◆ ARPとは
ARP(Address Resolution Protocol)は、IPアドレスからEthernetのMACアドレスの情報を得られる
プロトコルです。LANに接続されたコンピュータ間で通信するためには、IPパケットは下位のレイヤで
L2ヘッダが付加された上で伝送されることからMACアドレスの情報が必要となります。しかしこれらの
IPアドレスとMACアドレスは自動的な関連づけがないので、ARPでMACアドレスを得る必要があります。
※ TCP/IPを利用したコンピュータのLAN通信では、IPアドレスとMACアドレスの2つのアドレスが分かることで通信できます。
◆ ARPの仕組み
ARPには「ARPリクエストとARPリプライ」という2種類のパケットがあります。ARPは、これら2種類の
パケットを利用し、宛先となるIPアドレスを持つノードのMACアドレスの情報を得ます。例を見てみます。
下図において、コンピュータAがコンピュータBと通信したいとします。その場合は先ずコンピュータAから
ARPリクエストを同じセグメントの全ての端末に送信するためにARPリクエストをブロードキャストします。
このARPリクエストのパケットの中には、MACアドレスを知りたいノードのIPアドレス情報が入っています。
ARPリクエストはブロードキャストされるので、全ノードがこのパケットを受信しますが、ARPパケットの
中身を見て探索しているIPアドレスが自分(192.168.0.2)と分かったコンピュータBは、コンピュータBの
MACアドレス情報をコンピュータAに伝えるためにARPリプライのパケットをコンピュータAだけに送ります。
これでコンピュータAはBのMACアドレスを知ることができるので、LAN上での通信ができるようになります。
※ 当然ながら、ARP Replyを返答する際にL2スイッチを経由しても、送信元MACアドレスが変更されるような事はありません。
これらがARPの基本的な動きとなりますが、たとえば、コンピュータAが通信したい相手のコンピュータの
IPアドレスが172.16.0.1だとします。その場合、172.16.0.1と通信したいので172.16.0.1のMACアドレス
を得るためのARPリクエストではなく、デフォルトゲートウェイのIPである192.168.0.254のMACアドレス
を得るためのARPリクエストを送信します。一般的に「デフォルトゲートウェイのIP = ルータのIP」です。
◆ RARPとは
RARP (Reverse Address Resolution Protocol) とは、EthernetのMACアドレスからIPアドレスの情報を
得ることのできるプロトコルです。ARPとは逆の動きのこのプロトコルは、現在ほぼ使用されていません。
どのような場合に使用されるかというと、IPアドレスを持たないと通信できない機器であるにも関わらず
IPアドレスの設定ができない(またはIPアドレスの設定が保存できない)機器がある場合に使用されます。
このような機器は起動時には自分のIPアドレスが分かりませんが、インターフェースのハードウェア部分に
MACアドレス情報としては保持していることから、「自分のMACアドレスはこれですが、私のIPアドレスは
何でしょうか?」という要求(RARPリクエスト)をすることでRARPサーバからIPアドレスを取得できます。
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