◆ OSPF - ABR上での経路集約
OSPFではデフォルトで自動経路集約をしないので、経路集約したい場合は手動で設定する必要があります。
経路集約することでルーティングテーブルのエントリが減少し、機器のCPUやメモリ使用率を低減できます。
OSPFの経路集約は以下の2種類があります。今回は、ABRで経路集約するための設定コマンドを解説します。
経路集約を行う機器 |
経路集約コマンド |
経路集約の対象ルート |
対象LSA |
ABR |
area range |
エリア間のルートの経路集約 |
LSAタイプ 3 |
ASBR |
summary-address |
外部ASのルートの経路集約 |
LSAタイプ 5 |
◆ OSPF - ABR上での経路集約の設定
(config)# router ospf procces-id
(config-router)# area area-id range address mask [ cost cost ]
コマンド引数 |
説明 |
area-id |
経路集約をする対象サブネットが存在するエリアの指定
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address / mask |
集約ルートのネットワークアドレス、サブネットマスクの指定 |
cost |
集約ルートのコスト値の指定(デフォルト値は、集約対象となるルートのなかの最小コスト値) |

◆ OSPF - ABR上の経路集約の設定例
R1(config)# router ospf 1
R1(config-router)#area 10 range 172.16.0.0 255.255.240.0
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※ 集約ルートを設定したABRのルーティングテーブルには、ループ回避のための Null0 ルートが自動的にインストールされます。
◆ OSPF - ASBR上での経路集約
OSPFのASBRは、デフォルトでは外部ルートを経路集約せずに、全てのルートをLSAタイプ5で通知します。
LSAタイプ5の外部ルートを経路集約するためには以下のコマンドで設定します。
◆ OSPF - ASBR上での経路集約の設定
(config)# router ospf procces-id
(config-router)# summary-address address mask
コマンド引数 |
説明 |
address / mask |
集約ルートのネットワークアドレス、サブネットマスクの指定 |

◆ OSPF - ASBR上の経路集約の設定例
R1(config)# router ospf 1
R1(config-router)#summary-address 172.16.0.0 255.255.240.0
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※ 集約ルートを設定したABRのルーティングテーブルには、ループ回避のための Null0 ルートが自動的にインストールされます。
なお、RFC2328では同じ経路情報に対するOSPFルートの優先順位を以下の@→Cの順番に規定しています。
例えば「O IA :172.16.0.0/16」と「O E2 : 172.16.0.0/16」の2通りで受信した場合は、ルーティング
テーブルに表示されるのは前者だけです。前者が消えることで後者がルーティングテーブルに表示されます。
@ [ O ] ( エリア内ルート )
A [ O IA ] ( エリア間ルート )
B [ O E1 ] ( 外部ルート Type 1 )
C [ O E2 ] ( 外部ルート Type 2 )
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