◆ スパニングツリーのトポロジー
スパニングツリーのトポロジー(ネットワーク接続形態)には2種類があります。複数のVLANが存在する
スイッチドネットワークでも1つのトポロジーを構成するCST( Common Spanning Tree )と、複数の
VLANが存在する際にVLANごとに個別のトポロジーを構成するPVST+(Per-VLAN Spanning Tree Plus)。
◆ スパニングツリーのトポロジー:CST
CSTではVLAN数に関係なく全体で1つのトポロジーとなるため、VLAN ごとのロードバランシングの通信が
できません。下図はCSTによる構成です。VLANごとにスパニングツリーのトポロジーがある訳ではないので
下図通り複数のVLANがあるとしても、VLAN10のホストA、VLAN20のホストBともにPCのトラフィックは
フォワーディングポートのセグメント 1 経由で伝送されます。そしてセグメント2のリンクはセグメント1 の
リンクの障害発生時に、STPの再計算によりフォワーディングになった時にだけ使用されるリンクとなります。
STPがIEEE802.1Dとし標準化された当時はVLANという概念はなく、当時のスイッチはこのCSTしかサポートしていませんでした。
◆ スパニングツリーのトポロジー:PVST+
PVST+ではVLANごとにSTPトポロジーを構成できるため、VLANごとのロードバランシング通信が可能です。
下図スイッチはPVST+に対応しています。PVST+では1台のスイッチでVLANごとにブリッジプライオリティ
を設定できるため、SWAがVLAN10のルートブリッジ、SWBがVLAN20のルートブリッジになる事ができます。
PVST+では、物理ポートはVLANごとにルートポート、指定ポート、非指定ポートが異なるようにできます。
VLAN10は左下図、VLAN20は右下図のSTPポート状態となりVLANごとに流れるトラフィックを分散します。
◆ PVST+ の拡張システムID
CSTでは、ブリッジIDはブリッジプライオリティとMACアドレスにより構成されています。デフォルトでは
全てのVLANにおいてブリッジプライオリティは 32768 がデフォルト値になっています。
PVST+ では、ブリッジIDはブリッジプライオリティ、拡張システムID、MACアドレスによって構成されます。
PVST+ では、VLANごとにSTPのトポロジーを構成することができるため、ブリッジIDにVLAN ID情報を含め
ています。そのVLAN IDは拡張システムIDに格納されています。PVST+に、拡張システムIDがあることにより
ブリッジプライオリティが4ビットになってしまうので、プライオリティ値は4096の単位でのみ設定できます。
つまり、ブリッジプライオリティと拡張システムIDの合計がプライオリティ値となるため、例えばVLAN1では
ブリッジプライオリティ値=32768、拡張システムID (VLAN ID) = 1 の合計値 32769 がプライオリティ値、
VLAN 10ではブリッジプライオリティ=32768、拡張システムID = 10 の合計値 32778 がプライオリティ値。
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