◆ FIFOとは
FIFO(First In, First Out)は「先入れ先出し」のキューイング方式であり、ファイフォと呼ばれます。
FIFOは最もシンプルなキューイング方式であり、Ethernet LANインターフェースでデフォルトで有効
になっているハードウェア処理可能なキューイング方式です。FIFOはパケットを先着順で処理します。
下図の通り、ルータに着信したパケットには優先順位はなく、着信順に処理されて転送されていきます。
音声パケット、データパケットに優先度がないため、デフォルトのQoSの設定状態(つまりFIFO)において
音声トラフィックを転送している場合は、音声品質に問題が発生するのではないかと思うかもしれませんが、
トラフィックが混雑していなければ問題は発生しません。例えばGigabitEthernetインターフェースであり
例えば理論上100Mbps以下しか使用せず、トラフィックの混雑(輻輳)が発生しなければ問題はありません。
一方で、出力側となるWAN側インターフェースが10Mbpsや100Mbpsしかない場合には、FIFOでは往々に
して問題が発生することから、FIFOではないしかるべきQoS実装が行われることが一般的です。
◆ FIFOキューイングの詳細
FIFOキューイングでは、全てのパケットが同じクラスに所属することからも、パケットの分類がありません。
そのため、アウトプットキュー(Output queue)が一杯の状態の場合、パケットはドロップされます。この
パケットがドロップされる状態をテールドロップ(tail drop)と呼びます。
ルータにQoSを実装する場合は非常に負荷がかかりますが、このFIFOのハードウェア処理ではルータの
負荷はほとんどありません。また、QoSのキューイング実装のなかで、FIFOは最も早くパケット転送の
処理を行ってくれます。そのことから、音声トラフィックとデータトラフィックが混在していない場合、
パケット優先度をつける必要がない場合、帯域に余裕がある場合はFIFOのままとすることが一般的です。
一方、GigabitEthernetインターフェースであっても、それをWANインターフェースとして使用する場合
これから紹介していくCBWFQ、LLQなどのキューイング方式を実装したり、DSCP値などのマーキング、
ポリシングやシェーピングなどを実装することが多いことから、QoS実装に細心の注意が必要となります。
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