◆ STPの設定(PVST+の設定): コンバージェンスの高速化
IEEE802.1D標準のSTPでは収束時間に最大50秒が発生してしまうため、障害発生時やポート接続時に
通信できない時間が非常に長い。そこで、Ciscoでは収束を高速化するために3つの機能を開発しました。
注意:現在の企業LANネットワークでは、Catalystスイッチ上でSTP(PVST+)ではなく改良版である
RSTP(Rapid PVST+)を使用するのが一般的なので、以下で紹介する「UplinkFastとBackboneFast」
は現在ほぼ使用されていません。一方、STP、RSTPに関係なくPortFastはよく使用する技術となります。
◆ STPの設定(PVST+の設定): PortFast
通常のポートは、ブロッキング⇒リスニング⇒ラーニング⇒フォワーディングの順番で状態が移行しますが、
PortFastが設定されたポートではブロッキング⇒フォワーディングの順番で状態が移行するため、ただちに
フォワーディング状態になりすぐにデータフレームを転送できるようになります。PC、サーバ、ルータ等が
接続するアクセスポートにこのPortFastの設定をするのが一般的です。なお、PortFastの設定されたポート
でも、引き続きBPDUが送信されます。PortFast の設定方法は2種類あります。特定のインターフェースへ
適用する方法(推奨)と、全てのアクセスポートにPortFastを有効化する方法(非推奨的な設定方法)です。
◆ PortFastの設定 ( 特定のインターフェースへの適用 ) - 推奨設定
(config-if)# spanning-tree portfast
◆ PortFastの設定 ( 全てのアクセスポートでPortFastを有効化する設定 ) - 非推奨設定
(config)# spanning-tree portfast default
◆ PortFastの設定における注意事項
※ PortFastの設定を行うと以下のようなメッセージが出力されますが、アクセスポートへの設定なら気にする必要はありません。
%Warning: portfast should only be enabled on ports connected to a single
host. Connecting hubs, concentrators, switches, bridges, etc... to this
interface when portfast is enabled, can cause temporary bridging
loops. Use with CAUTION
%Portfast has been configured on GigabitEthernet0/1 but will only
have effect when the interface is in a non-trunking mode.
◆ STPの設定(PVST+の設定): UplinkFast
UplinkFastが設定されているスイッチでは、ルートポートにリンク障害が発生した時、フォワーディングで
あったルートポートの役割を、ブロッキング状態の非指定ポートに5秒以内に引き継がせることができます。
つまり、UplinkFast設定はルートポートと非指定ポートを持つ非ルートブリッジで設定する必要があります。
そして、UplinkFastの設定はルートブリッジやセカンダリールートブリッジには設定する必要はありません。
◆ UplinkFastの設定
(config)# spanning-tree uplinkfast
◆ STPの設定(PVST+の設定): BackboneFast
STPでは、間接リンクの障害が発生した場合には収束時間が50秒間となりますが、BackboneFast によって
最大エージ(MaxAge)の20秒間を短縮することにより、収束時間を30秒間にすることができます。前提は
このBackboneFast機能はルートブリッジ、非ルートブリッジなど全てのスイッチで設定する必要があります。
◆ BackboneFastの設定
(config)# spanning-tree backbonefast
項番 |
説明 |
1 |
ルートブリッジとセカンダリールートブリッジ間のリンクで障害発生。つまり、間接リンクの障害発生。 |
2 |
ルートブリッジからのBPDUを受信できなくなったSWBは、自身をルートブリッジとしたBPDU(下位BPDU)を送信。 |
3 |
下位BPDUを受信したSWCはRLQ (Root Link Query) を送信することで、ルートブリッジの存在を確認する。 |
4 |
RLQを受信したルートブリッジ(SWA)は、RLQ Ackを返信する。 |
5 |
RLQ Ackを受信したSWCはルートブリッジの健在を確認するものの、NWトポロジーに変化があったと認識する。
SWCは、MaxAgeの20秒を待たずに、非指定ポートをブロッキング ⇒ リスニング状態へ移行し30秒で収束。 |
6 |
この30秒間の収束後、SWCの非指定ポートは指定ポートへ、SWBの指定ポートはルートポートになっている。 |
|