MSTP - instance / region / revision / IST / MST / CIST



 ◆ MSTP - 用語集

 MSTPでは、STPやRSTPの設定に追加して大きくの以下の4つの設定が必要となります。

 ・ リージョンの定義
 ・ リビジョン番号の定義
 ・ インスタンスとVLAN番号のマッピング
 ・ インスタンス単位でのプライオリティの定義

 MST用語集の赤字を理解できれば基本的なMSTPを実装できるので、先ずそのMST用語を理解しましょう。

MST用語 説明
インスタンス

 スパニングツリーの識別子。0 〜 4096までの値で指定可能。MSTのデフォルトでインスタンス 0 には
 すべてのVLANが割り当てられている。
インスタンス 0 は特殊で ISTインスタンス とも呼ばれている。

リージョン(領域)

 同じMSTのコンフィグ情報を共有するスイッチの集合。MSTリージョンはいわばBGPの自律システム。
 1つのMSTリージョンで「 1つのISTインスタンス 」と「 64つのMSTインスタンス 」が動作できる。

リビジョン番号  設定情報の新しさを表す番号
ISTインスタンス
( IST )

 インスタンス 0 を使用。リージョンを越えられるインスタンス。ISTインスタンスはリージョン内と
 リージョン間で稼動するスパニングツリーインスタンスで、ISTインスタンスによりMSTリージョン
 全体を1つのCST仮想スイッチとして外部に示すことができる。ISTはBPDUを送受信できる唯一の
 スパニングツリーインスタンス。デフォルトで、すべてのVLANが割り当てられているインスタンス。

MSTインスタンス
( MST )

 インスタンス 1 〜 4096 を使用。リージョンを越えられないインスタンス。MSTインスタンスでは
 リージョン内でのみスパニングツリーインスタンスを確立して維持。MSTは、VLANやインスタンス
 ごとにBPDUを送受信するのではない。MSTインスタンスごとに、ISTが送受信しているBPDUに
 Mレコードが追加される。1つのBPDUに多数のMレコードが追加されるため、BPDUの数は増えない。

CST

 CST(Common Spannning-tree)はスイッチドネットワーク全体を構成するためのSpanning-tree。
 MSTリージョン間や単一のスパニングツリーを使用するブリッジ間の接続を制御するSpanning-tree

CIST

 CIST(Common and Internal Spanning-tree)は、各MSTリージョン内のISTインスタンス、複数の
 MSTリージョン間を接続するCSTインスタンス、802.1Dブリッジで構成するSpanning-tree。CISTは
 MSTリージョン内部においてISTインスタンス、MSTリージョン外部においてCSTインスタンスと同じ。

インスタンスルート  MSTインスタンスのルートスイッチ。show spanning-tree コマンドで確認できる。
CISTリージョナルルート  MSTリージョン内のルートスイッチ。show spanning-tree mstコマンドで確認できる。
CISTルート  スイッチドネットワーク全体のルートスイッチ。CSTルートとも呼ばれる。sh spanning-tree mst。

 ※ インスタンスルート、CISTリージョナルルート、CISTルートの3つの役割を、同時に一台のスイッチが持つことは可能です。


 ◆ MSTP - 用語集

 IEEE802.1S標準化のMSTPは、シスコ独自のMISTP(Multiple Instance Spanning-tree Protocol)
 の実装を参考にしてIEEEが新しく設定した標準でありマニュアルはMISTPでの用語の名残があります。

IEEE標準 シスコ標準(MSTP) シスコ先行標準(MISTP)
CIST リージョナル ルート CIST リージョナル ルート IST マスター

CIST 内部ルート パス コスト

CIST 内部パス コスト

IST マスター パス コスト

CIST 外部ルート パス コスト

ルート パス コスト

ルート パス コスト

MSTI リージョナル ルート

インスタンス ルート

インスタンス ルート

MSTI 内部ルート パス コスト ルート パス コスト

ルート パス コスト




 ◆ IEEE802.1D STPとの相互運用性

 MSTPが稼動するスイッチは、802.1Dスイッチとの相互運用を可能にするメカニズムをサポートしています。
 MSTPスイッチは、802.1D BPDU( プロトコルバージョン 0 )を受信した場合、そのポートでは802.1Dの
 BPDUのみ送信します。MSTPスイッチは「802.1D BPDU」または「RSTP BPDU」または「 MSTP BPDU」
 を受信することによって、ポートが境界に位置していることを検出できます。

 ただし、802.1Dスイッチが指定スイッチでない場合、802.1D BPDUを受信しなくなった場合でも、自動的に
 MSTPモードに戻りません。さらにスイッチは接続先のスイッチがリージョンに加入した場合でも、引き続き
 境界ポートとして動作する場合もあることから、隣接スイッチとの再ネゴシエーションを強制するためには、
 
clear spanning-tree detected-protocol コマンドを実行します。



MSTPとは MSTP - コンフィグ設定

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