◆ PIM-DM - ディストリビューションツリー作成の流れ
PIM-DMにおいて、次のステップでディストリビューションツリーが作成されていく流れを見ていきます。
@ ReceiverからのIGMPメンバーシップレポート受信により、R2のマルチキャストテーブルはどうなるか
A Senderからのマルチキャストデータ送信により、R1とR2のマルチキャストテーブルはどうなるか
◆ 前提として
マルチキャストのアプリケーションを起動させていない場合でも「224.0.1.40」のマルチキャストアドレスが
デフォルトでマルチキャストルーティングテーブルに登録されています。また、Windows PCをネットワーク
接続した時点で「 239.255.255.250 」のアドレスもマルチキャストルーティングテーブルに登録されます。
マルチキャストアドレス |
説明 |
239.255.255.250 |
Windows PCが、UPnP(ユニバーサルプラグアンドプレイ)で使用するマルチキャストアドレス |
224.0.1.40 |
PIM-SMのAuto RPで使用するマルチキャストアドレス( Cisco機器は 224.0.1.40 の Receiver ) |
以降の解説では、この2つのマルチキャストアドレスを省略して解説していきます。
@ Receiverから、IGMPメンバーシップレポートを受信
クライアントPCでマルチキャストを使用するアプリケーションを起動します。これにより、Receiverから
R2へIGMPパケットを送信します。そしてR2のマルチキャストルーティングテーブルには( *, 239.1.1.5 )
のエントリが作成されます。現時点では、Senderからマルチキャストのデータ送信は行っていません。
A Senderから、マルチキャストのデータを送信
現時点では、R1では( *, 239.255.255.250 )と( *, 224.0.1.40 )の2つのエントリがあるだけです。
この状態で、Senderでマルチキャストのアプリケーションを起動して、Senderからストリーミング配信を
行います。そうするとマルチキャストアドレスに基づいて(*, 239.1.1.5)のテンプレートが作成されて、
次に、実際のマルチキャストデータの転送で使用する(10.1.1.1, 239.1.1.5)のエントリが作成されます。
R1 - (10.1.1.1, 239.1.1.5)エントリ |
説明 |
Incoming interface( マルチキャストを受信するI/F ) |
Senderが存在する方向のI/F( GigabitEthernet0/1 ) |
Outgoing interface( マルチキャストを転送するI/F ) |
Receiverが存在する方向のI/F( GigabitEthernet0/0 ) |
Senderからマルチキャストデータが流れると、R2のマルチキャストテーブルは以下の状態になります。
R2ではIGMPメンバーシップレポートを受信した時点で( *, 239.1.1.5)エントリを作成していますが
Senderからマルチキャストのデータを受信することで(10.1.1.1, 239.1.1.5)エントリが作成されます。
これでR2もマルチキャストルーティングテーブルが完成します。
R1ではRPFインターフェースにSenderが直接接続されているので、RPF nbrアドレスは「0.0.0.0」でしたが、
R2では、RPF nbrアドレスとして「10.0.0.1」とあり、そのPIMネイバーから着信していることが分かります。
R2 - (10.1.1.1, 239.1.1.5)エントリ |
説明 |
Incoming interface( マルチキャストを受信するI/F ) |
Senderが存在する方向のI/F( GigabitEthernet0/1 ) |
Outgoing interface( マルチキャストを転送するI/F ) |
Receiverが存在する方向のI/F( GigabitEthernet0/0 ) |
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