◆ PQ(Priority Queuing)とは
PQ( Priority Queuing )のキューイング方式では、各パケットにプライオリティが割り当てられて
そのプライオリティに基づいてキューからパケットを転送します。FIFOとは異なり複数のqueueを
使用します。また、最も優先度の高いqueue(Priority Queue)の全てのパケットが転送されてから、
次のqueueのパケットが転送される仕組みとなっています。
PQでは「high」「medium」「normal」「low」の4つのqueueが使用されます。例えば、ルータの
出力インターフェースで輻輳が発生しパケットがqueueに格納された時、プライオリティの最も高い
queueに格納された全てのパケットが転送されてから、他のqueueのパケットが転送されます。その
プライオリティの最も高いqueueが high です。優先順は high ⇒ medium ⇒ normal ⇒ low です。
輻輳が発生すると出力インターフェースの「output queue」でパケットが一時的に格納されますが、
その際にPriority Queuingは、以下のルールに基づいてキュー内にあるパケットを転送していきます。
PQ(Priority Queuing)では、優先度の高いキューに格納されたパケットを全て送出されてから、次の
キューに格納されたパケットが送出されることから、上図ではQueue1のパケットが全て送出された後に、
Queue2のパケットが送出されます。そして、Queue2のパケットが全て送出されてからQueue3にある
パケットが送出されます。なお、Queue2やQueue3にあるパケットの送出途中でQueue1にパケットが
着信すると、Queue1のパケットの送出後に、次のキューのパケットの送出が再開されることになります。
◆ PQの問題点
PQでは優先度の高いqueueにあるパケットは遅延なく伝送されますが、優先度の低いqueueにあるパケットは
常に後回しの送出処理である為、highキューに格納されるパケットが非常に多い場合(highキューを使用する
トラフィック量が非常に多い場合)は、優先度の低いqueueのパケットの転送に遅延が発生する時があります。
以上のことから、PQを実装する場合「 high 」キューに格納するパケットは音声パケットなどの遅延に敏感な
トラフィックだけとして、帯域幅を占有しないようなパケットだけにすることが設計上、必要となってきます。
◆ PQ - パケットの分類方法
パケットをhigh、medium、normal、lowのqueueに分類する場合、以下の基準で分類することができます。
・ 送信元IPアドレス
・ あて先IPアドレス
・ 送信元ポート番号
・ あて先ポート番号
・ プロトコルタイプ
・ 着信インターフェース
・ IP Precedence値
・ DSCP値
パケットの分類の定義に合致しないパケットは、全て「 normal 」キューに格納されることになります。
◆ PQ(Priority Queuing)- Ciscoルータのコンフィグ設定
先ず、パケットの分類を行うための設定を行います。
◆ プロトコルやACLに基づいた分類
(config)# priority-list list-number protocol protocol-name {high | medium | normal | low} queue-keyword keyword-value
◆ 入力インターフェースに基づいた分類
(config)# priority-list list-number interface interface-type {high | medium | normal | low}
次に、デフォルトキューの設定を行います。デフォルトキューとは設定したPriority-listの定義に合致しない
パケットが最終的に格納されるキューのことです。デフォルトでは「normal」キューがデフォルトキューと
なりますが、これを設定変更したい場合は以下のコマンドにより設定変更を行います。
◆ デフォルトキューの設定
(config)# priority-list list-number default {high | medium | normal | low}
次に、プライオリティキューの最大サイズを設定します。これはオプション設定でありデフォルトでは
各キューには以下の定義がされています。
◆ プライオリティキューの最大サイズの設定
(config)# priority-list list-number queue-limit [high-limit [medium-limit [normal-limit [low-limit]
Priority Queue Argument |
Packet Limits |
high-limit |
20 |
medium-limit |
40 |
normal-limit |
60 |
low-limit |
80 |
最後に、定義したプライオリティリストを出力インターフェースに適用します。
◆ プライオリティリストの出力インターフェースへの適用
(config)# interface interface-id
(config-if)# priority-group list-number
解説したコンフィグの設定例を見てみましょう。ステータスはshow queue interface serial0/0コマンドと
show queueing priority コマンドにより確認することができます。
Cisco(config) # access-list 101 permit 192.168.1.0 0.0.0.255 10.1.1.0 0.0.0.255
Cisco(config) # priority-list 1 protocol ip high list 101
Cisco(config) # priority-list 1 protocol ip medium tcp 23
Cisco(config) # priority-list 1 protocol ip medium udp 53
Cisco(config) # interface Serial0/0
Cisco(config-if) # priority-group 1
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※ 現在の企業ネットワークでは、PQを実装するようなケースではLLQを実装させることから、PQはレガシー技術であると言えます。
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