◆ BSR(Boot Strap Router)とは
BSRは、マルチキャストグループとRP間のマッピングの自動化の手法の名称でもあり、BSRはAuto-RPで
いうRP Mapping Agentに該当する名称でもあります。以下にAuto-RPとBSRの違いを列挙していきます。
・ Auto-RPはPIMv1とPIMv2のどちらでも実装できるが、BSRの場合はPIMv2でのみ利用できる
・ Auto-RPでは「自分がRPになりたい!」というRP-Announceメッセージをマルチキャストで通知
BSRでは「自分がRPになりたい!」というC-RP通知をユニキャストで通知
・ Auto-RPでは「マルチキャストグループとRPアドレス情報」のRP-Discoveryを224.0.1.40で通知
BSRでは「マルチキャストグループとRPのアドレス情報」のBSRメッセージを224.0.0.13で通知
・ Auto-RPでは、複数のRP Mapping Agentが同時に動作できましたが、BSRでは、複数のBSRが存在
する場合、BSRの決定メカニズムに従って選ばれた1台のBSRのみが動作する
◆ BSRのメカニズム - その1
@ BSRの決定
BSRでは、先ずBSRを選出します。BSR選出のためにBSRメッセージに含まれる以下の情報を確認します。
先ずBSRプライオリティを比較して大きな値を持つルータをBSRにします。BSRプライオリティが同じ場合
IPアドレスを比較して大きな値を持つルータをBSRにします。下図ではBSRが1台なので選出比較はしません。
選出基準 1. BSRプライオリティ
選出基準 2. IPアドレス
BSRは「自分がBSRである」というBSRメッセージを224.0.0.13(全てのPIMルータ)に送信します。この
224.0.0.13(TTL=1)宛てにするBSRメッセージは、ホップバイホップで全てのPIMルータに伝わります。
◆ BSRのメカニズム - その2
A RP Candidateから、C-RP通知をBSRへユニキャストで通知
BSRメッセージがホップバイホップで全てのPIMルータに伝わった結果、RP CandidateはBSRのIPアドレス
を知り、RP Candidateは「RPになりたい!」というメッセージである「C-RP通知」をBSRへユニキャスト
で通知します。BSRでは、RP Candidateから通知を受けた全てのマッピング情報を学習します。
◆ BSRのメカニズム - その3
B BSRメッセージで「マルチキャストグループとRPのアドレス情報」を通知
BSRが、RPのC-RP通知で学習した情報(マルチキャストグループとRPのアドレス情報)をBSRメッセージで
全てのPIMルータに通知していきます。下図のように1つのマルチキャストグループに対して複数のRPアドレス
がある場合、各PIMルータがRP Candidateの以下の選出メカニズムによって、1つのRPアドレスを決定します。
選出基準 1. 最も小さいルータのプライオリティ(デフォルト値は0)
選出基準 2. 最も大きいハッシュ値
選出基準 3. 最も大きいRPアドレス
なお、1つのルータを「RP Candidate」兼「BSR」としてコンフィグ設定することも可能です。
◆ BSRで使用するメッセージ
BSRで使用するメッセージ |
使用するアドレス |
説明 |
C-RP通知 |
ユニキャスト |
RPになる!というRP CandidateからBSRへ通知されるメッセージ |
BSRメッセージ |
224.0.0.13 |
BSRのプライオリティ、IPアドレス、Groupに対するRPアドレス |
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