ごとにマルチキャストグループの検出、最新情報の維持するために送信 )
(config-if)# ip igmp query-interval seconds
◆ IGMPv2 クエリーのタイムアウト値( 60秒以内にクエリアからクエリーを受信できなかった場合に、自身がクエリアとなる )
(config-if)# ip igmp querier-timeout seconds
◆ IGMPv2 クエリーに対する最大応答時間( 10秒以内にクエリーへの応答がない場合、グループメンバーが存在しないと見なす)
(config-if)# ip igmp query-max-response-time seconds
IGMPのステータスは以下のコマンドで確認することができます。
確認コマンド |
デフォルト値 |
show ip igmp interface |
IGMPが有効化しているインターフェースの詳細情報を確認 |
show ip igmp groups |
Receiverから受信したIGMPメンバーシップレポートの情報を確認 |
debug ip igmp |
ルータが送受信するIGMPメッセージをリアルタイムに確認 |
debug ip igmp group-address |
ルータが送受信するIGMPパケットと、IGMPホスト関連のイベントを確認 |
◆ IGMPの設定 - 自身のインターフェースをReceiverにする設定
CiscoルータやCatalystスイッチでは、自身のインターフェースをReceiverとして設定することも可能です。
このコマンドはSenderとReceiverがマルチキャスト通信する上では必要な設定ではありません。この設定に
よってICMPエコー要求に応答してくれることから、マルチキャストの到達可能性を判断するのに役立ちます。
◆ 自身のI/FをReceiverとする設定
(config-if)# ip igmp join-group group-address
◆ 自身のGi0/0インターフェースが「239.1.1.5」のマルチキャストグループに参加する設定
Cisco(config)# interface GigabitEthernet0/0
Cisco(config-if)# ip igmp join-group 239.1.1.5
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この設定により、マルチキャストルーティングテーブルのOILに「GigabitEthernet0/0」が追加されることに
なり、Gi0/0ではマルチキャストパケットを転送できるようになります。また、IGMPメンバーシップレポート
も送信するようになり、自身のI/FがReceiverとして動作することになります。CCIEラボ試験でも使用します。
◆ IGMPの設定 - 自身のインターフェース配下にReceiverがいるとみなす設定
マルチキャストパケットを受信したいけれども、例えばIGMPパケットを受信できないホストが存在する場合
以下のコマンドを設定することで、そのインターフェース配下ではマルチキャストグループが存在していると
みなされて、Receiverはマルチキャストパケットを受信できます。ip igmp join-groupコマンドとは異なり
設定したI/F自身がマルチキャストパケットを受信したり、IGMPメンバーシップレポートを送信は行いません。
◆ 自身のI/F配下にReceiverがいるとみなす設定
(config-if)# ip igmp static-group group-address
◆ Gi0/0インターフェース配下に「239.1.1.5」のマルチキャストグループが存在するとみなす設定
Cisco(config)# interface GigabitEthernet0/0
Cisco(config-if)# ip igmp static-group 239.1.1.5
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◆ IGMPの設定 - ip igmp join-group と ip igmp static-group コマンドの違い
設定コマンド |
マルチキャストパケットの転送 |
マルチキャストパケットの受信 |
IGMPメンバーシップレポートの送信 |
ip igmp join-group |
○ |
○ |
○ |
ip igmp static-group |
○ |
× |
× |
※ 「マルチキャストパケットの転送」とは「 マルチキャストルーティングテーブルのOILに追加する 」ということを意味します。
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