◆ PIM-DMとは
PIM-DM(Protocol-Independent Multicast Dense Mode)は、Denseモードのマルチキャストルーティング
プロトコルです。PIM-DMのディストリビューションツリーは Flood & Prune によって作成されていきます。
PIM-DMはDenseモードのマルチキャストルーティングプロトコルであることから送信元ツリーを使用します。
PIM-DMでは、先ずマルチキャストトラフィックは隣接するPIMネイバーにフラッディング(Flood)されます。
次に、マルチキャストルータにPIMネイバーが存在せず、マルチキャストグループのメンバーも存在しない場合
Pruneメッセージが送信されます。Pruneメッセージを受信したルータは、そのインターフェースからの不要な
マルチキャスト転送を止めます(Prune)。PIM-DMでは定期的に(180秒ごと)にFlood & Pruneを続けます。
上図の Flood & Prune の結果、最終的に下図のディストリビューションツリーとなります。もちろん、
180秒後に再度、Flood & Prune が行われて、Receiverの位置状況に応じてツリーの形状が変わります。
PIM-DMで、Prune状態となったインターフェースは180秒間はマルチキャストパケットは送信されませんが
Receiverが接続されてIGMPメンバーシップレポートを受信したルータは、上流となるPIMネイバーに対して
PIM Graftメッセージを送信して、上流のPIMネイバーのPrune状態を解除することができます。それにより
Prune状態の解除(180秒間)を待つことなくマルチキャストパケットをルーティングできるようになります。
◆ ( S,G )と( *,G )に含まれる2つの情報
先ず、Senderがマルチキャストパケットをファーストホップルータへ送信すると、ファーストホップルータで
そのマルチキャストパケットに対応した(S,G)で表示される送信元ツリーを作成します。「S」はSenderの
IPアドレス、「G」はマルチキャストグループのIPアドレスのことです。Ciscoルータでは(S,G)エントリが
作成される際にそのテンプレートとして(*,G)エントリも自動的に作成されます。この(S,G)と(*,G)に
大きく以下の2つの情報(RPF情報、OIL情報)が含まれます。
(S,G)と(*,G)エントリに含まれる情報 |
説明 |
RPF(Reverse Path Forwarding)情報 |
マルチキャストを受信するインターフェースの情報 |
OIL(Outgoing Interface List)情報 |
マルチキャストを転送するインターフェースの情報 |
・ RPF情報( Incoming Interface情報 )
Incoming Interface情報はマルチキャストが着信してくるインターフェースの情報です。SenderのIPアドレス
に対するRPFインターフェースが登録されます。RPF情報はユニキャストのルーティングテーブルから決定。
・ OIL情報( Outgoing Interface情報 )
Outgoing Interface情報はマルチキャストを転送していくインターフェースの情報です。RPFチェックに
成功したマルチキャストパケットは、OIL情報にあるすべてのインターフェースへフラッディングされます。
ディストリビューションツリーは show ip mroute で確認できます。その見方は以下の通りです。以下では
Sender(10.1.1.1)からReceiver(239.1.1.5)にマルチキャストパケットを送信している時のステータス。
|