◆ MSTリージョンとは
MSTリージョンとは、同じMSTのコンフィグ情報を共有するスイッチの集まりのことです。同じMSTの
リージョンにスイッチを参加させるためには、そのスイッチで以下の3項目を同じにする必要があります。
@ VLANとMSTインスタンスのマッピング
A リージョン名
B リビジョン番号
MSTリージョンには、同一のMSTコンフィグを持つスイッチが最低1つ以上必要でありその各メンバーは
RSTP BPDUを処理できる必要があります。なお、スイッチネットワークでMSTリージョン数に制限はない。
MSTのインスタンスは「0 〜 4096」の数字で識別することが出来ますが、各リージョンがサポートできる
インスタンス数は「65」までとなります。各VLANは1つのインスタンスのみに割り当てできます。また、
同一リージョン内のMSTインスタンスは、同じプロトコルタイマーを共有することになりますが、各MST
インスタンスは独自のトポロジーパラメータ (ルートブリッジID、ルートパスコスト) などを保持できます。
◆ MSTリージョン内の動作
ISTは1つのリージョン内の全てのMSTPスイッチを接続します。ISTが収束するとISTのルートスイッチは
つまり「リージョン内のルートスイッチ」は「CISTリージョナルルート」になります。CISTリージョナル
ルートは、CISTルートに対して「MSTリージョン内で最も低いパスコストを持つスイッチ」です。
従って、CISTリージョナルルートのスイッチは必ず境界(Boundary)ポートを持つスイッチと言えます。
CISTルートへのパスコストが同じ値のスイッチがいる場合は、スイッチプライオリティを比較しどちらが
CISTリージョナルルートになるかを決定します。例えば、リージョン内にスイッチが1つしかない場合は、
そのスイッチが「インスタンスルート」兼「CISTリージョナルルート」になります。
MSTPスイッチは初期化時に自身がCISTルート及びCISTリージョナルルートであることを主張するために
CISTリージョナルルート、CISTルートへのパスコストがいずれも「0」にセットされたBPDUを送信します。
また、スイッチは初期化時に自身がMSTインスタンスのルートであることも主張します。対向スイッチとの
やりとりの結果、現在保持しているルート情報よりも優位のMST情報を受信した場合その主張を撤回します。
◆ MSTリージョン内で生成されるBPDU
MSTリージョン内においては、MSTPスイッチは、1つの( 1種類 )のBPDUのみを送信します。MSTでは
VLANごとやインスタンスごとにBPDUが生成されて送信される訳ではありません。あるMSTPスイッチで
インスタンスが増えた場合、新たなBPDUが生成されるのではなく、リージョン内で送信されるBPDUには
MレコードというところにそのMSTインスタンス情報が含まれることになります。フォーマットは以下です。
MSTインスタンスは自身の情報をBPDUの「Mレコード」に追加し、隣接スイッチと通信して最終的な
スパニングツリーを計算します。以上のことから、BPDU伝送に関連するスパニングツリーパラメータ
( Helloタイム、転送時間、最大エージングタイム、最大ホップ数 ) などはISTインスタンスのみで設定
されるとはいえ、上図のフォーマットを見れば分かるとおり、すべてのMSTインスタンスに影響します。
なお、スパニングツリートポロジーに関連するパラメータは、ISTインスタンスとMSTインスタンスの
両方で設定することができます。
・ ブリッジプライオリティ
・ ポート(VLAN)コスト
・ ポート(VLAN)プライオリティ
MSTインスタンスのスパニングツリー情報はMレコードに含まれ、IST BPDUの一部としてリージョン内部で交換されます。
※ リージョン外とみなされた「境界のポート」では、「MSTI BPDU」は送出されずに「IST BPDU」のみ送信されます。
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