◆ OSPF - ネットワークタイプの設定
OSPFの場合は残念なことに、EIGRPのようにLayer2でのシームレスな接続を完全に実現できておりません。
つまり、Layer2に合わせたOSPFのネットワークタイプの設定が必要になってきます。ただし、メディアに
あわせたネットワークタイプが自動的に設定されるのであまり意識されることはありません。しかし例えば
以下の3つのなかで、NBMAトポロジーにおいては手動で変更する必要があるネットワークタイプがあります。
3つのトポロジー |
NWの例 |
ネイバー検出 |
DR/BDR の選出 |
Hello interval |
ブロードキャストマルチアクセス |
LAN接続 |
自動 |
有 |
10 |
ポイントツーポイント |
PPP接続 |
自動 |
無 |
10 |
NBMA |
FR / ATM接続 |
modeによる |
modeによる |
modeによる |
ここでは、OSPFで定義できる5つのネットワークタイプの設定を見ていきます。Cisco IOSにて定義できる
ネットワークタイプのコマンドは以下の5つがあり、各ネットワークタイプにおける動作は以下となります。
以下の通り、ブロードキャストの有無がネイバー検出の有無に影響しており、マルチアクセスネットワーク
の有無がDR/BDR選出の有無に影響しています。※ Point-to-Pointは1対1の関係なのでネイバーを自動検出。
◆ OSPFネットワークタイプの設定
(config-if)# ip ospf network mode
5つのネットワークタイプ設定 |
内容 |
隣接検出 |
DR選出 |
ip ospf network broadcast |
LANで自動的に適用されるコマンド |
自動 |
有 |
ip ospf network point-to-point |
Point-to-Pointで自動的に適用されるコマンド |
自動 |
無 |
ip ospf network non-broadcast |
NBMAで自動的に適用されるコマンド |
手動 |
有 |
ip ospf network point-to-multipoint |
手動で入力しないと適用されないコマンド |
自動 |
無 |
ip ospf network point-to-multipoint nonbroadcast |
手動で入力しないと適用されないコマンド |
手動 |
無 |
LANインタフェースでは「ip ospf network broadcast」と設定しなくても、自動的にこのコマンドが適用
されています。Serial I/Fでは「encapsulation ppp」と設定すれば「ip ospf network point-to-point」と
設定しなくても自動的にこのコマンドが適用されて、「encapsulation frame-relay」と設定してNBMAと
認識させれば「ip ospf network non-broadcast」と設定しなくても自動的にこのコマンドが適用されます。
※ FRのポイントツーポイントサブインターフェースでは「ip ospf network point-to-point」となります。
各インターフェースで適用されるデフォルトの ip ospf network コマンドは、デフォルト値の場合には表示
されません。例えば、GigabitEthernet 0/0などで「ip ospf network broadcast」の設定は表示されません。
現在のネットワークタイプを確認したい場合は show ip ospf interface interface-id コマンドで確認します。
◆ OSPF - NBMAモードにおける手動ネイバーの設定
NBMAのトポロジーでは、ブロードキャスト(マルチキャスト)がサポートされていないため、OSPFのHello
パケットが到達しません。そこで手動でOSPFネイバーを定義する必要があります。ハブアンドスポーク構成
において以下のneighbor設定はハブ側だけに設定します。スポーク側にneighborで設定する必要はないです。
◆ OSPF - NBMAモードにおける手動ネイバーの設定
(config)# router ospf procces-id
(config-router)# neighbor ipaddress priority priority cost cost [ database-filter all ]
コマンド引数 |
説明 |
ipaddress |
OSPFネイバールータのIPアドレス。
|
priority |
OSPFネイバールータのプライオリティ値。プライオリティ値は 0。 |
cost |
OSPFネイバールータのコスト値。1〜65535の間で割り当てる。 |
database-filter all |
指定したOSPFネイバールータに対して、LSAの送信を停止するコマンド。 |
◆ NBMAトポロジーにおけるハブ側(R1)の設定例
R1(config)# router ospf 1
R1(config-router)#network 192.168.0.1 0.0.0.0 area 0
R1(config-router)#network 192.168.1.254 0.0.0.0 area 1
R1(config-router)#neighbor 192.168.0.2
R1(config-router)#neighbor 192.168.0.3
R1(config)# interface Serial0/0
R1(config-if)#ip ospf priority 255
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◆ NBMAトポロジーにおけるスポーク側(R2とR3)の設定例
R2(config)# router ospf 1
R2(config-router)#network 192.168.0.2 0.0.0.0 area 0
R2(config-router)#network 192.168.2.254 0.0.0.0 area 2
R2(config)# interface Serial0/0
R2(config-if)#ip ospf priority 0
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R3(config)# router ospf 1
R3(config-router)#network 192.168.0.3 0.0.0.0 area 0
R3(config-router)#network 192.168.3.254 0.0.0.0 area 3
R3(config)# interface Serial0/0
R3(config-if)#ip ospf priority 0
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スポーク側のルータがDRにならないように、I/Fで「ip ospf priority 0」と設定しておく必要があります。
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