◆ メトリックとは
複数のルーティングプロトコルが動作していて、複数の情報源により得られた宛先ルートが複数ある場合は
AD(administrative distance)値に従い、1つの最適な宛先ルートがルーティングテーブルに登録されます。
そして、ある1つのルーティングプロトコルで得られた宛先ルートが複数ある場合、メトリックの値が小さい
経路が最適な宛先ルートとしてルーティングテーブルに登録されます。このメトリックを以下で説明します。
下図では「172.16.1.0/24」から「172.16.4.0/24」という宛先ネットワークへは、2つの通り道があります。
1つは「R1 ⇒ R2 ⇒ R3」という経路、もう1つは「R1 ⇒ R4」という経路。下図の各ルータにてRIPが有効な
場合、RIPではメトリック値にホップ数(ルータから宛先ルートまでに経由するルータの数)を使用すること
になりますのでホップ数が少ない(メトリック値が小さい)R1 ⇒ R4の経路で通信を行います。R1⇒R2⇒R3
の経路ではホップ数は「2」となります。一方、「R1⇒R4」の経路においては、ホップ数が「1」となります。
以上の内容から、RIPでは、ホップ数の少ない経路である「R1 ⇒ R4」のパスにて通信を行うことになります。
ルーティングプロトコルによりこのメトリックの値は異なります。RIPではホップをメトリックの値にしますが
OSPFの場合はコスト(インターフェースの帯域幅)をメトリックの値に使用します。従って、例えば下図では
OSPFをルーティングプロトコルに使用している場合、「172.16.4.0/24」へR1⇒R2⇒R3の経路で通信します。
OSPFでは10Mbpsのリンクはコスト値が 10 となります。そして100Mbpsのリンクはコスト値が1となります。
下図のR1⇒R2⇒R3では、100Mbpsのリンクを2回経由することになるので「1+1」でコスト値は2となります。
R1⇒R4では10Mbpsのリンクを経由するのでコスト値は10。2 と 10 とでは 2 の方がメトリック値が低いです。
メトリック値の定義と基準はルーティングプロトコルにより異なりますが、小さい値が優先されるのは絶対。
ルーティングプロトコル |
メトリック |
説明 |
RIP |
ホップ数 |
ルータから宛先ルートまでに経由するルータの数 |
EIGRP |
複合メトリック |
インターフェースの帯域幅、遅延、信頼性、負荷、MTU |
OSPF |
コスト |
インターフェースの帯域幅 |
IS-IS |
ナローメトリック
ワイドメトリック |
ナローメトリック : I/F上のメトリック(1 〜 63)
ワイドメトリック : I/F上のメトリック(1 〜 16777214) |
Ciscoルータのルーティングテーブルでのメトリック値の確認方法はルーティングテーブルの見方でご確認を。
繰り返しになりますが、ルーティングテーブルでは
先ず、ロンゲストマッチに従い宛先ルートへのパス
が決定します。ルーティングにおける大原則です。
次に、ルータ上で複数のルーティングプロトコルが
動作していて、複数の情報源により宛先ルートを
得る場合、AD値の最も低いルーティングプロトコル
のルート情報をルーティングテーブルに登録します。
最後に、ある1つのルーティングプロトコルにおいて
得られた宛先ルートが複数ある場合、メトリック値の
最も小さいパスのルート情報をルーティングテーブル
に登録します。メトリック値が全く同じである場合は
複数のルートがルーティングテーブルに存在して、
パケットのロードバランスして送出されていきます。
|
|
|