◆ SMTPプロトコル - 認証する場合の問題点
前回に解説したSMTPとPOP3の仕組みの通り、POP3の場合はメール受信の際にメールサーバにユーザ名と
パスワードの情報を送信して認証が行われますが、SMTPの場合は認証が行われていません。SMTPが使用
されるのがメーラからメールサーバに送信するためだけなら、SMTPでも認証必須で良いかもしれませんが
メールサーバ間のメール転送にもSMTPが使用されるため、SMTPがPOP3と同様に認証を必須とした場合、
任意のドメインのメールサーバからメールを転送できなくなるのでSMTPは認証を必須としていないのです。
◆ SMTPプロトコル - 認証しない場合の問題点
SMTPが認証しないプロトコルということは、例えばNTTぷららと契約していてもぷららのメールサーバを
利用せずに、インターネット上に存在するセキュリティ設定の甘いメールサーバを利用して送信することが
可能であることを意味します。スパマー(不特定多数の人に一方的な広告メールを送信する人)は、自身の
身元が特定されないように、このような手法を利用し(その他の手法もあわせて)スパム行為をしています。
◆ OP25B ( Outbound Port 25 Blocking )
OP25Bとは、自身が契約しているISPのメールサーバにメールを送信するのではなく、他のメールサーバに
出て行こうとするメールを遮断するものです。スパムメールの多くは、自身の契約したISPのメールサーバ
を介さずに、インターネット上のセキュリティの甘いメールサーバ(あるいは悪意のあるメールサーバ)に
直接送信されていたことから、ISP各社がOP25Bを採用することで、近年スパムメールは減ってきています。
◆ サブミッションポート
OP25Bはスパムメール対策として、かなり効果のある対策であったのですが、正しく利用しているユーザに
弊害のある対策でもありました。例えば、ホテルなどの外出先でインターネット接続する場合、ホテルが契約
しているISPのメールサーバを利用できる訳ではないですし、また自身が契約しているISPのメールサーバに
アクセスしようとしても、ホテルが契約しているISP側でOP25Bが実施されているのでメールが届きません。
この弊害を解決するためにサブミッションポートが利用されるようになりました。サブミッションポートは
クライアントPCの「メーラからメールサーバにメールを送信する際に使用する宛先ポート(587)」です。
今までと同様にプロトコルにはSMTPを使用しますが、宛先ポートが「25」ではなく「587」を使用します。
これにより、宛先ポート「587」のSMTPパケットは遮断されている訳ではないので、外出先から自身が契約
しているISPのメールサーバにメールを送信できます。ただしこのサブミッションポートでも認証がない場合
結局は、スパマーも宛先ポートを「587」に変更してメールを送信すればいいだけとなってしまうので、この
サブミッションポート宛てにアクセスしてきた通信にはSMTP認証が行われます。SMTP認証はメールを送信
する際にユーザ認証を行い、認証された場合にメールを送信する技術です。サブミッションポートはあくまで
メーラーからメールサーバにメールを送る際に使用するポートなので、メールサーバからメールサーバへの
メールの送信は引き続き、認証を行わない宛先ポート番号25のSMTPを使用するので全て丸くおさまります。
自宅にいる時はSMTPの宛先ポートを25、外出している時にはSMTPの宛先ポートを587にその都度変更
するのは手間なので、あらかじめ宛先ポート587に設定しておくのが一般的です。自宅でもサブミッション
ポートでもアクセスできるので「25・587」のどちらを指定しても問題ありません。プロバイダにもよる。
◆ サブミッションポートの設定
メーラでサブミッションポートを設定するために、SMTPのポート番号を「25」から「587」へ変更します。
次に、送信メールサーバ(SMTPサーバ)においてSMTP認証を行うために、「このサーバは認証が必要」
というチェックボックスにチェックをいれます。続いて右側にある「設定(E)」というボタンをクリック。
SMTP認証に使用するユーザ名とパスワードは、POP3で使用するものと同じにするプロバイダが多いです。
その場合、「受信メールサーバと同じ設定を使用する」を選択して「OK」。別途、SMTP認証のための
パスワードが付与されている場合「次のユーザ名とパスワードでログオンする」を選択し情報を入力します。
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