◆ OSPF - ルータIDの設定
OSPFのルータIDは以下で紹介するrouter-idコマンドで手動で定義できます。ただし、router-idコマンドで
設定しなくても、ループバックインターフェースがあればそのIPアドレスがルータIDとしてセットされます。
また、ループバックインターフェースが設定されていなくても、ルータのアクティブなインターフェースで
最も大きいIPアドレスがルータIDとして自動的にセットされるので、以下のコマンドは必須ではありません。
◆ ルータIDの設定
(config-router)# router-id router-id
コマンド引数 |
説明 |
router-id |
ルータIDは32ビットの値でIPアドレス同様4オクテットで区切り、10進数で表記する。
プロセスID 「 1 」 OSPFプロセスに、ルータIDを 「 1.1.1.1 」 にする場合の設定例は以下。
※ ルータIDの値は他のOSPFルータと重複してはいけない。
(config)# router ospf 1
(config-router)# router-id 1.1.1.1
|
なお、router-idコマンドでルータIDを設定変更した場合、ルータを再起動するかclear ip ospf proccess
コマンドによってOSPFプロセスの再起動が必要です。いずれの場合でも通信切断が発生してしまいます。
◆ OSPF - OSPFプライオリティの設定
DR/BDRの選出は、先ず最初にインターフェースに設定されたOSPFプライオリティ値を比較して決定します。
OSPFプライオリティ値が最も高いルータがDR、次に高いのがBDR、そして最後にDROTHERが選出されます。
このプライオリティ値はデフォルトで 1 と設定されています。この値はインターフェースごとに変更できます。
◆ OSPFを有効化するインタフェースの指定、エリアの指定
(config-if)# ip ospf priority number
コマンド引数 |
説明 |
number |
プライオリティ値を 0 〜 255 の範囲で指定します。なお、0 に設定した場合は、即座に
DROTHERとなり、DRやBDRには選出されない。interface GigabitEthernet 0/1 に対し
プライオリティ値 255 とする設定例は以下。
(config)# interface GigabitEthernet 0/1
(config-if)# ip ospf priority 255
|
設定変更後のプライオリティ値は show ip ospf interface コマンドで確認できます。なお、DR/BDRなど
の選出完了後にこの設定をしてもDR/BDR/DROTHERの関係は変わりません。これらはネイバー関係確立
の際に適用される値なので即反映させたい場合、I/Fの shut/no shut または clear ip ospf proccess を実行。
◆ OSPF - コスト値の設定
OSPFのコスト値はデフォルトで、リンク(インターフェース)の帯域幅を基に自動的に算出されます。また、
各リンクごとに手動で設定することもできます。以下のデフォルトの計算式から、下表のコスト値を導くこと
ができます。なお、1Gbpsの場合はコスト値は計算式上は 0.1 となってしまいますが、OSPFメトリック値は
整数値が使用されるため、1Gbpsでもコスト値は 1 となります。
インターフェースの帯域幅 |
コスト値 |
64Kbps |
1562 |
128Kbps |
781 |
1544kbps |
64 |
10Mbps |
10 |
100Mbps |
1 |
1Gbps |
1 |
このコスト値は、インターフェースの帯域幅に関係なく、以下のコマンドで手動で設定変更できます。
◆ OSPFのコスト設定
(config-if)# ip ospf cost cost
コマンド引数 |
説明 |
cost |
インターフェースに割り当てるコスト値を 1 〜 65535 の範囲で指定する。
interface GigabitEthernet 0/1 にコスト値を 「10」 とする設定例は以下。
(config)# interface GigabitEthernet 0/1
(config-if)# ip ospf cost 10
|
OSPFのコスト値の手動変更は、コスト値の自動計算式の分子を変えることでも実現可能です。デフォルトで
計算式の分子の値は「100Mbps」ですがこれを「1000Mbps」に変更した場合、10Mbpsリンクのコスト値は
「100」、100Mbpsは「10」、1Gbpsは「1」となります。ただしこの変更は全てのOSPFルータで設定変更
しないと整合性が取れないので、中規模/大規模ネットワークでは現実的ではなくこの設定変更は非推奨です。
◆ コスト計算式の分子の値の変更
(config-router)# auto-cost reference-bandwidth ref-bw
コマンド引数 |
説明 |
ref-bw |
コスト計算式の分子の値を 1-4294967 の範囲で指定です。単位は Mbps。
OSPFルータで、コスト計算式の分子の値を「1000Mbps」にする設定例。
(config)# router ospf 1
(config-router)# auto-cost reference-bandwidth 1000
|
OSPFのコスト値は、インターフェースの帯域幅を見て自動算出されますが、実際にはshow interfacesで
確認できるBW 〜 Kbit/sec値から自動計算されます。従って、bandwidthコマンド帯域を変更することで
コスト値を変更することも可能です。しかし、このようなマイナー手法での設定変更は一般的に行いません。
◆ メトリック調整のためのbandwidthの設定
(config-if)# bandwidth kbps
コマンド引数 |
説明 |
kbps |
メトリック計算用としてインターフェースの帯域幅の指定。単位は kbps。
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