◆ OSPF - エリア一覧
OSPFには、以下の6つのエリアがあります。一般的に使用されるのはバックボーンエリアと標準エリアです。
OSPFでは、1つのエリア内に流れるLSAの量を減らすためにスタブエリア、トータリースタブエリア、NSSA
トータリーNSSAの特別なエリアを定義しています。※ 再配布についてはルート再配布の解説をご参考下さい。
エリアの種類 |
エリアの説明 |
流入可能な LSA Type |
バックボーンエリア |
全種類のエリアがつながる中心となるエリア。全エリアはこのエリアに接続されて
経路情報を交換する。バックボーンエリアには、エリア「0」のラベルが付けられる。
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1 ~ 5 |
標準エリア |
バックボーンエリア以外のOSPFの標準エリア。標準エリアで受信可能なLSAは 3 ~ 5。 |
1 ~ 5 |
スタブエリア |
無駄なLSAトラフィックを少なくするために考えられたエリア。ASBRから再配布された
外部ルート(LSA5)を受信せず、スタブエリアとの接続点にいるABRがスタブエリアに
注入してくれたデフォルトルートを使用して、非OSPFネットワークにアクセスする。
※ スタブエリアは、ASBRの配置不可。仮想リンク設定不可。バックボーンでは不可。
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1 ~ 3 |
トータリースタブエリア |
さらに無駄なLSAトラフィックを少なくするために考えられたエリア。ASBRから再配布
された外部ルート(LSA5)だけでなく、ABRから配布されるルート(LSA3)も受信せず
トータリースタブエリアとの接続点にいるABRが注入してくれたデフォルトルートを使用
して非OSPFネットワーク、または異なるエリアへのネットワークへアクセスする。
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1 ~ 2 |
NSSA |
スタブエリアにASBRが存在することができるエリア。NSSAに、外部ルートが再配布
された場合は、NSSAにしか存在できないLSAタイプ7が発生する。このNSSA上の
ASBRで発生したLSA7の経路は、他のエリアに流れる際には「LSA5」として流される。
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1 ~ 3, 7 |
トータリーNSSA |
トータリースタブエリアにASBRが存在することができるエリア。トータリーNSSAに
外部ルートが再配布された場合は、トータリーNSSAにしか存在できないLSAタイプ7
が発生する。このトータリーNSSA上のASBRで発生したLSA7の経路は、他のエリアに
流れる際はLSA5として流される。
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1 ~ 2, 7 |
◆ OSPF - スタブエリア、トータリースタブエリアの解説図
スタブエリアでは、ABRは、LSAタイプ5の外部ルートをアドバタイズする代わりに、LSAタイプ3のデフォルト
ルートをアドバタイズします。トータリースタブエリアでは、ABRは、LSAタイプ3のエリア間ルート、および
LSAタイプ5の外部ルートをアドバタイズする代わりに、LSAタイプ3のデフォルトルートをアドバタイズします。
※ なお、デフォルトルートだけはLSAタイプ3で通知しますが、その他のルートのLSAタイプ3は通知しません。
◆ OSPF - NSSAの解説図
NSSAは解説図が複雑となるため、先ず理解して頂きたいポイントを示します。
・ NSSAに配置したABRは、受信したタイプ7の外部ルートはタイプ5の外部ルートとして通知する
・ NSSAに配置したABRは、受信したタイプ5の外部ルートはタイプ7のデフォルトルートとして通知する
NSSAに配置されているASBR(R4)は、外部AS(RIPv2)のルート情報をNSSA内にアドバタイズする時、
タイプ7のLSAを使用します。次に、NSSAのABR(R3)はLSAタイプ7で通知されてきた外部AS(RIPv2)
のルート情報をエリア0にアドバタイズする際に、LSAタイプ7からLSAタイプ5に変換してから通知します。
一方、NSSAのABR(R3)は、R1からLSAタイプ5で通知されてきた外部ルートを、LSAタイプ5として通知
するのではなく、LSAタイプ7のデフォルトルートとして通知します。このデフォルトルートとして通知する
ためには「area nssa default-information originate」コマンドの設定が必要となります。
◆ OSPF - トータリーNSSAの解説図
トータリーNSSAの理解して頂きたいポイントは以下の通りです。
・ トータリーNSSAに配置するABRは、受信したタイプ7の外部ルートはタイプ5の外部ルートとして通知
・ トータリーNSSAに配置するABRは、受信したタイプ5の外部ルートはタイプ3のデフォルトルートとして通知
※ デフォルトルートだけはLSAタイプ3で通知しますが、トータリーNSSAでは、その他のLSAタイプ3のルートは通知しません。
トータリーNSSAの解説図は以下であり、NSSAとの違いは以下の通りです。
・ LSAタイプ4、5だけでなく、LSAタイプ3のルート情報もブロックして、デフォルトルートとして通知する。
・ そのデフォルトルートは自動的に生成されて通知されるため、default-information originateの設定は不要。
トータリーNSSAで存在可能なLSAタイプは「LSAタイプ1、2、7」だけとなりますが、デフォルトルートの
LSAタイプ3だけはその例外であり、トータリーNSSAにも存在することができます。
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