◆ LFIとは
LFI( Link Fragmentation and Interleaving )は、大きなデータグラムを小さなサイズにフラグメント化
して、その間に音声パケットを差し込むことで、シリアル化遅延やジッターを減らすことができる機能です。
データトラフィックのパケットサイズは一般的に1500byteとなりますが、音声トラフィックのVoIPパケット
のサイズは一般的に60byteです。リンク上でデータトラフィックを転送し始めた状態で、音声トラフィック
の伝送処理を始めると送信までの待ち時間が増加してしまいます。そのため、低速なシリアルWANリンクで
データトラフィックと音声トラフィックを転送する場合は音声通信に影響を及ぼす可能性があります。そこで
LFIのようなリンク効率化の技術を実装することで、低速WANで遅延やジッターを低減させることができます。
※ 現在のWAN回線にATM、PPPなどのシリアルリンクを使用することは少なく、現在ではほぼ実装されない技術となっています。
上図におけるVoiceパケットとは、IP電話による音声パケットではなく、VoiceGWによるVoIPパケットです。
上図の通り、LFIを実装することでVoIPパケットのような小さいパケットの遅延やジッターを減らせられます。
現在では上図のレガシー構成や低速WANを使用することなく、LFI が実装されることはほとんどありません。
なお、リンク効率化(link efficiency)の技術には、LFI以外にもCompression( 圧縮 )技術がありますが、
こちらの技術も、現在の企業ネットワークのWANリンクに接続するルータで実装されることはほぼありません。
◆ LFI - Ciscoコンフィグ設定
CiscoのLFIの技術は、物理インターフェースに適用するのではなく次のインターフェースに対して適用する
ことができます。ここではMultilink(マルチリンクインターフェース)上での設定方法を解説していきます。
・ interface Virtual-Template
・ interface Multilink( Multilink PPPで使用するインターフェース )
LFIは、直接PPPリンクに直接設定できないことからMultilink PPPに設定する必要があります。PPPリンクが
1リンクの場合でもMultilink PPPに設定する必要があります。なお、Multilink PPPはMLPまたはMLPPPとも
呼ばれます。
LFIを有効化させるためには、interface Multilink上で「ppp multilink interleave」と1行設定するだけです。
ppp multilink fragment-delay コマンドでは、Fragmentationの最大遅延時間を「ms」の単位で指定します。
Cisco(config) # interface Multilink1
Cisco(config-if) # ip address 10.1.1.1 255.255.255.0
Cisco(config-if) # ppp multilink
Cisco(config-if) # ppp multilink group 1
Cisco(config-if) # ppp multilink fragment-delay 10
Cisco(config-if) # ppp multilink interleave
Cisco(config) # interface Serial0/0
Cisco(config-if) # no ip address
Cisco(config-if) # encapsulation ppp
Cisco(config-if) # ppp multilink
Cisco(config-if) # ppp multilink group 1
Cisco(config) # interface Serial0/1
Cisco(config-if) # no ip address
Cisco(config-if) # encapsulation ppp
Cisco(config-if) # ppp multilink
Cisco(config-if) # ppp multilink group 1
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MLPバンドルのステータスを確認するためには次のコマンドで確認します。マルチリンクグループのメンバー
として動作する全てのインターフェースが表示されます。
⇒ show ppp multilink
作成したマルチリンクインターフェースのステータスを確認するためには、以下のコマンドで確認します。
⇒ show interfaces multilink 1
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