◆ RPの定義方法
PIM-SMにおいて、マルチキャストトラフィックを転送する上でRPの定義は必ず必要になります。RPを定義
する方法は以下の3つがあります。スタティックに定義する場合は「ip pim rp-address」コマンドによって
マルチキャストグループごとに静的に定義する手法です。ダイナミックな定義ではマルチキャストグループ
とRP間のマッピングを動的に定義する手法です。
・ スタティックの定義:Static RP
・ ダイナミックの定義:Auto-RP(Cisco独自)BSR(標準化)
Static RP、Auto-RP、BSRに共通する重要な点として、RPはマルチキャストグループごとに設定するという
点を認識しておきましょう( マルチキャストアドレスごとに異なるIPアドレスのRPを定義できるということ )
小規模なネットワークならシンプルな実装のスタティックRPが適しています。大規模なネットワークの場合、
ダイナミックに定義するAuto-RPやBSRが適しています。マルチキャストグループが多くなっても設定や管理
を適正に行えるだけでなく、RPの冗長化の観点からも適しているからです。
◆ Auto-RP
Auto RPでは、先ずはCiscoルータにRP Candidate(RPにしたいルータ)を設定します。RP Candidateは、
自分がRPになりたい!というメッセージであるRP-Announceメッセージを定期的(60秒ごと)に送信します。
RP-Announceメッセージは224.0.1.39(Cisco-RP-Announce)宛てに送信されます。
次に、CiscoルータにRP Mapping Agentを設定します。RP Mapping AgentがRP-Announceメッセージを
受信してマルチキャストアドレスごとのRPアドレスを決定します。その決定した情報を全てのPIMルータに
224.0.1.40(Cisco-RP-Discovery)宛てに送信されます。CiscoルータがダイナミックにRPアドレスを学習
できるように、デフォルトの仕様として、Cisco-RP-Discoveryのマルチキャストグループに参加しています。
R1とR2をRP Candidateとして設定し、R3をRP Mapping Agentとして設定します。R1とR2はマルチキャスト
グループ(239.1.1.5)のRPになりたいとします。R1とR2は、それをRP-Announceメッセージで送信します。
R3は「239.1.1.5 のRPは 10.0.0.1と10.0.0.2」として認識します。1つのマルチキャストグループに対して、
複数の候補が存在する場合、最も大きなIPアドレスを持つルータをRP Candidateとして選出します。その結果
R3は「239.1.1.5 のRPは 10.0.0.2」として、PIMルータに対してRP Discoveryメッセージとして送信します。
Auto-RPで使用するアドレス |
説明 |
224.0.1.39( Cisco-RP-Announce ) |
RP CandidateからRP Mapping Agentへ送信されるRP Announceメッセージ |
224.0.1.40( Cisco-RP-Discovery ) |
RP Mapping Agenetからマルチキャストルータへ送信されるRP Discoveryメッセージ |
※ 1つのルータを「RP Candidate」兼「RP Mapping Agent」としてコンフィグ設定することも可能です。
|