◆ IP Precedence(IPプレシデンス)とは
IPプレシデンスとは、IPヘッダの中のToSフィールドで定義されたIPパケットの優先度を表す値のことです。
IPプレシデンス値は「0」〜「7」の8段階あります。値が大きいほどその優先度が高いことを意味します。
※ IPプレシデンス値はマーキングされたパケットの「一致基準」としてだけ使用される場合があります。
Ethernet LANでTCP/IPを通信する場合、当然ながらそのフレームには20byteのIPヘッダが付加されます。
そして、その20byteのIPヘッダの詳細を見ると、8bitのToS(Type of Service)と呼ばれるフィールドが
あります。IPプレシデンスでは、その中の3bitを使用して8段階( 0〜7 )で優先度を表すことができます。
PCから送信されるIPパケットは一般的にIPプレシデンスの値は「0」として送出されるのに対して、IP電話
などの音声機器から送信されるIPパケットは一般的に「3」や「5」の値が付加されて送出されます。なお、
これらのIPパケットを通過するルータでIPプレシデンス値を、ルータの設定で書き換えすることが可能です。
◆ IP Precedence - 8つのクラス
IPプレシデンスには以下の通り8段階あります。IPプレシデンス値は高い値ほど優先度が高くなります。
IPプレシデンス 7(Network control)とIPプレシデンス6(Internetwork control)は、ルーティング
パケットや制御パケットなどネットワーク制御用に予約済みであり、ネットワーク管理者が設定する場合
IPプレシデンス値の「0 〜 5」の値を使用して設計する必要があります。
IPプレシデンス値 |
bit |
IP Precedence |
7 |
111 |
Network control |
6 |
110 |
Internetwork control |
5 |
101 |
Critical |
4 |
100 |
Flash override |
3 |
011 |
Flash |
2 |
010 |
Immediate |
1 |
001 |
Priority |
0 |
000 |
Routine |
◆ IPプレシデンス値の設定 - PBRによる設定
レガシーな設定方法としてPBRによるマーキングがあります。以下の設定により、172.16.1.1を宛先とする
全てのIPトラフィックにIP Precedence 5(critical)を割り当てる結果となります。ACL101に合致しない 他のIPトラフィックに関しては、そのパケットの持つPrecedence値のままで転送されていくことになります。
Cisco(config) # access-list 101 permit ip any host 172.16.1.1
Cisco(config) # route-map R-MARK permit 10
Cisco(config-route-map) # match ip address 101
Cisco(config-route-map) # set ip precedence critical
Cisco(config) # interface GigabitEthernet0/0
Cisco(config-if) # ip policy route-map R-MARK
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◆ IPプレシデンス値の設定 - Class-Basedパケットマーキングによる設定
現在の主流な設定方法として、Class-Basedパケットマーキングがあります。この設定を行うためには
グローバルで「 ip cef 」が有効である必要があります。以下の設定によって、172.16.1.1を宛先とする
全てのIPトラフィックにIP Precedence 5(critical)が割り当てられます。なお、ACL101に合致しない
他のIPトラフィックは、そのパケットの持つIP Precedence値のままで転送されていくことになります。
Cisco(config) # ip cef
Cisco(config) # access-list 101 permit ip any host 172.16.1.1
Cisco(config) # class-map match-all C-MARK
Cisco(config-cmap) # match access-group 101
Cisco(config) # policy-map P-MARK permit 10
Cisco(config-pmap) # class C-MARK
Cisco(config-pmap-c) # set ip precedence 5
Cisco(config) # interface GigabitEthernet0/0
Cisco(config-if) # service-policy input P-MARK
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