◆ IP RTP Priorityとは
IP RTP Priorityは、WFQのキューイング方式にPQのキューイング方式を追加したキューイング技術です。
ちなみにLLQは、CBWFQのキューイング方式にPQのキューイング方式を追加したキューイング技術です。
IP RTP Priorityの場合、特定の範囲のUDP宛先ポートに属するRTPパケットのためにPQが作成されます。
Cisco VoIP製品ではUDPポートの範囲(16384〜32767)を使用します。IP RTP Priorityを実装したCisco
ルータはこのVoIPトラフィックを検知すると、輻輳時にそのトラフィックをPQに格納して最優先して転送
します。PQが空の場合はWFQに基づいて他のキューが処理されます。
LLQでは絶対優先キュー(Priorityキュー)に格納できるパケットをユーザが定義できることからも現在は
音声パケットを最優先処理させるためにLLQが主に使用されます。IP RTP Priorityは、PPPマルチリンクや
FrameRelayなどのレガシーWANでシンプルなコンフィグレーションを生かしてよく使用されていました。
◆ IP RTP Priorityの問題点
IP RTP Priorityでは、RTPパケット(UDP:16384〜32767)はPQに格納して、最優先処理できますが、
制御パケットであるRTCPパケット(VoIPシグナリング)については、PQ処理されずWFQで処理される
問題点があります。つまり、最低保証帯域も指定できないことから、LLQよりも不安定な実装と言えます。
RTP(Real-time Transport Protocol)は、音声や映像データをリアルタイムに再生するための伝送
プロトコルです。RTPのパケット転送は、RTCPにより送受信のためのセッションが制御されています。
◆ IP RTP Priority - キューイング概要図
◆ IP RTP Priority - Ciscoルータのコンフィグ設定
IP RTP Priorityコマンドは1行だけです。MQCも使用しません。コンフィグが簡素化されるという点が
このキューイング方式のメリットです。
◆ IP RTP Priorityの設定
(config)# ip rtp priority starting-rtp-port-number port-number-range bandwidth
コマンド引数 |
説明 |
starting-rtp-port-number |
RTPパケットの照合基準となるUDPポートの最小番号を指定。16384と指定。
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port-number-range |
UDPポートのレンジ番号の指定。16383と指定することで16384〜32767が対象となる。
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bandwidth |
PQに割り当てる最大帯域幅を「kbps」単位で指定。 |
◆ IP RTP Priorityの設定例
Cisco(config) # ip rtp priority 16384 16383 45 |
上記のようなIP RTP Priorityの設定例は、PPP MultilinkやFrameRelayなどで主にコンフィグされていました。
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