◆ IGPのダイナミックルーティングプロトコルの2つのタイプ
IGPのダイナミックルーティングプロトコルには2つのタイプのルーティングプロトコルがあります。1つは
ディスタンスベクタ型ルーティングプロトコルです。もう1つはリンクステート型ルーティングプロトコル。
リンクステート型ルーティングプロトコルには、OSPFとIS-ISがあります。日本の企業ネットワークで最も
使用されているリンクステート型ルーティングプロトコルはOSPFです。ちなみに、ディスタンスベクタ型、
リンクステート型以外にもCisco社独自のハイブリッド型(拡張ディスタンスベクタ型)というのもあります。
ディスタンスベクタ型プロトコルのRIPでは、最大ホップ数が15であり拡張性がない点、VLSMに対応して
いない点、コンバージェンス(収束)が遅い点などから大規模なネットワークには適していません。そこで、
大規模なネットワーク用として以下に紹介するリンクステート型ルーティングプロトコルが開発されました。
リンクステート型ルーティングプロトコルではホップ数制限がなく、拡張性もあり、収束も高速になります。
◆ リンクステート型ルーティングプロトコルとは
ディスタンスベクタ型ルーティングプロトコルの場合、下図の通り「自身のルーティングテーブルに、隣の
ルータから通知されたルーティングアップデートの情報をそのまま追加していく」という単純な方式でした。
リンクステート型ルーティングプロトコルではルーティングテーブル作成のために次のステップを踏みます。
@ Helloパケットを送信し合い、隣接ルータとネイバー関係を確立し、ネイバーテーブルを作成。
A 全体のネットワーク構成を知るために、そのネットワーク上の全てのルータから情報(LSA)を収集。
B その収集したLSAをトポロジテーブルに格納する。そして、その情報からトポロジマップを作成。
C そのトポロジマップから、SPFアルゴリズムによりSPFツリーと呼ばれるネットワーク構成図を作成。
D そのSPFツリーから最短経路を計算し、最短パスをルーティングテーブルに登録。
LSA (Link State Advertisement)には、ルータの I/F のIPアドレス情報、そのルータのリンクに関する情報などが含まれます。
上図のトポロジテーブルは、OSPFでは LSDB( Link State Database )とも呼ばれています。
ディスタンスベクタ型ルーティングプロトコルでは、30秒間隔で全ての経路情報をアップデートしますが
リンクステート型ルーティングプロトコルでは、30分間隔でLSAごとに同期を行うので負荷が少ないです。
リンクステート型ルーティングプロトコルではトポロジに変更があった場合、トリガードアップデートで
即時にLSAをネットワーク内の全てのルータにアドバタイズします。そのLSAを受信した各ルータは、その
LSAをトポロジテーブルに格納 ⇒ トポロジマップの作成 ⇒ SPFツリーの作成 ⇒ ルーティングテーブルの
更新を行います。トポロジチェンジの際は変更部分だけを差分アップデートするので帯域消費が少ないです。
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