◆ SANとは
SAN (Storage Area Network) とは、ストレージとサーバ間を接続する接続する高速ネットワークのこと。
SANにはFC-SANとIP-SANの2種類があります。簡単にいうと、ファイバチャネルを使用したネットワーク
がFC-SAN、IPを使用したネットワークがIP-SANです。以下の表はFC-SAN、IP-SANの違いの比較表です。
項目 |
FC-SAN |
IP-SAN |
ネットワーク |
ファイバチャネルネットワーク |
TCP/IPネットワーク |
導入機器 |
ファイバチャネルスイッチ |
LANスイッチ |
インターフェース/ケーブル |
HBA/光ファイバーケーブル |
NIC/光ファイバーまたはメタルケーブル |
プロトコル |
ファイバチャネルプロトコル |
iSCSI、FCIP、iFCP |
ゾーニング |
ソフトゾーニング / ハードゾーニング |
VLAN |
コスト |
△ ( 高価格 ) |
◎ ( 低価格 ) |
パフォーマンス |
◎ ( 高いパフォーマンス ) |
○ ( 高いパフォーマンス ) |
運用性/保守性 |
△ ( FCの精通技術者が必要 ) |
◎ ( IPの精通技術者でOK ) |
FC-SANでは「高い導入費用とFCの専門知識が必要」ということもあり、SANの導入を控えていた企業も
サーバの高性能化、イーサネット高速化(10G)、IP-SANの標準化により最近はSAN導入が進んでいます。
iSCSI:ストレージとサーバとの通信に使用するSCSIコマンドをカプセル化して、IPネットワーク上で送受信するプロトコル。
FCIP、iFCP:SANで流れるFCフレーム(ファイバチャネルコマンド)をカプセル化し、IPネットワークで送受信するプロトコル。
◆ FC-SAN と IP-SAN のプロトコルスタック
ファイバーチャネルではTCP/IPプロトコルを使用せず、ファイバチャネルプロトコル(FCP)を使用します。
◆ FC-SANとは
FC-SANの「FC」は“Fiber Channel”の略称です。ファイバチャネルとは、高速データ伝送方式の1つであり
1Gbps、2Gbps、4Gbps、8Gbps のデータ伝送を実現する技術。主にストレージネットワークで使用します。
FC-SANは「FCスイッチ」「HBA」「光ファイバーケーブル」の3つでストレージネットワークを構成します。
FC-SAN の構成要素 |
説明 |
FCスイッチ |
SANスイッチとも言います。複数のサーバとストレージを束ねるスイッチ。 |
HBA |
Host Bus Adapter。ファイバーチャネルのインターフェースカード。 |
光ファイバーケーブル |
サーバ⇔FCスイッチ間、ストレージ⇔FCスイッチ間を接続する光ファイバーケーブル |
◆ IP-SANとは
IP-SANは、FC-SANのようにファイバチャネルネットワークではなく、TCP/IPネットワークを使用して通信
を行います。IP-SANではサーバ ⇔ ストレージ間で iSCSI or FCIP or iFCP などのプロトコルを使用します。
SANの部分では1Gbpsまたは10Gbps(推奨)のギガビットイーサネットスイッチで構築します。IP-SANでは
「イーサネットスイッチ、NIC、光ファイバーまたはUTPケーブル」でストレージネットワークを構成します。
IP-SAN の構成要素 |
説明 |
イーサネットスイッチ |
一般的に1Gbpsではなく、10Gbps対応のイーサネットスイッチを使用します。 |
NIC |
イーサネットのインターフェースカード。 |
光ファイバーケーブル
or メタルケーブル |
サーバ⇔スイッチ、ストレージ⇔スイッチ間を接続する光ファイバー or メタルケーブル。
Direct Attatched ケーブル (10G SFP+モジュールの付いたメタルケーブル) が機器間で
互換性あれば低コストなのでそれがよく使用されます。Direct Attatchedケーブルに互換性
がない場合、10Gbase-SR規格モジュールと光ファイバがセットで使用される事が多いです。 |
◆ SAN - ゾーニングとは
複数のサーバで複数のストレージを共有することができるSAN環境では、ゾーニングという手法によって、
サーバとストレージ間のアクセスを制御することができる。ゾーニングにより、特定のサーバから接続できる
ストレージ装置を制限したり(特定のディスク領域しか見えないようにしたり)して相互干渉を防止している。
2種類のゾーニング |
説明 |
ソフトゾーニング |
WWNゾーニングとも呼ばれます。サーバやストレージ装置のWWN(World Wide Name)と
呼ばれるアドレスに基づき、接続可能なサーバとストレージの組み合わせを決定する方法。 |
ハードゾーニング |
ポートゾーニングとも呼ばれます。FCスイッチのポートに基づき接続可能なサーバとストレージ
の組み合わせを決定する方法。セキュリティ強度が高いのはこのハードゾーニングです。 |
IP-SANでは、このゾーニングは、VLANによって分離することも可能です。
◆ SAN と NAS はどちらが高速処理できるのか
SANでは、NTFSなどのファイルシステムを介さず、ストレージにアクセス(ローデバイス方式)できるため、
ファイルシステムによるアクセスを行うNASよりも高速に処理することができます。ゆえに企業ネットワーク
のネットワークストレージを構成する際には、一般的にNASではなくSANのネットワークが構築されています。
◆ FC-SAN と IP-SANはどちらが高速処理できるのか
IP-SANではTCP/IPが使用されます。 TCP/IPは低速な通信インフラの時代に開発されたプロトコルであり、
大量のデータトラフィックが発生するストレージアクセスに向いておらず、TCP/IPプロトコル処理に負荷
がかかります。一方、TCP/IPを使用しないFC-SANはより高速に処理できます。以上から、同じ通信速度と
同じスペックのサーバの場合の高速処理できる順番は「@ FC-SAN ⇒ A IP-SAN ⇒ B NAS」となります。
※ とはいえ冒頭で申し上げた通り、サーバの高性能化、10Gイーサネットスイッチなどで IP-SAN のインフラがかなり増えています。
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